EP10 俺、吸血鬼と遭遇する。その4
「な、なあ、どんな風に悲劇に変わったんだ?」
「す、凄く気になるガウ!」
「さあ、もったいぶらずに早く話してくれ!」
「そうだ、そうだ、早く早く! グラーニア様、早く語ってください!」
「わらわも気になって仕方がないのじゃ!」
「あああ、気になりすぎィィ!」
もったいぶらずに早くランシュロとグリーネの物語を語ってくれ――と、俺とサキがグラーニアに迫る。
むう、あの話の続きが気になっているのは、何も俺だけじゃないみたいだ。
フレイヤやフィンネア、それにピルケとエイラまで早くしろ――と、迫る。
「ヒ、ヒイイッ! 皆さん、落ち着いてぇー!」
あちゃ~早く話せと迫る俺達に対し、恐れをなしてしまったグラーニアは怖気づいてしまったなぁ……。
「グラーニア様、続きは私が話します。そうですね、突然、グリーネ姫は裏切られるんです……ランシュロに!」
「「「な、なんだってー!」」」」
怖気づいてしまったグラーニアに変わり、ミネルが続きを語り始める……え、ランシュロがグリーネ姫を裏切るだって!?
「わお、急展開だな! でも、何故……。」
「ひ、酷ぇ……ランシュロ酷いっす!」
「ああ、なんて酷い野郎だ!」
「でも、何故、ランシュロは裏切ったんですかねぇ、ミネルさん?」
「うーん、ランシュロは最初からグリーネ姫を謀っていたんです。」
「最初から謀っていた!? じゃあ、拉致したのって……。」
「あれはランシュロと国王のマックールの計画だったんです! 理由は残っていませんがグリーネ姫の〝何か〟を調べ、そして試すためだったとか……。」
「で、その見分役としてランシュロが選ばれたんです。マックール王がもっとも信頼する騎士のひとりとして――。」
な、なにィィィ~~~! なんという展開なんだ!
まさかグリーネ姫の拉致は、拉致ったご本人であるランシュロとマックール王が水面下で画策した計画だったなんて……。
「で、ランシュロに裏切られたグリーネ姫はどうなったのよ!」
「お、おい、フィンネア! それは俺が訊こうと思ったのに……。」
「はい、彼女は生まれ育ったハイドラベルデ城に連れ戻され、地下牢に監禁されることになりました。」
「そ、そうなんだ……。」
「で、自分を裏切ったランシュロ、そして裏で手引きしてマックール王に対し、グリーネ姫は復讐を誓います。」
「むう、当然だよなぁ……当然の展開だなぁ。」
「ああ、まったくだぜ! 誰だって復讐を誓いたくなるような展開だよ、こりゃ!」
復讐を誓って当然の展開だよぁ。
信じて一緒に逃避行を行ったランシュロに裏切られたワケだし……。
「さて、その復讐方法のせいで、さらなる悲劇を招くことになりましたね……。」
「さ、さらなる悲劇!?」
「伝説によるとグリーネ姫は魔術師でしてね。憤慨するあまり、自分自身の身体を不死者化させる秘術に手を染めてしまいます。で、自分を裏切ったランシュロ、そしてマックール王を地獄へ叩き落とそうと目論んだのです!」
「な、なんだと、自分自身を不死者化させる秘術を編み出して復讐をって……まさかとは思うけど!?」
「件の吸血鬼とは、現代に甦ったグリーネ姫だと思うガウ!」
「ビンゴ! ――とは言えませんが可能性は否めませんね。」
憤怒し、復讐に燃えるのはいいけど、自分自身が不死者になっちゃダメだろう……。
「な、なあ、無論、話はまだ終わっていないよな?」
「当然です。まだ結末を語っていませんからね。」
結末かぁ、悲劇的なモノだとは用意の理解できるけど、続きが凄く気になるなぁ……。
「じゃあ、結末を語ってくれ!」
「はい、わかりました。ここまで語ったワケだし、結末が気になりますよね、皆さん? では……。」
と、ミネルがランシュロとグリーネの物語の結末について語らうとした時である。
まるで扉を蹴破るかのような勢いで、武装した小さな黒い生き物が、俺達がいる老師ウサエルの家の中に駆け込んでくる。
「「「当然だ!」」」
「た、大変だ! また来やがったぞ、吸血鬼が!」
ん、武装した小さな黒い生き物は、エフェポスの村を守護している兎獣人の武人であるクロウサヒコだ……な、なんだと、吸血鬼が再びやって来た……だと!?




