ミライ
テオンが注文したのはボヴァのシチューとサンドウィッチを3個という、至って普通な量の食べ物だった。
食堂にはお酒を飲んでどんちゃん騒ぎをしている人達しか客がいなかったのでテオンが注文した料理は思ったよりも早く出来た。
料理を受け取ったテオンは早速ボヴァのシチューを食べてみた。
味はとても素朴で家で食べるような料理だった。*貶してはいない褒めているのだ。
後に分かった事だが、ボヴァというのは地球でいう牛のような存在で農家が畑を耕す為に使ったりしているらしい。しかも、普通の動物よりも繁殖は簡単らしく一年で3〜4匹産むことができる。そして、お乳はボヴァ乳として人が飲む事ができるらしい。
因みにボヴァのシチューはボヴァの肉とボヴァ乳が使用されているのでボヴァのシチューと言うらしい。
続いてテオンはサンドイッチを食べた。このサンドイッチに使われているお肉は魔肉というらしくその名の通り魔物のお肉である。魔肉というのは普通の動物のお肉よりも美味しい。魔物は高濃度の魔素を体に貯められるという性質を持つためその魔素がお肉の性質を若干変わるので美味しくなるらしい。
テオンは昨日ちゃんと昼食を食べずに夕食も抜いてしまったため、かなりお腹が空いていた。だから目の前にあった美味な料理はすぐさまテオンのお腹の中に収まってしまった。
(ふー、食った食った。この世界の料理は美味しいなあ。これじゃあ日本食とどちらが美味しいか分からないな。今度作って食べ比べしてみよう)
テオンは味と量に満足して、食事を終えた。
(この後は門に行って街に入る為の許可証を作りに行くか)
テオンは食堂を後にした。
「受付のおばちゃん、食事を有難う。これから外に出るけど今日中には帰ってくるから」
「分かりました。後、私はおばちゃんじゃありません。おねえさんです。このピチピチなお肌を見れば一目瞭然じゃないですか?」
「そうk「ですよね?」はい、そうです。おねえさんです。誰が見てもおねえさんです」
「良かったわ、ちゃんとした目があって。それじゃあ気をつけてね」
「は、はい。気をつけて行ってきます」
テオンは【おねえさん】が一瞬鬼に見えたが自分の見間違いではないだろうと確信を持っていた。
そんなやり取りをして、鍵を預けて宿を後にした。
道中は特に何もなく門へと辿り着くことが出来た。
(昨日は夜だったからちゃんと見れなかったけどここの街は中世ヨーロッパっていう感じだな、中華風とか日本風とかもあるのかな?それはさておき取り敢えず門番に声を掛けないとな)
「こんにちは。テオンです。許可証を発行しに来ました」
「おお、テオンか。今行くから待ってろ」
テオンは昨日と同じ人物の声が聞けて少し安心した。数分後昨日と同じ門番が慌ただしく出てきた。
「そんなに慌ててどうしたんだ?」
「お前のせいなんだがな。まあ気付いてないか」
「どういうことだ?」
「お前はルボルディーの亜種を連れて来ただろ?」
「ああ、そうだな」
「実は十数年前にな、ルボルディーがここら辺に来て野原や森に火を点けて廻ったため、沢山の被害者が出てしまった。その時は、森にちょっかいを出したルボルディーが森のモンスターに殺されたが今回も同じようになるのではないか?というのが、今皆んなの気持ちなんだよ。それは丁度来てた商人もそうでかなりビビって今も大騒ぎになっているんだよ。それで今はそれを宥める為に門番が対応してんだよ」
「そうか、お仕事頑張ってな」
「お前のせいでこうなったって自覚あるか?」
「あるがこ生憎のの領民の安全を守るのは俺の仕事ではないんでな。ははは」
「くそ、まあいい。で、用件はなんだ?」
「ギルドカードを作ったから許可証を発行してくれ」
「ああ、やっぱりか。分かった。ギルドカードを見せてくれないか?」
「今出すから、少し待ってくれ」
テオンはアイテムポーチからギルドカードを取り出して門番に手渡した。
「アイテムポーチを持っているのか」
「ああ、そうだな」
「敬語の方が良いのか?」
「いや、大丈夫だ」
「そうか、それじゃあギルドカードを少し借りていくぞ」
「分かった」
門番は門番が待機している部屋の中に入って行った。
数十分後門番はギルドカードと許可証らしき物を持ってきた。
「これからはこれを俺達門番に見せれば街の中に入れるからな」
「ああ、分かった」
「失くすと再発行とか説教とかあるから失くすなよ」
「分かった」
「まあ、これに関しての話はこれぐらいだな」
「そうか、助かった」
「じゃあ、気を付けろよ」
「うん、じゃあね」
「じゃあな」
テオンはアイテムポーチにギルドカードと許可証を入れて、門を後にした。
(これからどうしようかな?)
テオンはこれからどうしようかな迷っていた。なぜなら神と言われる存在は生きろとしか言っていない。つまり、今の所テオンには目標がないのだ。そのためテオンはこれから生きる為の目標を定めようとしていた。
(余りにも簡単すぎるとすぐに達成してしまうからなぁ。なるべく、数十年単位で達成出来るものが良いなー)と、テオンが思索に耽っているとテオンが泊まっている宿に着いた。
受付は【おねえさん】だった。
「戻りました〜」
「おかえりなさい。思ったより早かったですね」
「ちょっとした用事だったので」
「そうでしたか。夕餉は今から食べますか?」
「いや、後で良いです」
「そうですか、それではお部屋でごゆっくりして下さいね」
預けていて鍵を受付から貰った。
「分かりました」
テオンは素早く自分の部屋に戻っていった。
部屋に戻ったテオンはベットに座った。
そして、考え始めた。
(なんか無いかな?なんも目標が無いと暇だしなあ。どうせ永く生きられるんだったらより難しい事をやってみたいな)
「やりたい事か」
テオンは呻きながら独り言を呟いた。
(国とか作るってのはどうだ?………嫌、俺には向いてないか。折角、テイマーになったんだからそれを活かしてみたいよな。………そうだ、クランでも作って最高クラスにするってのはどうだろうか?)
ここの世界ではギルドとは別にクランというのがある。クランはギルドとほぼ同じ存在だがいくつか違う所がある。
1つ目はギルドは設立できないのに対してクランは個人や団体がお金を出せば設立出来るというものだ。
2つ目はクランには位階があり上から
ワールド→レジェンド→マスター→キング→エース→クリミネル
という順になっている。成れる条件は
ワールド:今、存在している国全てに承認されている。
レジェンド:複数の国に承認されている。
マスター:1国に承認されている。
キング:複数の街や地域に承認されている。
エース:1つの街や地域に承認されている。
クリミネル:どこにも承認されていない。
と、なっている。ただ、クリミネルの場合は基本的に非合法クランがここに分類されるので公式な文章や発表では存在しない事になっている。
そして、ワールドクランは100年に一度行われる全ての国が集まる会議において、承認された場合、クランからギルドに名前が変わる。だが、ワールドクランは今はおらず最高でもレジェンドの2ヶ国承認しかいないらしい。
因みに今、ギルドとして存在するのは冒険者、戦士、魔法使い、法律、商人、研究、生産、魔物情報の8つで前3つは魔物を倒す為のギルド、後ろ5つは戦うのではなく裏で色々なことをしてサポートする感じのギルドである。と、まあ、こんな感じになっている。
クランは色々な所に存在していて数は数え切れないぐらいある。クランの掛け持ちは基本的に大丈夫だからクランは凄い数が承認されている。
(クランを作るのは楽しそうだな。いっぱいテイマーを集めて動物園の様にするのも面白そうだな。いや、待てよいっぱい馬系の魔物を集めて競馬というのも面白そうだな。は、男の夢である騎士を叶えられそうだな、空をドラゴンに乗った竜騎士も面白そうだな。どうしようかな?折角、2回目の人生なのだし、1回目じゃ出来ない事をやることにしよう。と、するとやはり騎士や竜騎士のクランを作って戦争にいく傭兵クランかな?人材は追々募集を掛ければ良いか。よし、これからはこれを目標にしていくか)
テオンは少し溜息をついて、笑みを零した。が、窓の外を見るともう真っ暗で急いで食堂に向かった。
食堂へと入ったテオンは料理を注文した。
そして、運ばれてきたのは
コシュンのステーキと煮込みキュロンだ。
コシュンは魔物ではないがその肉はとても美味しい。噛み応えがあり、噛めば噛むほど旨味がどんどん出てくる逸品で、管理も比較的簡単なので大きな農家はコシュンを大量に飼いその肉を売って財を成している。
キュロンはどこか南瓜を彷彿させる出立で煮込んだりすることが多く、煮込むととても甘くなる。そして何と言ってもこの植物は冬に収穫可能なので、農家は食料が少なくなる冬にこれを食べる。それ故か生ではなく煮込みなど温めてから食べることが殆ど。そして、値段も安く一般家庭でもよく食べられている。
テオンは夕餉をしっかりと全て平らげた。門に行く途中の道で買い食いすることもなかったのでかなりお腹が減っていた。
テオンは夕餉を終えると眠気に誘われて部屋へと戻っていった。
部屋に戻ったテオンは眠気の赴くままにベットに入って瞼を下ろした。
大筋の物語はできてるのですが細い所が全然できずに話が一向に進みません。すいません。。。
頑張ります
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