ラントリー&色々な説明
ルーラの案内で早速ラントリーへと向かった。
ルーラが逃げられないようにルーラは歩いてテオンはスレイプに乗っていた。
ルーラはテオンがアイテムポーチを持っているのお陰で体は身軽になり、普通より早くラントリーに着きそうと、案内しながら考えていた。
(この調子なら私が思っていたよりラントリーに早く着いてしまいそう…。ラントリーに着いたら私はどうなっちゃうんだろう…。こうなるならあんな奴らとつるむんじゃなかった)
ルーラはその美貌と冒険者として腕が立つので街では男達によく声を掛けられ、一緒に採取や魔物の討伐をしようと言われる。
無論、純粋に採取や討伐をやるために声を掛ける者は少なく、その下心が丸出しの者も何人かはいる。そのためルーラはほとんど他人とは組まない。
だが、もちろん例外はいる。フロイトという人物はその最たる例である。2人共家が元々隣だったので、家族ぐるみで仲が良かった。そして、どちらとも冒険者に憧れて(というよりも寧ろ、一攫千金を狙って)一緒にラントリーへ出てきた。そこでルーラは剣士にフロイトは魔法の才に恵まれて魔法使いとなった。
お気付きの方もいると思うがさっきテオンが殺した魔法使いがフロイトである。ルーラは今回森に入るという時点で自分かフロイトのどちらかが死ぬかもしれないと思い、覚悟はしていた。不意とはいえ覚悟していたため泣くなど顔の表には表情は見せなかったが、内心はとても後悔していた。自分があの時止めていればとか、2人で来ればと思ったが、「後悔先に立たず」フロイトは生き返らない。
だがそもそもなぜルーラとフロイトは2人だけで行かなかったのかと言われると、その原因はあの森にある。実はあの森にいる魔物はとても強い。
だが、その分その魔物から取れる素材や森に生えている魔草や果実は質が高く、高値で売れるため森に行く人も少なくない。無論、その分二度と森から出られない姿に変わり果てる者も多い。そのためルーラとフロイトは今回丁度森へ行くと言っていた人に同行させて貰うことにしたのだ。
ルーラもフロイトの隣にずっといれば流石に襲われることはないと思っていた為4人で行くという提案を快く受け入れた。
そういう経緯があり、今に至る。
〜・〜・〜2時間半後〜・〜・〜
テオン一行は襲われてから2時間半くらいでラントリーに着くことができた。
ラントリーは近くに森がありそこから取れる素材を求めて来る商人や冒険者に武器を売るために来ている武器商など多くの人が門の前で自分達がラントリーに入る順番を待っていた。テオン達も例外ではなくその列に並んだ。
だが近くに居た商人達はスレイプのことを見て肝を冷やしていた。なぜなら《普通》はルボルディーの亜種がこんな所にいる訳がないし、使役している魔物だとしたとしても亜種ならば元々がかなり低級な魔物しか使役できない筈である。にも関わらず自分の目の前に中の上位種であるルボルディーの亜種がいるのだ。だが、20分程何もせず大人しくしているのを見てその上に乗っている少年が何らかの方法で使役か何かをしているのだろうと考えるようになった。
流石にルボルディー亜種に喧嘩を売る者はおらず近くに居た者達は噂を流しながらテオンには全くと言っていいほど不干渉を貫いていた。
そして、40分程並び日が落ちてきた時にやっとテオンの順番に回ってきた。
「その魔物と女はどうしたのだ?」
やってきた門番に声を掛けられる。
そこでテオンは今まであったことを余すことなく伝えた。若干森から来たというと顔が引き攣っていたがテオンは気付いていない振りをした。
無論、転生の話とか神に武器やらアイテムポーチを貰ったという話はしていない。
すればその内に怪しい宗教団体や学者達が血眼で自分を探しに来るとテオンが思ったからだ。
すると、門番は上司を呼んでくると言って何処かへ消えていった。
数十分程経ってテオンが暇を持て余した頃、テオンは誰かがこっちに来る雰囲気を感じ取った。
こちらに来たのはさっきの門番とそれより年齢が高そうな人だった。
テオンはその後また同じ説明をし、その後また次は調書を作成すると言われて門に付随している部屋に連れていかれ、同じ話をまたするように言われてた。その後また同じ話をしてやっと、解放された。
(ふう、やっと終わったか)
テオンはやっと説明が終わり街の宿屋で休もうと思って、部屋から出て街の中へ入ろうとすると
「許可証を出してくれ」と、門番に言われた。
「なんだ、それ?」
「街に入る為の許可証だよ。失くしたのか?」
「そもそも、そんな物持っていない。ここに来るのは初めてだしな」
「そうか、なら発行するから。身分証明書を出してくれ」
「そんな物は持っていないんだが…」
「何を言っている。この国に生まれた者ならどこかのギルドに入りそこでギルドカードを発行してもらっているだろう」
「そうなのか。実はかなり遠い東の国からここに来ててこの国の事はまだ、よく分からないんだ。だから身分証明書なんて持ってないんだよ」
「そうか、それはしょうがないな。よし、分かった。今回は調書の作成に協力してくれたから特別に臨時許可証を発行してやる。だが、効力は3日間。3日経てば不法滞在になって、捕まってしまうから、その前に身分証明書を作ってここに来てくれ。そうすれば許可証を発行できるから。多分1番簡単に身分証明書を作れるのは冒険者ギルドだ。あそこは犯罪人などを除けばほぼ全ての人がギルドカードを作れる。そのギルドカードが身分証明書になるから、そこでギルドカードを作ってここに持ってきてくれれば後はこちらでやる」
「分かった」
「ギルドは複数入っても問題はないが入りすぎると手続きが大変になってくるから2〜3個程度入るのが普通だな。まあ、参考程度に覚えといてくれ」
「そうか、何から何まで教えてくれて、助かる」
「いや、どうって事ない。んじゃあ、気をつけてな」
「ありがとう」
「また今度な」
「じゃあな」
テオンは手を振って門を後にした。
(まずはギルドに向かうか)
ルーラは門番達に預けている。罪が確認され次第、テオンに犯罪奴隷として奴隷商人に売り付けるか、裁判所へ行くかを決めてもらい、その場へ送ってもらうことになっている。
スレイプは危険がないと分かってはいるがそれを見た街の人が怯えてしまうため街の近くの丘に放し飼いしておくようと、に言われた。丘は街に入れた場合に危険と判断されたテイムモンスターがそこに一時待機をする場所らしくその内、街の人達が恐れなくなったら街に入れても良いとのことでもあった。
門を後にして数十分後に冒険者ギルドに着いた。
冒険者ギルドはとても大きく、その大きさと比例するかの如く人の出入りも頻繁だった。
(おー、案外大きいな。流石は犯罪人以外は入れるギルドだな)
テオンはその大きさに圧倒されながら早速ギルドの中へ入った。
中に入ると女性が受付をしていた。受付嬢はテンプレ通り可愛い。テオンは全く興味を示さないが。テンプレではないところと言えば、酒場がなく代わりに喫茶店のような所が置かれていた。
そして、テオンは受付の女性に声をかける。
「こんにちわ。ギルドに加入したいんですが」
「はい、分かりました。それではあちらの席で説明をしますので少しお待ち下さい。文字は書いたり読んだりできますか?」
「はい、できます」
テオンはラントリーに来るまでに看板などを読んで文字が読めるか確認していた。閣下は問題なく読んだりできた。そして、書くこともできたので文字や言葉に関しては問題なさそうだった。
「そうですか。ではその間こちらの紙に必要事項を書いておいて下さい。
「ありがとうございます」
そう言ってテオンは紙とペンを貰い喫茶店の席へと向かった。
そして、席に座り紙に必要事項を記入していった。
丁度テオンが書き終えたところで受付の人が来た。
「それでは説明を始めます。まず最初に冒険者についてですが、冒険者というのは主に魔物の討伐及び魔物や魔域の調査そして希少資源の採取を行うギルドです。このギルドではその冒険者に仕事を斡旋しています。また、ここでは討伐した魔物の素材の買取なども行なっています。余りにも貴重な素材の場合はギルドで売らず商人などに販売を委託してもらった方がいいでしょう。次にギルドカードですが、身分証明書となりますので盗まれた場合、貴方の名義で悪い事が起きる可能性があるのですぐにギルドに報告して下さい。そういった場合にはギルドカードの効力停止などの措置がなされます。ギルドカードは再発行は可能ですが偽造を防ぐために希少な素材を使用しておりますので金貨5枚程掛かってしまいますので失くさないようにした下さい。余りにも紛失が多い場合には、再発行をせずにギルドからの脱退をしてもらう場合がありますのでお気を付け下さい。〜〜〜〜〜〜〜〜」
その後、色々な説明を受けてギルド加入書にサインして正式にギルドに加入した後ギルドカードを発行してもらった。
「そういえば、今日魔物を森で狩ってきたんですけど買取をお願いしてくれませんか?」
「森に行ったんですか?」
「えっと、駄目でしたか?」
「いえ、問題はないのですが、あそこには高レベルの魔物が多くいるため毎年何十人という人が死んでしまうのです。ですが、高レベルの魔物の素材は高く売れる為一攫千金を狙った冒険者が後を絶たないのです。なので余り入って素材を高く売っていると冒険者達がどんどん森に入ってしまうのでなるべく行かないようにしてもらえると助かります」
「そうですか。分かりました」
「ご協力ありがとうございます。それではあちらの部屋に素材を持ってきて下さい。あそこで鑑定をいたします」
テオンは頷いて、扉を開けて部屋に入っていき、その中で狩って来たスパイントータスや道中倒した熊さんなどをアイテムポーチの中から出した。
すると、受付嬢はまさかそこから出すとは思っていなかったのか驚愕の目をして、急に畏まった調子で
「す、すいません。アイテムポーチ持ちだったとは非礼をお詫びさせていただきます、テオン様」
「えっ?いきなりどうしたんですか?」
「いえ、あ、アイテムポーチ持ちということは嘸かし有名な家の御出身と御察しします」
「いや、俺は一般家庭の出なんだけど」
「そんな謙遜なさらなくとも大丈夫です」
「一切謙遜とかしてないよ。これ貰い物だよ」
「そんな高価な物をあげるなんて随分と高名な方なのですね」
「うん、多分会えばみんな平伏すくらいの人だよ」
(嘘は言っていない。大体アイツ神だし、会えばみんな平伏すでしょ)
「凄い方がご友人なのですね」
「友人ではないけど。まあ、そんな感じの人だよ」
「おっと、魔物の鑑定をしなきゃいけませんね」
「こ、これはスパイントータスにアッズベアーじゃないですか。しかもどっちとも上位種。こっちのは〜〜〜〜」などとブツブツ言って魔物を見ていく。その内に1人では鑑定できないのか「職員を呼んできます」と言って5人程連れて来て、鑑定を再開した。その後、何かを紙に書き出したり魔物の表皮を触ったりして、数十分後にやっと終わりを告げた。
「こちらが鑑定結果になります」
と言われ、紙を差し出された。
「ありがとうございます」
と、テオンは受け取り中身を確認した。
その紙には1,345,860,000と、書かれていた。
「今、額が額なだけにこれらを全額お渡しすることはここのギルド内のお金では足りませんが後日、ギルドでお支払いします。まずは10,000,000ゲルトをお支払いさせて頂きます」
と、言われて金貨が100枚入った袋を渡された。そして、借用書 1,335,860,000ゲルトと書かれた紙も渡された。その2つをアイテムポーチにしまい、ギルドを後にした。
(門には明日行くとして、まずは宿を探さないとな。もう日も完全に落ちてしまったし、早くしないと野宿になってしまいそうだな。ギルドでオススメの宿を聞いとけば良かったな)
と、後悔しながらテオンは宿を探した。そして数十分後、高級そうな宿を見つけた。テオンは今日はそこに泊まることにした。
中に入るとおばさんが受付をやっていた。
「こんにちわ。部屋は空いてますか?」
「はい。空いてますよ。あの、お値段なんですが1番高級な部屋で一泊銀板1枚、1番安いと銀貨3枚からですがどうしますか?」
「それじゃあ、1番高級な部屋にするか」
「お金は大丈夫ですか?」
「さっき、お金がいっぱい入ってきたので大丈夫ですよ」
「そうですか」と、怪訝そうに見つめていた。テオンはお金をアイテムポーチにしまっているので側からみればテオンはお金なんか持っていない浮浪者だ。
そして、テオンは金貨の入った袋を取り出したその中から金貨を一枚取り出して、受付のおばさんに渡した。おばさんは少し驚愕していた。
「これで10泊できますがどうしますか?」
「それじゃあ、10泊します」
「分かりました。部屋は308です。ごゆっくりどうぞ」
テオンは鍵を受け取り部屋へと向かった。
部屋を開けて、そのままベットに潜り込んで寝てしまった。今日1日で色々あったためだろう。精神的にも肉体的にも疲れたテオンは夜に目を冷ますことなく深い眠りに落ちていった。
時間が掛かりました。すみません
1/8追記 正直まだまだ書かなきゃいけないことが多いんですが、文量的に無理なので必要な時に書きます。無理矢理にもねじ込みます。安心して下さい。私を信じてください。