第二話 重力猪
今回、キリが良かったので、少し短くなっています。
申し訳ございません。m(__)m
現れたのは、真っ白な毛皮から黒い二本の牙を生やした、三mはありそうな巨大な猪だった。
即座に「神ノ瞳」の能力の一つである、「走馬灯」を発動し、俺は一本、ユーズは二本の日本刀を猪に向けて構え、アンは木製の杖を構えた。その三本の刀と杖は、俺の特殊能力「創造力」で生み出したものだ。ゆにーくすきる?というのはよくわからないが、「創造力」の能力は大雑把に言うと、
「創造」・・・解析した液体以外の物質を生み出すことができる。
「錬金」・・・液体以外の物質を好きな形にすることができる。
「結合」・・・繫ぎ合わすことができる。
「分解」・・・分けることができる。
というこの四つだ。まぁ、大雑把に言うと、無から有を生み出せる能力だ。これを聞くと、機械や人間でも生み出せるように聞こえるが実際は違う。生み出すためには、正確なイメージが必要なのだ。例えば、人間を生み出すと、見た目は人間そのものだが、中身がないのだ。つまり、内臓や血液、細胞などが入っていない皮だけの人間が生まれる。さらに人間などの生物は、魂と魄のどちらかもしくは両方がないと動かないのだ。ちなみに、魄というのは、身体を動かすための元のようなものだ。つまり、俺は簡単なものしか生み出せないのだ。
俺とユーズの刀、そしてアンの杖の芯の部分は前世には無かった物質を材料に使っている。その名も「魔鉄」。
ちなみに、「創造力」を使いこなして刀を作るまでに5年以上もかかってしまった。「神ノ瞳」もだいたいそれぐらいだ。
前に、この世界には魔力というものがあることを説明したと思うが、その魔力を鉄に流し込んで、黒く変色させたものが「魔鉄」というらしい。つまり、鉄の中の魔力に別の魔力を入れることで鉄という物質から魔鉄という物質に変えることができるのだ。そうして鉄が魔鉄になると、この世界特有の面白い効果がでるらしい。
それは、魔鉄を使った武器の進化と魔力伝達率の増加、そして耐久性UPだ。
武器の進化というのは、簡単に説明すると、武器が使用者のイメージに添って成長するということらしい。まだ俺の刀に変化はないし、二人のにも変化はない。もう結構使っているはずなのに、何故まだなんだろうか・・・。って、そんなことより目の前の重力猪を倒さないと。
そう思い、俺は「神ノ瞳」の能力の一つである、「解析鑑定」を重力猪に向けて発動させる。
「解析鑑定」とは、対象の解析及び、鑑定を行うことができる能力だ。
そして解析した結果は、
・個体名 なし
・種族 重力猪
・称号 魔物
・魔法 なし
・希少能力 「重力変化」・・・自身にかかる重力を変化させることができる。
ということになった。
レアスキルなんてあるんだな。
つまり、推測すると、重力猪の狙いは、自分の身体を「重力変化」によって身軽にすることか?ならっ!
「右側に避けろっ!!後は、いつも通りだ!」
いつも通りとは、俺とユーズが脚を攻撃してアンの魔法で倒し、そっから少しずつ削っていくという、俺達の必勝パターンだ。
今回もそんな感じで狩ろうと右側へ跳んだ時、「走馬灯」でゆっくりになった世界で、俺はあることに気が付いた。
俺とアンは右側へと跳んでいるが、ユーズは跳んでいなかった。それどころか、刀を鞘に納めていた。
俺は何故?と思ったが、着地した瞬間にユーズを守ろうと、振り返って地面をおもいっきり踏みつけた。
しかし、振り返った時点で俺はもう理解していた。
もう、間に合わないことに・・・
お読みいただきありがとうございました。