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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
835/836

外伝EP16 暗黒竜に転生しましたよ。その24

 嘆きの森という深く、そして妖しい森の中は死者の世界だろう。


 何せ、ゾンビを筆頭とした不死者が彷徨い歩いているしね。


 さて、そんな嘆きの森の中には、何故かは俺にはさっぱりわからんが、兎天原という世界に於いての英雄もチラホラと見受けられる。


 その一例が著名な魔術師でもあったウーザー王の墓である。


 んん、死霊使いのキョウに対し、雷を落としたモノって、もしかしてウーザー王の亡霊の仕業?


 墓に近寄るモノ――そう暗黒竜の幼生に転生した俺、中村修一郎らに対して〝近い寄るな!〟という警告だったりして……。


「あ、あへ、あへ、ほへぇぇぇ~……」


「キョウ、大丈夫なのか?」


「一応、生きてるッス!」


「だが、パンツ以外の服が破けちまったようだ」


「み、見るんじゃない!」


「ハハハ、落雷が直撃したのに元気そうですね、キョウ様」


「う、うるせぇ! と、とにかく、代わりの服を!」


「心得た! それーッ!」


「うお、表紙にヒゲ面のオッサンの顔のついた空飛ぶ本! お、パンツ一丁のキョウの身体に新しい服が……いや、破けた服が復元したのか!?」


 落雷が直撃したのにキョウは無事な様子である――タ、タフだなぁ! それはともかく、表紙にヒゲ面のオッサンの顔がついた空飛ぶ本が出現する――その刹那、落雷によって破れてしまったキョウの衣装が復元されるのだった。


 もしかして、あの本――ヘンテコリンな魔法生物の仕業なのか?


「ありがとうよ、ブックス! さて、今の落雷……アレはウーザー王の亡霊からの近づくなっていう警告だったのか? それとも……」


「うーん、なんだかんだと、歓迎はされていないと思う……」


「歓迎されていたら、俺がこんな目に遭うワケがない……う、うお、危ねぇ! 今度は氷の矢が飛んできたし!」


「モ、モギャー! あ、痛くない☆」


「アシュトン君、アンタはスケルトンだし、痛覚もなにも……って、私の身体にも氷の矢が突き刺さっていますね」


「スケルトンとゾンビは不死身でいいなぁ……あ、あんなの当たったら不死者じゃないモノに命中したら、多分、致命傷だっつうの!」


 こ、今度は無数の氷柱が――氷の矢が飛んできた――むう、アシュトンとメリッサに直撃だ! あ、でも、コイツらはスケルトンとゾンビだったな。そんなワケだから氷の矢が身体に突き刺さろうとも平然としている……ちょ、ちょっとだけ羨ましいと思ってしまったぞ、俺!


『ほほう、我が魔術をその身に受けて無事とはな。流石は禍々しい不死者よ』


「うおー、この声は!?」


『きっとウーザー王の亡霊の声ですよ。その前に、あの方も禍々しい不死者ではないでしょうか?』


「ああ、この世に留まっている亡霊という時点で間違いなく」


「わあ、わあああ、そんなツッコミを言うから、氷の矢がまた飛んできたじゃないか!」


 むう、この世に留まっている時点で禍々しい不死者の仲間だと思う――とまあ、そんなツッコミのせいで謎の声の主と思われるウーザー王の亡霊がキレて再び氷の矢を放ってくる!


『ウーザー王ォォォ~~~! このモノ達は味方でございますゥゥゥ~~~!』


「ミュール公! う、お前がここに来たってことは……」


「うお、幽霊旅団も一緒だ!」


『うむ、目障りなモノを引き連れてきたようだな。我が盟友……ぬうんッ!』


「お、おおーッ! ミュール公を追いかけて来た幽霊旅団がすべて逃げ去った!」


「うおぃ、そんなことより、ウォースタリオンの足音が近づいてきているッス!」


『ほう、我が邪悪な息子が近くにいるようだな。まあ良い、我が墓へと来るがよい。話を聞こうではないか』


 ミュール公、助かった! アンタが来てくれたおかげで……って、幽霊旅団も一緒だ! しかし、ウーザー王の亡霊に威圧されたのか、不気味な咆哮を張りあげなら、そのすべてが逃げ去ったしまう。


 さて、なんだかんだと、ミュール公のおかげでウーザー王の亡霊は話を聞いてくれそうな感じに鎮まった様子だ。盟友効果ってヤツ?


 とにかく、ウーザー王の墓へ向かおう。ウォースタリオンの足音が響きわたってきたことだしね。


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