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故郷への遠い道(第四話)第二の刺客、現る…

 二人の男を先につかまった4人を連行した衛兵たちの詰め所に連れて行き引き渡す。

 宿に帰った私はお父さまが起きると早速出発するよう提案する。


「おはよう、アイネリア。

 アイネリアは早起きだね! ふあぁー」


 気の抜けたあくびをするお父さまをせかせつつ、私はボゴワの街を後にした。




 12日目、私たちは5つめの国を無事通過し、ヤーレンソの渓谷まであと500キロくらいの所まで来ている。

 今日はここで野宿の予定だ。

 お父さまには、夜の内に進み、渓谷を抜けたいと伝えておいた。


 クレヤボヤンスで確認したところ、渓谷の最も切り立った崖の中腹に桟道が続いている場所がある。

 普通の馬車は通れそうだが、ハクウンたちがまともに通れば、トリケラトプスの体重を支えきれずに桟道ごと谷に落ちるかも知れない。

 更に、その崖の上には大岩をてこで動かそうとしている男たちがいた。


 通行中にあんなものを落とされたら、たとえ直撃しなくても桟道が壊れる。


 しかし、ヤーレンソの渓谷を迂回するにはヤーレ山脈そのものを迂回するため、北にまわっても南にまわっても5000キロ以上の大回りになる。


 ここはテレポーテーションかレビテーションでショートカットの二択であろう。


 私はお父さまがセキホウの輿の中で眠ったのを確認し、テレポーテーションを発動する。

 待ち伏せしている男たちから少し離れたところにハクウンとセキホウを伴いテレポートアウトし、そのまま、ハクウンたちをレビテーションで移動させる。


 崖の上はでこぼこした急峻であるが、レビテーションで浮遊している私たちには関係ない。


「いい、二人とも。

 私のレビテーションで飛ぶのに合わせて足を動かし、岩場を駆け抜けているように見せかけるのよ。

 地面すれすれを飛ぶから、足が届けば地面を蹴飛ばして本当に走っているように足音と振動を発生させること。

 分かった!」

「「きゅいっ」」

 二頭は任せておけという目つきで元気に返事をする。


 私たちは、崖の上の尾根で待ち伏せしている男たちの更に情報にある峰にレビテーションで移動すると、計画通りに時々山肌を蹴り飛ばしながら一気に男たちへ向けて2頭のトリケラトプス突撃を仕掛けた。


 月明かりであたりはある程度明るいが、日はとっぷりと暮れて見通しは悪い。


 そんな中を、地響きをあげながら巨大なトリケラトプス二頭が自分たちに突撃してくるのを確認した男たちは慌てふためいた。


 てっきり桟道を慎重に進んでくると思い込んでいたターゲットが、自分たちよりも更に高い峰から、自分たちに向けて一気に突撃してくるのだ。

 巨体であるが故に急峻な山中では自由に動けるはずがないという思い込みが、現実を受け入れるのに邪魔になっている。

 レビテーションで浮かぶことで安定している二頭は、平地以上のスピードで突進する。


 このまま崖上にとどまり続ければ、地竜に踏む潰されるかはじき飛ばされるかの二択であることを理解した男たちは脱出を試みる。


 仕掛けていた大岩をそのままに、崖を下り始めたのだ。


 安全ロープなしのロッククライミングである。

 しかも下りだ。

 一歩間違えば崖を真っ逆さまに転落することになる。


 絶壁にへばりつきながら下りる男たちには気の毒だが、人の命を狙うのなら自分の命を狙われても文句は言えないはずである。


 私は容赦なく、男たちが用意していた岩をサイコキネシスで動かし、男たちへ向けて落とす。


 もちろん、桟道に当たらないように調整してではあるが、崖にへばりつく男たちにはそんなことは分からない。


 現状で男たちの二択は、岩に潰されるか崖から飛び降りるかに変化した。


 覚悟を決めたのだろう。

 次々に谷底の川へとダイブする7人のならず者たち…


 「南無阿弥陀仏…、南無妙法蓮華経…」


 私は彼らの冥福を祈りながら、その場を通過した。

 ちなみに前世の実家が浄土宗だったか日蓮宗だったかは定かではない。



総合ポイントが5000を超えていました。

ありがとうございます。

記念に短編を投下します。

最強ものに疲れて書いたちょっと変わった短編です。

今までの投下作品と大きく雰囲気が異なりますが、よかったら読んでください。


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