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異世界で三兄妹が奮闘する話。  作者: G2
第二章 魔の大森林編
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第十九話 そんなこと

新年明けましておめでとうございます。

今年も「いせふん」をよろしくお願い致します。

  俺達はクモ助と別れ、『自然の楽園(オフィール)』へ来ていた。

  『自然の楽園』は『神樹シドラ』最上階にある、フィーの庭園(コレクションルーム)だった。

  何でも、フィーは無類の植物狂らしい、言い方が変だが、事実、庭園には世界中ありとあらゆる植物が育てられていた。しかも、その大半がフィー自身で世界中から集めたらしく、光り苔もその一つだった。

 

  『自然の楽園』に入ると、そこに広がっていたのはまさに『楽園』だった。

  天井はなく青空が見えている。人工的に造られたにしては自然な小川や、様々な色の草花、大きさも色もバラバラなのに妙に統一感のある木々など、まさに『自然』だった。

  そんな『楽園』に一つだけ『不自然』な場所があった。

  そこは『自然の楽園』の中央で、ポッカリと穴が空いてしまっているようだった。そこだけ芝が狩り揃えてあり、『自然』がない。さらにそこには、純白のガーデニングチェア(?)やガーデニングテーブル(?)があり、ティータイムに使うであろう場所だった。もうイスとテーブルでいいや。


  そして俺達はその場所に座っている。正確には高価(たか)そうな純白のイスの上に。

  さらに、オルシオさんが(歌いながら)紅茶まで持ってきてくれた。なので俺の前には高価(たか)そうなティーカップの中に高級(たか)そうな紅茶が入っていた。

  正直俺には紅茶の味の違いなど一切分からないので、「これは(わらわ)お手製の茶葉から作った超厳選、超美味な紅茶なのじゃ!!」とか言っていたので、恐らくこれは美味(おい)しいのだろう。


「さて、本題に超入ろうかの。お主、地球という違う『世界(セカイ)』のことを知っておるな?」


「「?」」


  そうフィーが俺に尋ねた。

  アンとユーズは何のことかわからず、?を浮かべている。


「なら、本当にあるんだな、『地球』は。」


  俺はイスに座りながら拳に力をいれて言った。


「どういう意味じゃ?お主は〝転生者〟ではないのかの?ふむ、やはり・・・、」


「いや、〝転生者〟かもしれない、だけど、俺は〝転生者〟がわからない。『俺』がわからない。」


  俺は視線をティーカップに落としながら、震える唇を動かして言った。


「・・・?お主には『地球』の記憶があるのじゃろう?」


  フィーが顎に手を当て、眉間に皺を作って聞くが、


「俺には、『村上 仁』という人間の記憶がある。・・・とも言えるし、ないとも言える。」


  明確な答えが出せない。

  それにより俺以外が全員?を浮かべている。


「・・・どういうことじゃ?」


  フィーに尋ねられたので、俺は『俺』の考えを話した。そして、『村上 仁の記憶』に出てきた女神(仮)のことも。


 ・・・


 ・・・・・


 ・・・・・・・


「「「・・・。」」」


  俺の話を聞いてから、全員が沈黙していた。

  恐らく、何を発したらいいのかわからないのだろう。

  そんな中で口を開いたのは、フィーだった。


「ふむ、やはりお主は〝転生者〟で間違いないじゃろう。しかし・・・、」


  フィーはそこで言葉を区切った。

  そして俺は、ホッとしているのだ。『俺』が、妄想から生まれた空っぽの『俺』じゃなかったことに。


「何故、お主の称号に〝転生者〟がないんじゃ?」


  は?称号?

  俺は思いもよらない言葉を投げかけられ、取り敢えず自分の手のひらを見て、「解析鑑定」をする。


  ・個体名 ルーミ=ナーヴァ

  ・種族 半悪魔(ハーフデーモン)

  ・称号 原初を従えし者

  ・特殊能力(ユニークスキル)神の瞳(カミノメ)」「創造力」

  ・希少能力(レアスキル) 「痛覚耐性」「状態異常耐性」「精神攻撃耐性」「熱変動無効」「範囲結界」「魔力感知」「覇気」「影移動」「超再生」「念話」「詠唱破棄」

 

  〝転生者〟はない。

  〝転生者〟はないけどッ!何!?〝原初を従えし者〟って!!

  そして、何時(いつ)俺は「解析鑑定」された!?


 《恐らく、あの闘いのあとではないでしょうか?意識がない場合、魔王ほどの「解析鑑定」では抵抗(レジスト)が行えないと思いますので。》


  はあ、さようですか。

  にしても、


「〝転生者〟には称号に〝転生者〟が付くものなのか?」


「うむ、(わらわ)()()()()もそうじゃったからのう。」


  知り合い・・・ってことはッ!!


「俺以外にも〝転生者〟がいるのかッッ!?」


  俺は勢い余ってイスから立ち上がってしまった。


「まあ、まあ、超落ち着けい。居るぞ、最近は会っておらぬがな。」


「そうか・・・。」


  ということは、オカルトじみた〝転生者〟は本当だった。『村上 仁の記憶』は、『地球』は、本当にあったんだ!

  俺はとても安心した。長い間考えていた謎が解けたから。


  でも、でもッ!本当にそれが真実なら。

  『俺』は、『村上 仁』は、『ルーミ=ナーヴァ』という人間を()()()()()()()のではないか?

  『ルーミ=ナーヴァ』という人生を壊してしまったのではないのか?


  もし、それを承知で女神(仮)が『村上 仁の記憶』を『ルーミ=ナーヴァ』に植え付けたのだとしたら、女神(仮)は、俺に、この世界で、何をさせたいんだ!?

  意味が分からない・・・。


  俺は・・・一体、何をしたらいいんだ?


「兄ちゃん。」


  そんなことを考えていると、ユーズが呼びかけてきた。


「兄ちゃんが隠してたのは、()()()()()だったの?」


  え、そんなこと、って・・・。


「そうだよ!!お兄ちゃんが悩んでたのは()()()()()だったの?」


  アンも同様に騒ぎ出した。

 

「「()()()()()だったら!!」」


  アンとユーズ、両方に迫られる。


「兄妹なんだから、私たちに頼ってよ!」

「兄弟なんだから、僕たちに頼ってもいいじゃん!」


  二人の声が重なる。庭園に響き渡る。

 

「「「・・・。」」」


  再び静寂が訪れる。


  そんな静寂を打ち壊したのは、


  ぐううううううっっっ!!


  という、アンの腹の虫だった。


「くっ、はぁっはっはっー!!やはり面白いのう。お主らは。」


  フィーはイスに座りながら、両手で腹を抱えて目元に涙さえ浮かべていた。


「まあ、もう夜ですし、仕方ないでしょう。」


  シドラさんが、ヤレヤレ、といった感じに言った。

  それにしても夜?上を見上げても青空しか見えない。


「ア、ア、ア~♪この天jy


「この天井はですね~。光魔法を使って、青空と夜空を使い分けることができるんですよ~。」


  オルシオさん・・・、発声練習終わったところだったのに・・・。イリスがオルシオさんの声を遮った。

 

  そうか、何をしたらいいか、じゃない。

  ()()()()()は、俺自身で決めればいいんだ。

  だから、俺は・・・、


「なあ、フィー、お前の植物いくつかもらっていいか?」


「む、いいが、何に使うんじゃ?超疑問、超探求なのじゃが。」


「俺の手料理を振舞おうと思ってな。」


  自由に、自分勝手に、生きていけばいいんだ。


  目標なんてなくたって、俺は家族を守れればそれでいい。


  ただただ、自分の、私利私欲のために生きていけばいい。


  誰かを守るための私利私欲で。


  と、少年は思ったのだった。


 ______________


  誰も居なくなった『自然の楽園(オフィール)』で、魔王フィスィノシアは一人残り、座って考えていた。


(女神とやらは何者じゃ?あの無機質な声、〝世界の言葉〟こそが『神』ではないのかのう・・・。久方ぶりに魔王会議(ウルスラグナ)にでも参加しようかの・・・。)


  フィスィノシアは少し考えて、答えが出ないのを悟ると、


(まあ、どうでもよいか。難しいことを考えるのは嫌いじゃしなあ。)


  能天気に思考をやめ、


()()()()()より、何を作るのかのう。超楽しみじゃのう!!)


  脳内を食事のことのみで満たしたのだった。















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