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行ってきます! ヘンリー隊長…

 とりあえず食料と着替えを準備して、お得意先のお肉屋さんやステーキ屋さんに長期護衛の依頼を受けたことを連絡する。


 特にダンカンさんは残念がっていたが、お餞別に特上ステーキをもらった。


 時々自作宝石を持ち込んでいた宝石店のラスリー店長はお餞別に10万マールもくれたが、旅の途中で原石を見つけたら、よそに売らずに持ち帰ることを約束させられた。

 どうやら、これから手に入るであろう原石の手付け金の代わりらしい。


 夜に帰ってきたヘンリー隊長には一ヶ月ほどの長期護衛に出ると伝えた。


 今回の依頼を達成できたら、普通に考えれば侯爵家に戻ることになり、もうサラセリアには戻れない。

 しかし、今の私はどうしてもヘンリー隊長を現状のままで一人にできないのだ。

 ヘンリー隊長は、この街での私の親代わりだった。

 いつでも親身になって心配してくれ、食事の準備も二人でやった。

 なくなった娘さんの面影を私に重ねているヘンリー隊長をこのまま一人にすることはどうしてもできない。


 しかし、父に私の生存を知られた以上、侯爵家に戻ることになる。


 私は、この難しい問題を解決する方法を1つ思いついていた。


 その方法とは、星の時差を利用することである。


 サラス共和国とアルタリア王国は星の反対側にあり、時差はちょうど12時間。


 サラス共和国で就寝した直後に、テレポートでアリタリア王国に飛び、アリタリア王国で就寝した直後に、再びテレポートでサラス共和国に戻り、冒険者として活動する。


 24時間戦い続ける日本のビジネスマンも真っ青の強行軍である。


 もちろん、不眠不休で活動するつもりはない。

 冒険者として街の外に出てからすぐに月面コロニーで眠ってもいいのだ。


 たぶん何とかなるだろう。


 この楽天的な思考はお父さま譲りかも知れない。


 何ともならないのは、お父さまがつきっきりとなる移動中のみだ。


 侯爵家に帰れば、少し長めに睡眠時間を取ることにして、ごまかしきれるだろう。


 とりあえずは、明日から27日以内にアルタリアの首都へたどり着くことだ。




 翌朝、私は多めの食料と着替えを持ち、ヘンリー隊長と南門へ向かった。

 「行ってきます。ヘンリー隊長!

 お土産楽しみにしていてくださいね!!」

「気をつけて言っておいで

 無事が一番のお土産だよ!」


 私はヘンリー隊長に向かって元気に手を振ると、お父さまが待つ門の外へ向かった。



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