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王子たちと練習試合した件について… 

 気乗りはしないが10分後に動ける服装で練習場に集合となる。


 アーサー君が先生たちに練習場の使用許可を取ってくるそうだ。


 私とカスミちゃんはため息をつきながら剣術・護身術の授業用に持ってきていた服装に着替え、闘技場へと向かう。

「アイネちゃん、どう戦うの?」

「授業中にカスミちゃんと模擬戦したとき、ちょっと本気でやって見せているから、手抜きして負けるのは失礼だと思うけど、とにかく怪我をさせないように気をつけましょう」

「分かったわ」


 闘技用の練習場に着くと、何故か観客席に人がかなり集まっている。

 どうやら職員室にいた先生たちがみんな来てしまったようだ。

 クリント教官の姿も見える。

 6時間目が終わって騎士団に帰ったと思っていたが、まだいたようだ。


「二人とも、授業のときの雄姿をもう一度見せてくれー」

 クリント教官が期待に満ちた様子で叫んでいる。


 私たちはため息をついて練習用の剣を構えた。


 ます最初は私とレイモンド王子、カスミちゃんとキャスバル王子が練習することになった。

 とりあえず二人ともかなり強いようだ。

 剣筋は私たちの古武術や空手を応用した我流のものより明らかに洗練されているように感じるが、スピードとパワーが圧倒的に違うのでその差を埋めることはできていない。


 レイモンド王子の下段からの切り上げを、交わしながら更に下から上へ叩きあげ、剣を飛ばして勝負を決める。


 カスミちゃんはキャスバル王子の右上からの袈裟切りを

側方に回り込んで下へ叩きつけ、剣を飛ばしたようだ。


「本当に強いな…

 将に次元が違う動きだ…」

「全くだ、二人が目の前で動くと一瞬消えたように見える」

 二人の王子は本当に感心したようにつぶやく。


「いえ、私たちの剣は我流ですから、王子たちの剣はとても勉強になります」

「剣筋がとてもきれいだと思います」

 私とカスミちゃんにとっても、収穫がないわけではない。


「そう言ってくれるのはありがたいが、君たちのスピードとパワーは本物だ」

「ああ、次は相手を変えて実践練習だ」

 二人の王子が二戦目に入ろうとすると、アーサー君から抗議の声が上がる。

「王子たちずるいですよ。

 俺にも手合わせさせてください」


 結局、私もカスミちゃんも3戦をこなした。

 能力差があるので1戦1分程度で終わるので、入れ替えの時間を含めても5分程度と、あっという間だ。


 まだ物足りないのかアーサー君が提案する。

「次は格闘でお願いできないかな?

 それだけ動けるんだから、格闘もかなりいけるんだろ!」

「それはいい。

 僕らも護身術として格闘には力を入れているんだ」

「ああ、俺も是非頼む。

 できるか?」

 レイモンド王子とキャスバル王子も同調する。


 確かに私たちは、本来剣よりも格闘が得意だ。

 格闘もできると言うより、格闘の方が強いというのが本音である。


 前世では、私が古武術、カスミちゃんが空手をたしなんでいたのだ。


 私はカスミちゃんを見るとカスミちゃんもこちらを見て目が合った。

「どうする、アイネちゃん。

 私はいいけど…」

「私もいいわ。

 むしろカスミちゃんの技の方が手加減しにくいような気がするけど大丈夫?」

「寸止めでやってみるわ」


 私たちは了承して、もう一戦ずつ3人と格闘で模擬戦をした。


 結果は当然私たちの全勝である。

 勝ちを譲ったりしない。


 練習を終えたとき、何とか王子たちに怪我をさせずに済んだことに胸をなで下ろす。

 最も、何度も剣をたたき落としたり飛ばしたりしたせいで、男の子3人の握力はかなりダメージを受け、格闘でも私に投げ飛ばされ、カスミちゃんには圧倒的スピードで寸止めされ、三人とも体力とプライドをかなり削られた様子だった。


「これほど差があるとは思わなかった。

 やはり実践で鍛えた君たちはすごい」

「俺は、今日から剣術も格闘術も鍛え直しだ」

「俺の腕が上がったらまた稽古してくれ」


 3人から再戦を約束させられこの日の放課後は終わった。

 とりあえず3人の心が折れていなくてよかった。


 練習場から出ると何故か見覚えのある2人組が立っていた。

 ナターシャさんとイリアさんだ。

「あなたたち、あまりいい気にならないことね!」

「あなたたちは所詮、平民上がりの下賤な者と冒険者にまで落ちた没落貴族でしかないのよ!

 身の程をわきまえなさい!」


 ご立腹の二人は言いたいことを言うときびすを返しどこかへ消えてしまった。



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