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異世界で三兄妹が奮闘する話。  作者: G2
第二章 魔の大森林編
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第十八話 『俺』という存在

 

『おお、似合っとるのう。』


  フィーは、俺、アン、ユーズの格好を見て呟いた。

  フィーの「思念伝達」が発動中なので、頭の中に直接フィーの声が響く。


  俺が作ってもらったのは服だ。

  それも、俺の前世の知識を大盤振る舞いに使った品々だ。

  しかし、その知識がクモ助に伝えれず、なかなか苦労した。実際には苦労してないが、その工程に力を使ったという感じだ。

  まず初めに、前世の服のデザインを伝えるのが難しかった。何故かというと、紙がないからだ。驚いたことに、本はあるのだが、紙はないという。しかし、その問題はすぐに解決した。木版を使い、炭でデザインを()()()()()()

  描けなかったのには理由がある。それは、俺の画的センスがゼロだったからだ。

  俺が描くたびに、皆の顔が「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」といった感じになるのだ。俺の精神が辛かった。

  その打開策が出たのは、シドラさんの一言からだった。


『「思念伝達」で伝えればいいじゃないですか。』


『え?出来るんですか?』


『出来ると思いますよ。』


  何でも、「思念伝達」という能力(スキル)は、言葉を相手の頭の中に思念として直接響かせるという能力(チカラ)とイメージを相手の頭の中に思念として直接伝えるという能力(チカラ)があるらしい。

  なので、俺の「走馬灯」で前世の服のデザインを引っ張り出し、フィーの「思念伝達」でクモ助に伝えた。


  そして、最も難易度が高かったのは、チャックだった。

  服の繊維はクモ助が、染色はフィーの『植物コレクション』とやらから出来るのだが、チャックやボタンはそうはいかない。なので、俺の「創造力」で創ることにした。

  ボタンは簡単だった。小さい円盤を創って、真ん中に二つ~四つの小さな穴を開けるだけだったから。

  しかし、チャックは激ムズだった。前世の科学技術の凄さを再認識した。開発者を単純に尊敬した。自分はなんで異世界でチャックなんて作っているんだろう、なんて思うほど練習を重ね、やっと完成した。


  そんな努力の結晶を、今俺達が着ている。


  俺の服は、白色の半そでのシャツを下に着て、その上から藍色のチャック付きパーカーを羽織る。そして紺色のジーパンを履くといった感じだ。藍色と紺色という何とも暗い色を使っているのは、前世で年中スーツだった名残かもしれない。そもそもチャック付きパーカーなんかにしていなければ、チャックなど作る必要はなかったのだが、妙にこだわるのが俺の悪い癖だろう。


  次にアンの服は、フィーの紅葉色のワンピースを動きやすいように、太股が少し見えるようにした服だ。太股を少し見えるようにしているのは確信犯であるらしく、それでいて羞恥心があるのか短パンを履いている。魔女っ娘の衣装のデザインを見せたところ、帽子に興味を示したらしいのか、自分の顔より大きい紺色の帽子を被っている。ちなみに、アンの象徴とも言える赤毛は先程と同じでおさげにしている。ぶっちゃけまんま『赤毛のアン』だ。


  最後にユーズだが、妙にマフラーを気に入ったらしく、時期で言えば夏が終わった頃なのに、茜色のマフラーをしている。服はチェックのTシャツがいいと言ったが、チェックの実現が不可能だったので、無地のポケット付き半袖Tシャツ。そしてポケット付き半ズボンと、ポケットだらけになっている。マフラーに半そで半ズボンって・・・これが前世(地球)今世(異世界)の違い、なの、か・・・?


  そして服を着るときに気づいたが、アンとユーズはともかく、他の人達が、俺の額の黒い宝石に()()()ふれないのだ。大体ただの村人が、宝石を持っていること自体怪しいのに、なぜ誰もふれないのか・・・。気づいているけど見えないフリをしているのか。そもそも見えていないのか。それとも他に別の理由があるのか・・・。大前提としてサーガとは何者か。謎は深まるばかりだ。


  そんなことを考えていた時、


『いやあ、ホントに似合ってるね。それにしてもチャックなんて初めて見たんだけど、何で知ってるんだい?』


  クモ助がそんなことを聞いてきた。

  全身から変な汗が出てくる。暑くもないのに。冷たい汗が。

  どうする・・・?なんて言えばいいんだ!?実は前世の記憶があるんですよーとか言うのか?転生者なんて奴は前世じゃオカルトとかそういう類いのヤツだぞ!!信じてもらえるわけがない。

  そもそも俺は〝転生者〟なのか?そんな考えを今まで自問自答してきた。

  そして俺は一人である結論を出した。裏付けなど一切ない。証拠もない。ただの幻想だが。

  俺は、俺という存在は、『ルーミ=ナーヴァ』という人間が、『村上(むらかみ) (じん)』という()()()()()()()()()()()()()()()()()()?と。

  『記憶が人を作る』とはよく言ったものだ。つまり、『俺』という人格は、『ルーミ=ナーヴァ』という人間を『村上 仁』という()()()()()()()()()()()()から作られたということではないのか?


  なら、『ルーミ=ナーヴァ』とは、『村上 仁』とは、『俺』とは、なんだ?


  『村上 仁の記憶』の中に出てきた女神(仮)は、『俺』に何をさせたいんだ?

  そもそも女神(仮)なんているのか?

  『村上 仁の記憶』というものを『ルーミ=ナーヴァ』が()()()()()()()()()というだけではないのか?『村上 仁の記憶』は『ルーミ=ナーヴァ』の妄想の産物ではないのか?『村上 仁の記憶』というのは実際には存在していないのではないか?

  そして、『俺』は、その結果偶然生まれてしまった副産物ではないのか?


  ならば、『俺』は、〝転生者〟と言えるだろうか?


『・・・ちゃん!お兄ちゃん!』


  気が付くと、俺はアンに大声で呼ばれていた。


『大丈夫?すごい汗・・・だよ?』


  言われて初めて気づいた。全身からは大量の汗が滴っているし、呼吸も荒い。

  俺はフウー、と深呼吸をして、


『大丈夫。』


  アンを落ち着かせた。


『さて、ルーミよ。核心を突こうか。』


  フィーが区切って話す。


『お主、〝転生者〟じゃな?もしくは、()()()()()()()()()()()()()()()()()?』


  再び冷たい汗が全身から出てくる。服の下で汗が肌を伝うのがわかる。

  身体が少し震える。

  言葉が出ない。

  喉に空気が詰まったような感覚がする。


『俺は・・・〝転生者〟かもわからない。俺は・・・『俺』がわからない。俺は・・・()()()『俺』が・・・わからない。』


  俺が絞り出すように言うと、フィーはふむ、と手を自分の顎に当てた。


『場所を変えぬかの?そうじゃなー・・・あっ、あそこがいいのう。』


  フィーは再び、しかし先程とは違い、もったいぶるように区切る。


『お主たちを(わらわ)の庭園、「自然の楽園」へ招待してやろうかの。』





ちょっと何言ってるかわからない、って思う人が多かったと思いますが、僕の文章表現力はこれが限界なので申し訳ございません。

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