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ケモノの王  作者: 橘 ロネ
8/10

迷いの森

自分で「失敗!異世界転生」に引っ掛かんないようにするのは案外大変です。

最近、暖かくなってきて布団から少し出やすくなったのが嬉しいです。

初の他者視点です。

どうぞ

「これより、第1次偵察隊を編成する」

オーギュストが大きな声でそう宣言する

(はあ、めんどくさいな。どうせ流れ星が落ちて来ただけだろ。なんでそんなに神経質になるのか理解できないな。まあ、一回観にいくだけで3年間ぐらい遊べるくらいのお金が貰えるから文句はないけど)

この面倒臭がりはラントリーのトップランカーのトレスである。

「トレス!聞いているのか!」

「ああ、ハイハイ」

「ったく、トレス、お前は第1次偵察隊だ。分かったら返事をしろ」

「ハーイ」

「トレス、何が起きるか分からないから気は抜くなよ」

「分かってますって」

「よし。第1次偵察隊に選ばれた者は準備を始めろ」

「「「「「おう」」」」」

5名程が返事をする。

返事をした5名とトレスが第1次偵察隊のメンバーである。


かくして、第1次偵察隊6名は迷いの森へと進んでいった。


「な、なんだよ、これは」

迷いの森には想像を絶する光景が広がっていた。

至る所に魔物の死体だらけ。しかも、外傷は一切なかった。だが、その代わりに死体の口から血が飛び出ていた。酷いものだと内臓までもが口から飛び出していた。

偵察隊のメンバーの1人であるビステが魔物の死体を剥ぎ取り始めた。

「何をやっているんだ?」

偵察隊のリーダーであるリオルが声を掛ける。

リオルはバレンのトップランカーだ。今回、オーギュストがラントリーに来る時にリオルも一緒に来た。リオルとオーギュストは旧知の仲で互いに信頼し合っている為、リオルは偵察隊のリーダーを任された。

「死因が何かわからないかなと、思って」

「触らない方がいいぞ。未知の病原菌かもしれん」

「大丈夫ですよ。僕は状態異常耐性あるんで」

「それでも、危ない気はしなくもないが。それで、何か分かったか?」

「不思議なんだよね、それが」

「どういう事だ?」

「魔石が粉砕されてるんだよ」

「どういうことだ?」

もう一度同じ質問をした。

「僕も知りませんよ。一体何が起きているのか皆目見当もつかない。しかも、この数をだ。これはいよいよマズいことになったな」

「一旦帰って、本部に報告して討伐軍を待つか?」

「それもいいと思うけど、何が起きているのかをもう少し見てからの方が後々またやるよりも楽な気がするんだけど、どうよ」

「そんな事すればお前も死ぬかもしれんぞ」

ビステの顔つきが真剣な表情へと変わった。

「でも、やんなきゃ討伐軍が犠牲を負うかもしれない。それに下手をすれば討伐軍が変な病原菌とかを撒き散らして、俺らの家族、友人までもが死ぬ可能性がある」

「そうかもな。だが、身の危険を感じたら例え何があっても直ぐに帰るぞ」

「ああ、勿論だ」

ビステは顔を柔らげてはにかんだ。

ビステは旅人であったがA級の冒険者でもあった。今回は偶然旅の最中にラントリーに寄った時に黒き星が降ってきた。

別にラントリーに義理があるとかそう言うのではない。ただ、居合わせただけであった。 だが、そんなのは今は関係ない。ただ、呼ばれたから来ただけであった。

ただ悪に立ち向かう勇気と正義感は人一倍あったただそれだけで今回も手を貸している。

「よし、それでは奥へ進むぞ」

リアルが声を掛ける。

「おう」

多くのパーティーメンバーは気を引き締め直し、小声で返事した。


数刻後

森のかなり深部まで来たトレス一行達。

ここに来るまでの道中殆どの魔物が同じように血を吐いている死体となっていた。中には何人もの人が徒党を組んでやっと倒せるような強力な魔物もいた。

若干数匹小さい魔物が襲って来たがそれに遅れを取ることなどはなく、素早く処理をした。

「せっかく魔物の死体(お金)があるのに持って帰れないなんて、ついてないな」

トレスが他の人達に聞こえない程度に声を漏らす。トレスにとっての魔物はお金でしかなかった。トレスにしてはお金が落ちているのにそれを拾えないなんとも遣る瀬無い状況だった。


更に数刻後

「着いたか」

誰かがそっと呟いた。

トレス一行は森の最深部まで来ていた。

普通であれば来ることすら不可能であるが、今は殆どの魔物が死滅していた為難なく来れる有様であった。

「一度ここで探索をすr「どっしん!!」」

リオルが口を開いた瞬間に巨大ななにかが右側に倒れるような音がした。

即座にパーティーは臨戦態勢に入る。だが、何かがやって来る気配はない。

「調べに行くか?」

「そうするしかないだろ」

リオルの質問にビステが直ぐに応える。

「他もいいな?」

リオルは自分の問い掛けに皆んなが頷くのを見て音がした方向へ向かっていった。その後にパーティーが続いていった。


「なんだこれは?」

そこには湖があり、その中心に血を吐きながら倒れている大きな熊がいた。その横で鹿が悠々と少し紅く染まっている水を飲んでいた。

だが、その熊も鹿も只の動物ではなかった。この森の長であり、この森の絶対守護獣であった魔物である。

熊の方の名をウル・オルソ

鹿の方の名をファン・チュルヴォ

トレスは一瞬2匹が縄張り争いをして、チュルヴォが勝ったのかと思ったがそれではチュルヴォの傷のなさが説明できないし、それにチュルヴォはどこか、オルソを心配しているような動きであった。

そしてチュルヴォはゆっくりとこちらを見た。

「ヒューヒュー」

と、チュルヴォが一鳴きする。

まるで近づくなと、言っているような雰囲気であった。そして、段々と苦しみだした。

「ど…………こ…………だ?」

チュルヴォが人の語を喋り始めたのだ。

「て………お………ん……は……ど…こ…だ?」

「テオンとは誰のことですか?」

リオルの声は震えながらも相対する魔物にしっかりと言葉をだせていた。いかにも滑稽な光景だが誰も笑う者はいなかった。否、笑えなかった。

チュルヴォが一瞬目を見開いた。

「あ゛あ゛あ゛あ゛」

リオルがいきなり叫び始めた。

「デオ゛ン゛ばどごだ?」

今度はチュルヴォから発せられた声ではない。

リオルから発せられたものであった。

すると次々と周りのメンバーが苦しみだした。

リオルに至っては血も吐き出し始めた。

トレスはすぐにチュルヴォに向けて魔法を発動しようとした。だが、詠唱中に魔法が相殺されてしまった。

そして遂にトレスも他の者と同じように痛みに飲み込まれた。


「見つけた。私の可愛い可愛いテオンちゃん」

チュルヴォは自分だけが立っている湖の上で独り言を喋っていた。

そして、テオンのいる方向へ凄いスピードで走っていった。

今回は短め

次いつ投稿するかは筆者も分かりません。趣味で描いているので遅くなります。本気で書いているわけではないので悪しからず。

よければブクマ、感想お願いします。

感想は心にくるので是非。

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