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異世界で三兄妹が奮闘する話。  作者: G2
始まりの物語編
10/40

第九話 契約

今回、キリがいいので少し短めです。


「はあ。もう終わりか~。もっと楽しめると思ったんだけどな~。」


エンヴィーは、まるで子供が玩具を壊してしまった時のような、落胆の表情を顔に浮かばせ、呟いた。


「あ~あ。つまんない。目的の悪魔族(アクマ)も見つからないしな~。」


そう呟きながら、エンヴィーはルーミに近づいていく。

そして、ルーミまであと五歩というところで、


「ブモォォォォォォ!」


誰も背中に乗せていないティーが、最高速度・・・地球で言うスポーツカー並みの速さで森から飛び出し、エンヴィーへと突進した。

通常の人間なら、即死レベルの突進を、エンヴィーは、


「多重結界」


と、呟くと、エンヴィーの周りにドーム状の見えない壁が、何枚も出現する。

ティーは、突如出現した透明な壁に気づかず、そのままの勢いで突進する。

当然ながら、ティーと透明な壁は激突する。

厚さ1mmにも満たない結界とスポーツカー並みの速さの猪ならば、普通に考えれば、猪が勝つだろう。

しかし、相手が悪かった。般若と猪では“格”が違った。

ティーはそのままの勢いで激突するが、負けたのはティーの方であった。しかも、壊せた結界はゼロ、傷一つついていなかった。ティーの方は、衝撃で頭蓋骨にひびが入っていた。

気絶してもおかしくはなかった。しかし、ティーは主人(ユーズ)の兄を救うため、主人の願いを叶えるために、必死に気を失わないように踏ん張った。

しかしそれは、全くの無駄だった。


「はぁ~。邪魔がよく入る日だなぁ~。」


眉間に皺を寄せて、エンヴィーは炎の鎖を数十個出現させる。

そして、無慈悲にも、今にも気絶しそうなティーに向かって放つ。

放たれた鎖は、ティーの肉をえぐり、血を燃やす。


「ブ・・・モォ・・・」


五分後、残ったのは、焼け焦げた肉塊のみだった。

ティーは、主人の望みを叶えることが出来なかった。

しかし、ティーは幸せだった。

魔物にとって、名前を付けられることが、何よりもの褒美だったのだから・・・。


________________


延々と続くように思える闇の中で、ルーミは一人立っていた。


ああ、俺は死んだんだな。

少しは時間が稼げただろうか。

二人は逃げれたのかな。

はぁ、二人の・・・特にアンの結婚式を見るまで死にたくなかったな。


あれ!?

俺、未練たらたらあるな。

あ~やり残したこといっぱいあるわ。

俺なりに今世の人生計画あったのにな~。

まず、アンとユーズと村を出るだろ、ほんでその後、世界一周して、今世こそ結婚して、子供が生まれて、アンの結婚相手をぶん殴って、ユーズの結婚を静かに見守る。で、奥さんと幸せな家庭を築いて、子供の成長を見守り、孫の顔を見て、なんもやること無くなったら老衰で死ぬ、という最高の人生計画。

あ~あ。

死にたくなかったな~。

生き返れないかな~。

生き返れたら、思いっきり復讐して、第二の人生を謳歌したいなぁ。


《なら、私と契約を結びませんか?》


暗い暗い闇の中に、中性的だけど何所か男性のような声が響く。


え!?誰?


《申し訳ありません。私に〝名〟はございません。ただ言えるとすれば、私は原初の悪魔族(デーモン)です。》


コイts・・・えっと、あなたは僕の心を読みましたか?


《はい。読みました。貴方は心の中で思うだけでいいですよ。後、敬語じゃなくてもいいですよ。》


やっぱ読まれてたか。

それにしても悪魔族(デーモン)か・・・異世界は何でもありだな。ちなみに原初って何だろう?


《原初というのは、最初に生みだされた悪魔族(デーモン)のことで、最も古い悪魔族(デーモン)の総称です。》


お、おう。

まぁ、すごいってことだな。

でも、心の中で思ったことが全部伝わるのは不便だなぁ。


《・・・。》


無視かよ!

ハイハイ。わかりました。少しぐらい我慢しますよ。


《ありがとうございます。》


聞こえてんじゃねぇか!


《では、契約についてご説明させていただきます。》


コイツッ・・・なかったことにしやがった。


《私はわけあって封印された身でして、封印が解けるまで貴方の中に匿ってほしいのです。対価として、貴方に力を貸して差し上げましょう。どう使うも貴方次第です。》


なるほど・・・。

文字通り悪魔との契約ってわけか。

ちなみに「わけ」とはなんだ?


《詮索していただかなければ幸いです。貴方の過去・・・おっと、前世と言ったほうがよろしいですかね。》


コイツ・・・。

俺が転生者だってことバレてるな。

まぁ、そんなことどうでもいい。

あの二人を、アンとユーズを守れるなら、俺は悪魔にだって魂を売ってやる。


《では、契約成立ということで。》


ああ。これからよろしくな!サーガ!


《は?おっと、申し訳ございません。あの、サーガとは?》


ん?お前の名前だけど。


《よろしいのですか?》


え?いいに決まってるだろ。

お前に名前がなかったら、俺が呼びにくいし。


《ありがとうございます。では、私はルーミ様、とお呼び致しますね。》


お、おう。

堅苦しい奴だな。

まぁいいか。


そう思った瞬間、俺に途轍もない虚無感が襲った。

身体から力が抜けていく感じがする。


え?何が起こった?


《私に〝名付け〟を行ったことで、ルーミ様の魔力が失われたのだと推測されます。》


そうなの?

あ、そういえば母さんがそんなことを言ってたような・・・。

もういいや。

起こってしまったことは仕方ない。

死ななかっただけましだ。そうポジティブに考えよう。

ちなみに、残りの魔力どれ位かな?


《少々お待ちください。・・・約9%ほどですね。》


あっぶな!

一割切ってるじゃん。

今度から軽々しく〝名付け〟するのやめよう。


なんてことを考えていると、14年ぶりにあの声を聞いた。


《確認しました。これより、亜人種への進化を開始します。》


パソコンの音声のような、無機質のあの声を。










毎週日曜22時投稿にしようと思ってのですが、僕と同じなろう小説家のオスイモノ先生にさいそくされたため、今週分(第九話)は木曜日になってしまいました。

一応謝ります。

申し訳ございませんでした。

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