EP9 俺、巨人族の少女と出逢う。その15
「ア、アイツ……ペチャンコになってしまったんじゃ!?」
「で、ですねぇ、アレだけでっかいモノの下敷きになってしまいましたし……。」
「あれで生きていたら化け物だよ、化け物……。」
「デュオニス君だっけ? それは私に対する皮肉? ついさっき、あの骸骨巨人のでっかい右足で踏んづけられましたしねぇ……。」
「ひ、被害者妄想はやめてくれよ!」
「まあ、なんだかんだと、マルスって奴は再起不能だな。」
エイラの突撃によって右足の脛の部分が折れたせいで、ガシャドクロはバランスを崩して仰向けに転倒する。
その際に巻き込まれるかたちで、奴の巨体の下敷きになったマルスは、エイラのようにトンでもなく頑丈じゃない限り再起不能は免れない状況だろう。
「おーい、マルスちゃん、生きてる?」
「むう、あのワンちゃん、いち早く逃げたみたいね。」
シャッと草むらから一頭の大型犬が飛び出してる。
マルスの愛犬であるシベリアンハスキーのアレスだ。
そういえば、ガシャドクロが転倒した際、いち早く逃げ出していたな。
「あらら……マルスちゃんの反応がないぞ。この状況だと、マジでご愁傷さまです、チーンってヤツだな?」
「うおあ、あの巨大骸骨がバラバラになってしまったぞ!」
「こりゃ、マジでマルスちゃんは再起不能だぁ! ハハハ、まったく、ドジだなぁ……」
飼い主であり、相棒でもあるマルスのことが心配じゃないのか、この馬鹿犬!
それはともかく、仰向けに転倒した状況のガシャドクロの巨体が、カシャーンという甲高い音を立てながら崩れ落ちる。
どうやら、コイツも再起不能って感じだな。
「わあ、マルスちゃんが地面に埋まってる!」
「むう、身体が潰れていないだけ、コイツは運がイイかもしれない。」
「ん、どういうことだ、ブックス?」
「仮に死んでいるなら、アレを使って生き返らせてやればいい――そう思ったのだ。」
「あ、ああ、アレね……わ、また口から出すのかよ!」
ブックスの表紙に見受けられるダンディーなヒゲのおじさんの顔が、カッと先行を放つ……むう、猫の絵が描かれている袋が吐き出したぞ、うえー!
「あ、コイツはやっぱり即席ゾンビをつくる薬!」
猫の絵が描かれている袋の中身は、やはりアレだ……死んで間もないモノにのみ効果がある即席ゾンビをつくる薬だ。




