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EP10 俺、吸血鬼と遭遇する。その6

「あああ、メリッサが!」


「吸血鬼ってホントにいたのかガウ!」


「メリッサの右の首筋の噛みついたぞ、ヒャーッ!」


 ソッと老師ウサエルの家の出入り口の扉を開け、外の様子を窺う俺達の視線の先には、赤い派手なドレスを着た人間の女のコが、ガブリとメリッサの右の首筋に噛みつく姿が――。


「ウギャアーッ! く、首を齧られていますっ……ち、血を吸われているんですかね?」


「うう、メリッサ……痛くないのか?」


「あ、ミネルさん、ご無事で……んん、まったく痛くないですよ。」


「そんなことより、お前、血を吸われても平気なのか?」


「はい、大丈夫ですが複雑な気分ですね。」


 ゾンビ化したことで痛覚が麻痺したことが幸いだったのかなぁ?


 メリッサは吸血鬼に右の首筋が齧られ血を吸われても平気な顔をしている……むう、不気味な光景だ。


「ヒイイイッ……不気味な女だな。血を吸われても平気なの?」


「はい、痛かった別ですが、私はゾンビなので痛覚が麻痺しているので平気ですね。」


 わお、赤い派手なドレスを着た人間の女のコ――いや、吸血鬼がヒイッと喉の奥で悲鳴をあげて引いたぞ。


 ゾ、ゾンビ恐るべし! メリッサ恐るべし! ドクドクと吸血鬼に齧られた右の首筋から大量の血が出ているのに平気そうだし、ニタ~と笑っているし……。


「ゾンビだと!? オ、オエーッ……そういえば、お前の血は腐っていそうだな。く、しばらくしたら腹痛を起しそうだ!」


「あ、それは大丈夫ですよ。私はゾンビとはいえ、生きている人間と変わりませんから――。」


「え、そうなの? ふ、ふう、なら良かった……ギャ、ギャウッ!」


 バシッ――と、老師ウサエルの家の屋根の上から何者かが投げ放った黒い縄を吸血鬼の身体に巻きつく!


「あ、ウェスタさん! い、いつの間に!」


 一体、誰が!?


 と、俺は外に出て確認する――ウェスタだ!


 屋根の上から、あの黒い縄を投げて吸血鬼を拘束したのは、どうやら彼女のようだ。


「これは不死者を捕縛するためにつくられた対不死者専用の兵器の一種よ。」


「へ、へえ、じゃあ、魔法の縄って感じだな。」


「ウギギギッ……まさか、ソイツを持っているモノがいたとは! 貴様、ランシュロの……子孫だな!」


 え、ランシュロの子孫!? 


 と、隙を突かれるかたちでウェスタに捕縛されてしまった吸血鬼が、憎々しげに口にする……。


「残念だが、私はランシュロの子孫じゃない。ああ、そんなランシュロの子孫は絶えたはずだ。理由はわかっているだろう?」


「う、うむ、まあ、それはな……ギャアアアッ!」


「さてと、しばらく大人しくしていてもらうわよ。」


「ぐ、ぐぬぬ……無念、ガクッ!」


 ランシュロの子孫は絶えた?


 ふむ、ウェスタはそんなランシュロの子孫じゃないワケね。


 さてと、一瞬だけど、青白い光が吸血鬼の身体を包み込む――と、その刹那、ギュルンと白目を剥いて吸血鬼は気絶する。


「さあ、コイツを老師ウサエルの家の中に運ぶわよ。ああ、大丈夫、この縄で動きは完全にシャットアウト状態だから――。」

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