EP9 俺、巨人族の少女と出逢う。その14
「あれ、俺はいつの間に……。」
「うーん、取り込まれたって感じだな。」
「ああ、そうみたいだ。」
「まあいいや、さっきのリベンジはできるなら……。」
さて、エイラに敗北したスケルトン一号、そして二号は、いつの間にかガシャドクロの身体を構成する骨の一部と化していた。
ちなみに、一号は右肩、二号は左足の親指に――。
それはともかく。
「よし、物体縮小魔石を一旦、お返しします! そして巨人に戻って……。」
「待て、巨人化したら、着てる服が……。」
「素っ裸になっちゃうねぇ。大事なところが丸見えになっちゃうわよ。」
「な、なんですって!? じゃあ、下手に元に戻れませんねぇ……あ、だけど、なんとかなります!」
「お、自信ありって感じだな!」
エイラは元々は身長二十メートルはある巨人だ。
しかし、巨人の姿に戻ると、今、着ている服が……。
だけど、小さな姿でもマルスの子分である動く骸骨の集合体である巨大な骸骨――ガシャドクロに勝つ自信がありそうな晴れ晴れとした表情がエイラの才色兼備の容貌に彩っている。
「フッハッハッハッハ! そんな小さなナリでどうしようっていうんだよ、ボーイ? 大人をからかっちゃいけないよ!」
「ガールです! とにかく、小さなナリでもアンタを倒す自信はあります!」
「そうかい? じゃあ、踏み潰してやるぜ、うらぁー!」
グアアアッ――と、ガシャドクロは巨大な右足を振りあげ、足許にいるエイラ目がけて思い切り振りおろすのだった!
「は、ゴキブリが! これでペチャンコだぜ!」
「ゴキブリって人間のお家の台所なんかに潜んでいる黒い害虫ですよね?」
「な、なんだとー! お前、間違いなく踏み潰したはずなのにぃ!」
「ところがどっこい! 小さくなっても巨人族の頑丈さは健在です!」
ん、エイラの声がガシャドクロの右足の下から聞こえてくる……だ、大丈夫だったみたいね。
「うりゃー! はあ、苦しかったぁ……まったく、なんてことをするだーっ!」
さてと、エイラは渾身の力をガシャドクロの右足を押し退ける――ホ、ホントに大丈夫そうだし、寧ろさっきより元気になった気がする。
「よし、今度は私の番だ! オラァーッ!」
「グッ……グギャアアッ! 俺の右足がァァァ~~~!」
さっきのお返しだ――と、エイラは両腕をグルグルとぶん回しながら、ガシャドクロの巨大な右足の脛に向かって突撃する。
「砕け散っちぇーっ!」
「や、やめろ! これ以上、殴ったら右足が折れるっ……グ、グゲェー!」
カシャーン! と、そんな甲高い音が響きわたる!
むう、ガシャドクロの右足の脛が折れる音だ!
と、それと同時にバランスを崩したガシャドクロは――。
「わ、わああああっ!」
「な、なんかヤバいな……逃げろー!」
「ちょ、マルス、どこへ!? ぐ、ぐひゃはわはわはあっ!」
主であるマルスを押し潰すかたちで地面に仰向けに転倒するのだった。




