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異世界で三兄妹が奮闘する話。  作者: G2
第二章 魔の大森林編
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第十四話 目覚めると・・・

活動報告にも書きましたが、本当にすみませんでした。


今日は二本立て。

こちらは、一本目です。

 ~ルーミ~

 

  ちゅん、ちゅん、ちゅん・・・


  小鳥のさえずりが聞こえる。

  俺は、うっすらと目を開ける。

  顔の目の前に、何かがある。

  最初は、目の前がぼやけてしまっていてよく見えなかったが、目が慣れてきてハッキリと見えるようになってきた。

  そこにあったものは・・・初老に差し掛かったぐらいの、立派な白いガイゼル髭を生やした、縁が紅葉色の片眼鏡をしていて、執事服を着ている、スラッとしたかなり高身長の老人だった。


「わあああああああああああ!!」


  俺は、俺の顔のすぐ目の前にある老人の顔に驚き、咄嗟に大声で叫んでしまう。それと同時に右横に体をのけぞらせる。

  どうやら俺は、ベッドの上で布団をかけられて寝かされていたらしく、布団と共にベッドから転げ落ちてしまう。

  俺が状況についていけないのもあって目を回していると、いつの間にか俺の前にあの老人が立っていた。


「ド、ド、ドォ~♪どうやらコン・ブリオのようですなァ~♪」


  老人は、少し発声練習のようなものをすると、意味の分からない単語を言った。言葉の最後も、なぜか上がっている。


「コン・・・なんですか?」


  老人がなんて言っているのかがわからなかった俺は、思わず訪ねてしまう。


 《コン・ブリオ・・・つまり、生気に満ちて、という意味の音楽記号のことです。》


  それを返答した男のような声は、頭の中で響いた。


「うわッッ!!」


  俺はその声に驚き、再び大声を出してしまった。

  なんだ・・・・・・・?あっ、そうか、サーガか。

  声の正体は、原初(?)の悪魔のサーガだった。村がエンヴィーという般若(オニ)に消滅させられ、俺やアン達が襲われた時、サーガと契約しなかったら、俺はアンとユーズを守れなかった。そして俺も死んでいた。

  いわゆる命の恩人とヤツだ。いや、命の恩悪魔というヤツかな?


 《・・・。》


  おっと、サーガさんは、俺が少し忘れていたことが不服なようだ。


「どうかしましたかなァ~?」


  老人が、俺の顔を覗き込むようにして尋ねる。


「いっ、いえ、大丈夫です。」


  危ない危ない。万が一、変人扱いでもされたら困るからな。

  っていうか、俺が変人だとしたら、日常会話に音楽記号ぶっこんでくるこの老人(おじいさん)は超変人だよな。


  ・・・にしても、やっぱりあれは夢じゃなかったか・・・。

  あれというのは、エンヴィーとの一件のことだ。

  俺は目が覚めた時に、そんなことは起こっていないのではないか、夢だったのか、なんて考えていたが、どうやら全て現実らしい。


  ポタッ、ポタ、ポタ・・・


  目から(しずく)が零れ落ちる。


「大丈夫ですかな!?ヴィヴァーチェでいきましょお~♪ヴィヴァーチェでェ~♪」


  なんて言っているか分からないが、励ましてくれている、ということは分かる。


 《ヴィヴァーチェ・・・つまり、元気に機敏に、という意味の音楽記号です。》


  あ、うん。なんか冷めた。一切悲しくなくなったわ。


 《ありがとうございます。》


  褒めてないからねッ!!


「それで・・・ここは?あなた、一体・・・?アン達はッッ!!」


  俺は、人前で泣いたことを誤魔化すように言った。


「おっと、申し訳ございません。(わたくし)としたことがァ~♪私の〝名〟は、オルシオ。魔王フィスィノシア様の執事を務めさせていただいておりますゥ~♪」


  〝魔王〟。

  その言葉を聞いた時、俺はゴクリと、唾を飲んだ。

  俺は幼い頃、〝魔王〟について載っている本を読んだことがある。


  なんでも、〝魔王〟は複数おり、合計で八柱(はちにん)いるらしい。

  一柱一柱(ひとりひとり)が圧倒的な力を持っていて、その力は一柱(ひとり)で国をも墜とせるほど。

  なので、この世界最強の存在とされている。


  そんな魔王が、なんで俺達みたいな村人を・・・?


「ちなみにご妹弟(きょうだい)様達は、ア二マンドとしていますよォ~♪」


  アニマンド?


 《アニマンド・・・つまり、生き生きと、という意味の音楽記号です。その他にも・・・》


  つまり無事ってことか!!

  安心した俺は、「ふう」と息を吐いた。

  あ、ごめん。遮っちゃた。


 《・・・その他にも、アニマート、アニメ、レブハフト、ヴィヴィッシモ、ヴィーヴォ、ビヴァーチェなどがあります。》


  そんなにあるのか。

  なんてことを思っていると、


「そしてここは・・・」


  そこで老人・・・オルシオさんは切ると、少し光の洩れる木製の扉へと歩いて行った。

  そして、バァァァッンという音を立て、開け放った。

  強い日差しが入り込んできたが、眩しくはなかった。『神ノ瞳』を持っているからだ。

  オルシオさんは、扉の横に立った。

  俺は立ち上がり、オルシオさんに導かれるまま、扉の向こうへと足を運んだ。

  そこはバルコニーだった。

  そしてそこから見える風景は、一瞬言葉を失ってしまうほどのものだった。


  青空が果てしなく広がっていた。遮るものは一つもない。それもそのはず、バルコニーから下を覗くと、雲があった。つまりこの場所は、雲の上だということだ。

  さらに、雲の切れ目から見えるのは、緑色の絨毯。ではなく、そのように見える巨大な森だった。その森は果てしなく、地平線の彼方まで続いている。

  まるで天空の城にいるようだった。

  しかしここは、空に浮いているわけではなかった。

  雲の切れ目をよく見てみると、この場所に何かが伸びていた。

  それは樹の幹。

  それも大樹という言葉では表せないような、とてつもなく巨大な樹の幹だった。

  今いるこの場所、そして部屋は、この巨大な樹の中に造られていた。

  しかもこの巨大な樹は、この部屋が頂点ではなかった。

  上を見上げてみると、さらに・・・いや、遥か上に、生い茂る緑の葉が見える。

  そして再び前を向く。

  自然と笑みが浮かんだ。


「気に入ってもらえたでしょうかなァ~♪」


  オルシオさんが話を続ける。


「・・・はい!」

 

  俺は、オルシオさんが話しかけてきても構わずにこの風景を見続ける。

  さらにオルシオさんは、話し続ける。


「ここは、魔王フィスィノシア様の領域(テリトリー)である『魔の大森林』~♪その中央に位置する『神樹シドラ』の中ですよォ~♪」


 _______________


  『神樹シドラ』内部。

  女物の服を着ているユーズは走っていた。いや、逃げていた。


「た、助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!兄ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」


  彼を追いかける、()()()から。


 













というわけで第二章が始まりました。

これからも「いせふん」をよろしくお願いいたします。


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