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異世界で三兄妹が奮闘する話。  作者: G2
始まりの物語編
14/40

第十三話 始まりの物語

一章のエピローグ的な話です。

少し短めとなっております。



二話同時投稿となっております。これは一話目です。

  豪華な扉。

  それは、煌びやかな装飾の施された両開きの扉である。

  その扉をエンヴィーは無造作に開ける。

  扉の先には大きな円卓が設えられており、等間隔で椅子が九脚用意されている。

  その九席の内、二席は埋まっている。エンヴィーは、残った席の一つに座る。

  席は全て決められており、それぞれ傲慢、怠惰、憤怒、嫉妬、暴食、強欲、色欲、虚構、憂鬱を司る者たちの為に用意されている。

  その者たちは〝九罪王〟と総称されている。

  この部屋は、〝九罪王〟のためだけに用意された部屋。つまり、この部屋には〝九罪王〟以外は入ることさえ許されない。


「いやあ~。つかれた~。」


  エンヴィーは、目を閉じ気を抜く。


「貴様がそこまでの手傷を負うとはな。〝自然〟と戦ったのか。」


  埋まっている二席の内、一席に座っている人物が口を開いた。

  低く、よく通る声。それだけで声の主が男であることがわかる。しかしその声は声変わり前の少年のような声だった。

  貴様という言い方は相当無礼な呼び方だが、エンヴィーは慣れた様子で気にも留めない。

  つまり、エンヴィーを貴様と呼ぶ相手は、エンヴィーと同格の存在ということだ。


「そうなんだよね~。焔龍核撃(クリカラ)も使ったんだけど、勝負つかなくてさ~。」


  エンヴィーは、真実と虚偽を混ぜて答える。

  エンヴィーと話す相手が言う〝自然〟というのはフィスィノシアのことだ。

  クリカラを使い、勝負がつかなったのは真実だが、フィスィノシアと戦い、手傷を負ったのは虚偽だ。

  そのように言ったエンヴィーは、ルーミに対しある欲を抱いていた。

  それは独占欲。

  エンヴィーはルーミを、ルーミが思うより遥かに気に入っていた。

  故に、ルーミが他の〝九罪王〟に目を付けられるわけにはいかなかった。

  エンヴィーは考えた。もし、自分に手傷を負わせた人物が〝魔王〟ではない、と言ったならどうなっていたかと。

  確実に他の〝九罪王〟の耳にルーミの存在が知れ渡る。そうなったら、ルーミを独り占め出来なくなる。特に戦闘狂(グラトニー)にルーミの存在を気づかれてしまったら、グラトニーはルーミの元へ殺し(遊び)に行くだろう。

  なので、エンヴィーはルーミという存在を、話している相手には伝えず誤魔化した。


「じゃ、ここ退屈だから他のところに行くね~。バイバ~イ。」


  エンヴィーは立ち上がると、手を振りながら再び扉を開け、部屋から出ていった。


  部屋に残されたのは、エンヴィーと話していた男と隣に座る者だけだった。

  男の容姿は、年の頃14、15ぐらいの少年だった。


「〝自然〟か・・・全く、目障り虫けら共だ。我の計画を邪魔しおって・・・」


  少年は、少年とは思えない形相をしながら、空を睨んだ。


「おこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましいおこがましい・・・」


  少年は、そう呟き続ける。


「・・・。」


  それを聞いても隣に座る者は、只々静観し続ける。


  少年の〝名〟はプライド。

  〝九罪王〟の一人、傲慢を司る、この世界最強の一角である。


 ________________



  時は遡り、エンヴィーが焔龍核撃(クリカラ)を放った直後である。


  とある山の山頂付近の村で、一人の少女が、天に昇る龍のような黒い光を眺めていた。


「ね、ねえ、ディオネ。あ、あれ何かな?」


  少女の周りには誰もいない。しかし、少女は何かに話しかける。


 《ス、スノー。私にはあれが何かはわかりませんが、あれが途轍もない魔力をかけられて作られている、ということはわかります。》


  すると、少女の頭の中にディオネと呼ばれた女の声が響く。

  スノーと呼ばれた少女は唖然として、天に昇る龍のような黒い光を眺め続けた。

  眺める瞳は、どこか澄んでいて、虚ろだった。


 _______________

 ~???~


  少年は夢を見ていた。


  村のあったところに、少年が立っている。


  その横には、自分より少し歳が上の少年が泣き崩れている。


  二人の少年は生き延びた。


  自分たちの親に逃がしてもらえたから。


  逃がしてもらえたのは、二人の少年と一人の少女だった。


  しかし、少女は死んだ。


  少女は村に戻ろうとした。


  歳が少し上の方の少年が、少女を止めようとした。


  だけど、間に合わなかった。


  少女に追いつけなかった。


  直後、少女は村と共に光に飲み込まれた。


  光を放った元凶は、二人の少年に目もくれず去っていった。


  二人の少年は生き延びた。


  歳が少し上の少年はその村の惨状を見て、泣き崩れる。


  もう一人の少年は立ち尽くす。


  村のあった所に立ち尽くす少年が、自分に伝える。


『ありがとう。この未来を変えてくれて。だけどまだ終わりじゃない。これはまだ、始まりが終わっただけだ。これから起こる過去を変えてくれ。君の未来を終わらせないでくれ。そして、』


  少年は続ける。


『僕の過去を変えてくれ。』


  少年は未来を変え続ける。


  夢で見た、最悪の過去を起こさぬように。


  誰にも気づかれないように、一人で。


  知識と能力(スキル)を使って。


  これは、ある少年の、既に過ぎ去った未来とこれから起こる過去を変える物語。





 







 




一章はあと一話で終了ですね。

二分の一話も読んでいただければ幸いです。

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