第二十三話 降臨
タイトルが全然思いつかなかったのでこれで。
本日、二話同時投稿。こちらは二話目です。
「ルーミ様もご存知の通り、私は〝原初〟の悪魔族です。」
色々あったけど、サーガの説明が始まった。
「そもそも〝原初〟の悪魔というのは、『悪魔界』、通称『魔界』で最初に出現した、十二柱の悪魔族の総称です。」
「『魔界』ってのは何だ?どこにあるんだ?異世界と同じ感じか?」
「いえ、『魔界』とは『天使界』、通称『天界』と同じく、この『位相』とは違う別『位相』のことを指します。」
「『位相』は異世界とは違うのか?」
「『位相』というのは、この世界でありながら、別座標に位置する世界のことです。例えるなら、同じ世界の別『位相』に行きたいのであれば、同じ世界の別『位相』同士の壁はべニア板並みの強度なので、簡単に壊すことができますが、違う世界の『位相』に行きたいのであれば、鉄並みの強度の壁を壊さなければいけない、といったところですね。」
それを聞き、一応前世は別世界の住人であるルーミは少し考えていた。
(ということは、ここから『魔界』とやらに行くことは簡単だけど、異世界に行くことは難しいってことか・・・。まあ、帰る気一切ないからどうでもいいんだけどな。)
「話を戻させていただきます。悪魔族や天使族などの別『位相』の種族は、召喚されるか、空間系の魔法もしくは能力がないと、この『位相』に顕現することができません。そして、受肉しなければ、顕現しても、一定時間が経てば元の『位相』に自動送還されてしまいます。」
「ってことは・・・。」
「はい。私はそちらの『黒い宝石』・・・『魔石』に受肉したのです。そしてその『魔石』に触れたものに〝力〟を貸す代わりに〝肉体〟を貸してもらうという契約をしていました。ルーミ様の場合、〝肉体〟を貸してまらえずとも、興味深い知識があったので、契約の内容が少し変わったということですね。」
ルーミは改めてこの宝石の重要性を考え、この宝石のある祠を見つけたユーズに感謝する。
「しかし、私のような受肉の仕方はとても稀です。そちらのフィスィノシアやシヴァのような、人間族の亡骸に受肉するのが一般的ですね。」
そうだったのか、と思い、ルーミがシヴァに視線を投げかけると、
「ちなみに、カーリーもですよ。」
という言葉が返ってきた。
「じゃあ、シヴァやカーリー、フィーは悪魔族なのか?」
「おれとカーリーは悪魔族です。ちなみに、〝原初〟です。」
「妾は天使族じゃぞ。しかも〝大天使〟じゃ。超すごいんじゃぞ~。」
シヴァはさも当然のように言い、フィスィノシアは(ない)胸を張って言った。
「〝大天使〟って何だ?」
「〝大天使〟というのはじゃな・・・、」
「〝大天使〟というのは、『天界』の〝原初〟のような存在のことです。」
フィスィノシアが顔を赤くしながら歯軋りをして、サーガを睨む。しかし、当然の如く、彼は一切反応しない。
その態度に我慢の限界がきたのか、彼女は再び口を開く。
「お主、妾の話を遮っておいて、なんじゃその説明は!」
そしてここで強烈なカウンターが炸裂する。
「じゃあ、説明してみて下さい。」
赤かった顔が青白くなっていく、
「え、えーと、じゃな、あれじゃよ、あれ、」
徐々に焦りから、汗が出てきているのがルーミからでもわかった。
「そうあれじゃ!『天界』で最初に出現した十二柱と後から出現した一柱のことじゃよ!」
その言葉は、ほぼサーガの言ったことを『天界』バージョンにしただけだった。
全員の呆れた視線がフィスィノシアに集まる。
その視線に気づき、さっき自分の言った言葉を自分の中で反復したのだろう、みるみる内にフィスィノシアは小さくなっていった。
可哀そうだし、助け船を出してやるか、とルーミは思い、
「何で〝大天使〟は〝原初〟と違って一柱多いんだ?」
「ふっふっふ、よく聞いてくれたのう!〝原初の悪魔〟も〝大天使〟も火、水、風、土、雷、光、力、命、音、闇、空、時が対となるように存在しておるのじゃ。しかし、〝大天使〟にはもう一柱、『神の番』メタトロンという者がおるのじゃよ。」
ピクン、と反応したフィスィノシアは、自信満々に語りだす。
主人の意図を理解したためか、彼女が語っている間は、サーガは何も発さなかった。
「ちなみに、私は〝原初の闇〟、シヴァは〝原初の土〟、カーリーは〝原初の力〟、フィスィノシアは『神の命』という名を冠しています。」
(うん。情報量が多すぎるな。後から「走馬灯」でもう一回確認するか。)
「他に質問等ございますでしょうか?」
ルーミは手を振りながら、いいや、ないよ、と言って返す。
「そうですか。それでは、これだけではないでしょう?これだけの説明のためなら、最初にサーガ村で何があったかなんて聞くはずないでしょう?」
サーガがルーミ以外の全員に対してそう言った。
そして言われなかったルーミは、
(うえー。まだ続くのかよ。そろそろ終わってほしんだけど。)
と、心の中で愚痴をこぼした。
しかし、次の言葉でそんな気は一気に吹き飛ぶ。
「バレておったのか。そうじゃよ。ここからが本当の本題じゃ。内容は、最近西側で動きを見せ始めている〝九罪王〟についてじゃ。」
〝九罪王〟。
その言葉一つで、場の空気が一変した。
〝九罪王〟が何者かはよくわかっていないルーミでも、〝九罪王〟の一人エンヴィーがサーガ村を滅ぼした張本人なのだ。その危険度は計り知れないが、少しぐらいならわかっているつもりだ。
「そもそも〝九罪王〟ていうのは何者なんだ?〝『九』罪王〟っていうぐらいだから九柱いるのか?」
「うむ。奴らは三千年前、突如として現れ、世界の三分の一を占拠してしまったのじゃ。妾たち、『魔王連盟』は〝九罪王〟に対抗するために結成されたと言っても過言ではないのじゃよ。そして『魔王連盟』は奴らに序列をつけておったと思うんじゃがー。なんじゃったかのう?」
(駄目だ。意味わからん。)
前世はただの一般人。今世は(こないだまで)ただの村人という物凄い普通の生活を送ってきたルーミには、三千年前とか、〝九罪王〟のせいで『魔王連盟』ができたとか、言われても、一切頭に入ってこないのであった。
そして、フィスィノシアの言葉に続けるように、
「現在は・第一位、〝傲慢〟プライド。
・第二位、〝虚構〟ライア。
・第三位、〝暴食〟グラトニー。
・第四位、〝怠惰〟ティアマト。
・第五位、〝強欲〟グリード。
・第六位、〝憤怒〟ラース。
・第七位、〝色欲〟ラスト。
・第八位、〝憂鬱〟メラン。
そして、・第九位、〝嫉妬〟エンヴィーです。」
その言葉は、無慈悲で絶望的な現実をルーミに突きつけていた。
(・・・は?エンヴィーが、第、九位?あれより強いのが、あと、八柱?)
冷たい、肌を伝う嫌な汗が止まらない。
その時、新しい気配が長机の中心に舞い降りた。
『フフフフフ。そろそろ自分の〝道〟の過酷さに気づいたかな~?』
ルーミを含む全員が立ち上がり、即座に対応できるように構える。サーガとオルシオはそれぞれの主人を守るために、新たに表れた気配と主人の間に入る。
ルーミはその声を忘れたことはなかった。相手をからかうような話し方を忘れたことはなかった。その顔を忘れたことはなかった。
そこに降り立ったのは、
「久しぶり~。十四年ぶりかな?相変わらず間抜けな顔をしてるね。」
「女神(仮)ッッ!?」
「違う違う。脳みそ空っぽになっちゃったの?あ、教えてなかったんだっけ?わたしの名前は~・・・、」
「何しに来たんじゃっ!?『神の番』!!」
先程、フィスィノシアの話で出てきた、大天使が降臨した。
お読みいただきありがとうございました。
さぁて、やっと世界の仕組みを紹介できますね(一部分)。




