ついにステータス測定会が開催された件について…
週が明けた月曜日、予定通りステータス測定が行われた。
結論から言うと、もっと他の人のステータスに注意を払っておくべきだった。
この日は朝から、学園で筆記試験が3時間ほどあり、お昼休みを早めに取って、1年生全員が王宮へと移動し、ステータス測定に望んだ。
1年生150人全員が王宮前の広場に集合していた。
測定の間はそれほど広くないので、クラスごとに測定室の前に呼ばれ、出席番号順に呼ばれ室内でステータスを測定していく。
私たちのクラスは仮A組なので一番最初に呼ばれた。
爵位の高い順かと思ったが、学園では皆平等という王立学園の建学精神の元、出席番号順で測定していく。
5歳のときと違い、一人が室内に入り、測定後に次の人と入れ替わる。
午前中の筆記試験と、午後のステータス測定の結果でクラスの組み替えが行われ、成績順のクラスとするため、ステータスが他の生徒に分からないようにしているのだ。
新クラス発表は明日の朝。
先生たちは徹夜で採点とクラス替えになるという。
といっても、平民と貴族のクラスが完全に混合されるのは2年次からで、1年次は貴族クラス2クラスの中で、上位のクラスをA組、下位のクラスをB組とし、平民のクラスは成績順にCDE組となる。
つまり、1年次はどんなに優秀な平民でもAB組には入れない仕組みだ。
私は仮A組でアーサー君に続いて出席番号2番なので、すぐに部屋に呼ばれた。
後から考えると、このときアーサ君のステータスだけでもクレヤボヤンスで確認しておくべきだった。
部屋に入ると、学園の先生の代表が3名と王宮職員、それに国王様や宰相様、王妃様などそうそうたるメンバーがステータス測定を見守っている。
私は会釈して、係の職員に促されるままステータスを表示し、素早くクレヤボヤンスでプロジェクターの液晶画面を確認すると、予定通りサイコキネシスを使って液晶表示に細工した。
体力 1451
魔力 1715
力 1343
素早さ1134
予定通りの数値が石版に表示される。
と同時に、会場は一切の物音がしなくなった。
みんな時間が止まったかのように硬直している。
何か失敗したのだろうかと思っていると、国王様が声を上げた。
「まさかこれほどとは…
地竜を従えているからある程度は強いと思っていたが、素晴らしいステータスだ」
「アイネリア殿は国の宝だ。是非将来は王宮で力を発揮して欲しい」
宰相のジョルジュ・ヴォン・ラフォージリア公爵がそれに続く。
「ありがとうございます」
同席していた人たちの賛辞に礼を述べ、私は測定の間を退出した。
何とか人外認定はされなかったようで一安心し、部屋の外で順番待ちをしているカスミちゃんと言葉を交わす。
「どうだったアイネちゃん」
「何とかごまかせたと思うけど、それでもかなり褒められたわ」
「それじゃあ私のときもお願いね」
「任せて、カスミちゃん」
私は測定が終わった生徒の集まる待機室えと案内され、椅子に座って待つ。
カスミちゃんの様子をクレヤボヤンスで確認し、カスミちゃんの順番が来るのを静かに待った。
このとき、室内で測定している他のクラスメイトのスタータスを確認しておくべきだった。
カスミちゃんの番が来た。
私は予定通り液晶をサイコキネシスで操作し、偽の数値を表示させる。
体力 1371
魔力 1711
力 1194
素早さ1437
室内では、私のときと同様にカスミちゃんが色々な人から声をかけられ、お礼を言っているようだ。
声が聞こえないのが惜しまれる。
クラス全員がステータス測定を終えて待機室にそろったところで、この日は解散となった。
後は明日のクラス発表を待つばかりである。
私とカスミちゃんは王子たちの馬車による送迎を断り、街で買い物をしながら学園の寮へと歩いて帰ることにした。




