ファーストコンタクト…
1時間後、私たち一行はルフルの森の入り口に到着する。
みんなにはそこで待ってもらい、私とカスミちゃんでハクウンとセキホウを呼びに行く。
2頭はきちんと言うことを聞いてそこに待っていた。
最も、日が昇って気温が上がったせいか、風よけの土壁によじ登って周囲の木の葉を食べながらではあるが…
私たちは二頭をつれてみんなが待つ森の入り口へと移動する。
二頭を見たおとなたちはジルバさんを除いて固まったように動かなくなる。
ジルバさんだけはかつて自分たちが報告した地竜と比較しているのだろうか、ハクウンたち2頭に近づいて詳しく観察している。
「なるほど、でかいな…
間違いなくわしたちがかつて見た地竜のうちの一種類だろう。」
ジルバさんの感想に私が質問をした。
「ジルバさん、他の種類も見たんですか?」
「ああ、見た。
こいつらの3倍はありそうな大きい首が長い地竜と、こいつらより二回りほど大きい二足歩行の地竜だ。
4本足の種類はどれもおとなしかったが、二足歩行の地竜は獰猛でわしたちに襲いかかってきたんじゃ」
「よく無事でしたね」
ギガノトサウルスとの戦闘を思い出したのかカスミちゃんが聞く。
「ああ、危ないところじゃった。
応戦しようとしたが力がまるで違ったのじゃ。
しっぽの一撃で吹き飛ばされ、10人のパーティーのうち2人が帰らぬ人となった。
わしらは命からがら逃げ帰ったのじゃよ…」
ジルバさんはつらい記憶を呼び覚まし、悲しそうな光が瞳に宿る。
「この子たちは人を襲ったりしませんよ」
「ああ、そうじゃろうな。
わしたちが遭遇した地竜も、4本足のものはわしらに興味を示さず周囲の草木を夢中で食べておった。
この二頭も4本足じゃから、草食のおとなしい種類なのであろう」
「そうです。
しつけもしっかりしていますから、私たちの言うことはだいたい理解します。
いうこともききますよ」
「「キュイィ」」
2頭を見ながら説明すると、肯定するようにハクウンたちが鳴いた。
「なかなか賢そうな地竜じゃな。
これなら心配はなさそうじゃの」
「はい、絶対大丈夫です。」
「何かあったら私たちが止めます。」
「分かった。
そのようにランバの奴には報告しておこう」
「「ありがとうございます。」」
私とカスミちゃんはジルバさんにお礼を言った。
二頭には再び森に隠れてもらい、私たちはギルドへと引き返す。
無事、報告も終わり、二頭の猟犬登録証ができあがった。
これからは、大ぴらに二頭を乗り回すことができる。
私たちはニコニコしながら、再びルフルの森へ向かおうとギルドを出る。
そのとき唐突に、上空から声がして首都サラセリアの上空に四角い巨大な画面が現れた。
この世界に来て初めて見る超薄型液晶テレビのようなスクリーンである。
サイズは50000インチくらいだろうか。
支えもなく空中に浮いている。
巨大スクリーンは都市の上空いたる所に複数出現し、全く同じ人物を写しだしている。
画面の人物が口を開いた。
「原住民に次ぐ。
我々はローミラール星間帝国第56宇宙師団である。
ただちに降伏せよ。」
本作で最もSF要素が強い章の一つに突入しました。




