遺跡…
扉を開けて中に進む。
正面の壁に文字が浮かび上がる。
モニターになっているようだ。
『Please choose a language.』
『English
German
French
Spanish
Portuguese
Chinese
Japanese……』
「アイネちゃん、これって…」
「ええ、間違いなく英語ね…」
私たちは迷わず日本語を選択する。
壁の文字に触れると表示が変わった。
『ようこそいらっしゃいました。ご用件をどうぞ』
『環境の変更・環境の修復・作業の履歴・その他』
「カスミちゃん、どれを選ぶ?」
「わかんないからとりあえずその他かな?」
私たちがその他の文字に触れると、再び画面の文字が変わった。
『その他が選択されました。
人型インターフェース、ジョージ・ゴードンモデル5428による対応に切り替えます』
表示がフェードアウトして消えるとともにモニターとなっていた壁が二つに開き、中から老人が現れた。
「ようこそいらっしゃいました。
宮川藍音様、霧野香澄様。
私はジョージ・ゴードン5428世です。
いつかはお二人がここを探り当てると思って待っておりました」
私たちは思いっきり混乱した。
現れた老人は明らかに欧米人の老人であるが、流暢な日本語で話している。
「あの、説明していただけますか?」
私が問うと老人はニコリと笑う。
「私はそのためにお二人の前に現れました。
お二人には真実を知る権利がある。
そして今後のこの世界をどちらに導くか決めるのもあなた方です。
立ち話もいかがなものかと思いますので、まずはこちらにお通りください」
老人は自分が現れた通路へと私たちを誘導する。
とりあえず敵意はなさそうだ。
私はカスミちゃんと視線を合わせ、頷きあうと老人の後に続いた。