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異世界で三兄妹が奮闘する話。  作者: G2
始まりの物語編
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第一話 新しい物語

 俺が俺の・・・村上仁という人物の記憶を取り戻したのは、転生してから約三年後のことだった。

 俺が三歳の時、たまたま「神ノ瞳」の能力の一つである、「走馬灯」という、過去の忘れられた記憶を頭の中で視聴できる能力を使ったことによって、自分が転生者で前世の記憶があるということを思い出せた。

 いや、まぁたしかにね、記憶がなくならないなんて一言も言ってなかったし、異世界に送るなんてことも言ってなかったけど・・・。一言ぐらい言ってくれればいいじゃん。

 そう、俺は女神(仮)に、地球とはまったくちがう文字や生物、魔法、能力(スキル)などがある、異世界へと送られてしまったのである。

 もしかして、俺の記憶が失われることを知っていて「神ノ瞳」をくれたのか?・・・まぁどうでもいいか。

 前世とは比べものにならないほど早く月日が流れるように感じ、現在俺は、十四歳だ。この世界に送られてから約十四年間でいろいろなことが分かった。今世では俺は、ルーミ・ナーヴァと呼ばれている、ルーミが名前でナーヴァが名字だ。ちなみに、黒色に茶色が少し混ざったような髪の色で身長は百五十後半ぐらいだ。母は、イザベラ・ナーヴァという名前で、ポニーテールをした、赤毛の美人な女性だ。低身長だが気が強く、俺の父親・・・自分の夫を尻に敷いている。年齢は怖くて聞けないが、俺が十四歳だから、多分三十代後半か四十代前半だろう。父は、ヒューズ・ナーヴァ、黒俺と同じような髪をしていて、ヤのつく人みたいな、右目に傷跡のあり、怖い顔をしている。だけど、顔に似合わず、気が弱く妻にまったく逆らえない。年齢は、イザベラと同じだと言っていた。かなりの高身長。そんな二人は、村一番のおしどり夫婦だ。

 そんな俺が住んでいる村の名前は、サーガ村。村は、東に山脈、西に大森林と挟まれるようにして存在する草原の中央に造られていて、近くに他の村のような人工物は一切なく、村以外の交流も一切なかった。村には通貨がなく、村人同士が物々交換などをして助け合って暮らしている。争いはほとんど起きない実に平和な村だ。                                    一見、前世と同じごく普通の村だが違うことが二つほどある、一つは、「魔の大森林」と呼ばれる森から、たまに「魔物」と呼ばれるモンスターが現れ、村を襲うことがある。「魔物」とは、虫や動物の強化版という感じで、決して弱くない。さらに、村を襲う魔物(モンスター)は、強いやつが多く、最大で、三mほどの凶暴な腕が四本の熊・・・四腕熊(クワトロールベア)というのが出たことがあったが、すぐに狩られた。村の大人達が強いのか、村に被害が出ることは全くないといっても過言ではないだろう。実際、村に被害が出たことは、転生してからの十四年間一度もない。そうして、大人たちに倒された「魔物」は村の食料などにされて有効活用される。二つ目、ここが一つ目よりも大きく違う、それは、この村だけかもしれないが、この村の人達は皆両親に剣術で勝ち、十五歳になれば大人とみなされ精霊を召喚する許しがでて、精霊と契約を交わし、精霊をその身に宿すことができる。精霊には「属性」というのがあり、精霊をその身に宿すと魔力(エネルギー)量が上がり、魔法を使う才能(センス)がない人でも、精霊と同じ属性の魔法()()なら使うことができる。逆に身に宿した精霊の属性以外の魔法は、いままで使えていても使えなくなる。つまり、俺は来年になったら魔法が一属性だけだが、使えるようになるってことだ!イヤっほーい!この魔法の世界で初めて魔法が使える!やったーーーーー!!            おっと、また話がそれてしまった。ちなみに魔力(エネルギー)量とは、全てのものに宿っているといわれる魔力の絶対値のことで、普通はその絶対値が変化することはないのだが、魔力(エネルギー)量が上がるというのは、元々、何もその身に宿していなかった人が、自分の身に()()を宿したとすると、その人の魔力(エネルギー)量に宿した何かの魔力(エネルギー)量が追加・・・プラスされることだ。魔法を使うには、魔力がなければ使えず、魔力の量・・・絶対値が魔力(エネルギー)量なので魔力(エネルギー)量が増えるというのは、魔法を使える幅が広がるので、何かを身に宿すというのは単純に強くなるということだろう。そうやって、精霊を身に宿した人のことを精霊使いと呼ぶ。ちなみに、俺の両親も村の大人なので当然、精霊使いだ。なので、俺は四歳の時から剣術などを習わせられている。さらに、俺はなかなか強い両親に勝つために、六歳の時から大森林に入り、魔物狩りをしている。もちろん、内緒で。


「早く早く~。早く行こうよ~!」


  そんなことを考えていると、俺の妹が急かすように背中を押してきた。

  妹の名前は、アンナベラ=ナーヴァ。いちいち呼びにくいので、皆はアン、と呼んでいる。俺の二歳年下で、母と同じ気が強い性格と髪の色を継いでいる。身長は百四十五ぐらいで、しっかりものだ。しっかりしすぎて、俺はあまり頭が上がらない。すごい数の魔法が使えて、天才などともてはやされている。


「そうだよ。早く行こうよ~!は~や~く~!」


  同じく、急かすようにして手を引っ張てくるのは、末っ子で弟のユーズ=ナーヴァだ。年齢は俺と五歳離れた、九歳で、茶髪。身長は、百二十後半ぐらいで、めっぽう、虫や動物に好かれる。異常なぐらい。魔法も少しだけなら使える。

  ちなみに、家族の中で魔法が使えないのは、俺だけだ。くそう、早く強くなりたい・・・。

  そして、今俺は妹たちと一緒に大森林に入ろうとしている。アンは八年前から、ユーズは三年前からだ。本当なら、危ないのでついてきてほしくなかったが、母にこのことをばらすと脅され、仕方なくOKしてしまった。多分もうバレていると思うけど。まぁでも俺と違って、アンはいろんな魔法が使えるし、ユーズは雷や命の魔法で身体強化ができて速さだけなら俺も敵わないし、もう慣れたと思うので大丈夫だろう。


服装は三人とも同じで、長袖長ズボンのなるべく肌が出ないようにしている。

やはり、森に入るので、虫などに刺されないようにするためだ。

色は、土や砂で汚れてしまってベージュ色になってしまっている。あちこちから糸がほつれてしまっているので帰ってきたら直してもらうことにしよう。

この村にはゴムが存在しない。もしかしたらこの世界にゴムが存在しないのかもしれない。

なら、どうやってズボンを履いているかというと、ゴムを紐に変えて縛っているだけだ。つまり、紐が切れたらズボンがずり落ちてしまうのだ。

え?「創造力」で出せばいいって?

それは無理だ。俺はこの世界に来てから、ゴムを一度も見ていない。つまり、解析していないので「創造力」で生み出せないからだ。

なので、森に入る目的の一つは、ゴムの木探しだったりする。

ちなみに、これらの服も「創造力」で創っていない。「創造」で糸を作ることはできるのだが、問題は、糸を服に創りかえるための「錬金」だ。

「錬金」で創ったものは、何であろうと繋ぎ目や隙間ができない。つまり、服にとって重要な通気性がゼロということだ。

なので、俺達の着ている服は、ちゃんと織られて作られた、普通の服だ。

そして、


  森に入って二十分、パキパキという音を立てて、巨大な猪のような魔物が俺達の正面から現れた。





 

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