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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
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外伝EP16 暗黒竜に転生しましたよ。その5

 兎や猫の獣人ばかり住む村ことエフェポスの村の周辺には、かつて兎天原の東方、南方で栄えたウサルカ文明とかいう古代文明絡みの古代遺跡が、あっちこっちに点在しているようだ。

 

 しかも未発掘状態の古代遺跡も多く上手い具合に発掘に成功できれば億万長者も夢じゃないって聞く。


 ま、そんなワケだから自然と集まってくるようだ――冒険者と呼ばれると多額の賞金や名声を得ようと目論むモノが――。


 ああ、ついでにエフェポスの村の周辺は稀少な動物が生息する場所、加工すれば鋼をも凌ぐという希少金属(レアメタル)が採掘できる鉱山などもあるようだ。


 無論、金銀が採掘できる鉱山なんも――。


 欲深い連中にとっては夢のような場所だろう?


 だが、それに反し、不死者が蠢く森なんかもある――楽に手に入れられるワケがない相反した特性も設けられたりもするって話。


 むう、オレは今からゾンビや幽霊だらけの森——嘆きの森へ向かっている。


 うう、そこへ近づいているのかわかるぞ――生温い一方で寒気も感じる嫌な空気が漂い始めているからなァ。


「よし、着いたぜ! ああ、水先案内人も呼んである。ここは何度か来ている俺でも危ない場所なんでね」


「水先案内人? ん~……一緒にいるのは、眼鏡ゾンビと動く骸骨、それに喋る兎コンビだけじゃん」


「私はメリッサです。今度から、そう呼んでください!」


「あしゅとんダ。今度カラソウ呼ベ、ちび竜」


「兄貴って呼べ!」


「俺はヤスッス」


「お、おお、それはともかく、俺達以外に誰もいないんだが……」


 うへぇ、まるで墓石のような岩が地中から、いくつもいくつも――とにかく、数多のそんな岩が見受けられる如何にもゾンビや幽霊といった不死者と遭遇しそうな禍々しい森のシルエットが、俺の双眸に映り込む。


 こ、ここが嘆きの森なのか!? う、うお、オマケに密生する大木の鬱蒼とした葉が、蒼穹で燦々と輝く太陽の光を遮っている。


 さて、嘆きの森へとやって来た面子以外に誰がいるんだ!? キョウは水先案内人がいるとは言っているが、周囲を見回しても、俺達以外、誰もいないんだが――。


「う、ううう、寒気がっ……誰だ、俺の背後にいるのはーッ!」


「は~い、私ですぅ☆」


「お、おおお、半透明の鎧騎士だ!」


「あ、コイツがさっき言った水先案内人だ」


「アルケルだ。ああ、本来は別の水先案内人が来る予定ですが、ちょっとした都合によって来れなくなったので、この私が代わりに」


「は、はあ……って、アンタじゃ幽霊か!?」


「ズバリ、その通りです。よろしくお願いしますぅ☆」


「や、やっぱり! だけど、幽霊にしちゃハイテンションだな、おい……」


 な、なんだと、半透明の鎧騎士だと!? むう、アルケルと名乗ったんだが――え、コイツが水先案内人だって? そ、それに幽霊…だと…!?


 だ、だが、妙にハイテンションな奴だな。本当の幽霊なのかぁ、コイツ。


「さあ、こちらです。大霊樹の実は、そろそろ熟す頃かと思います」


「おお、そうか! んじゃ、よろしく頼むぜ」


「大霊樹の実? なんだ、それ?」


「さあね。よくわからんが、キョウはアレの実が熟すのを待っていたっぽい」


「私のもわからないです。キョウ様はアレを使って何かしらのお薬をつくろうとしているコト以外は……」


 大霊樹の実? キョウが嘆きの森へやって来たのは、ソイツを採取するためか? ん、何かしらの薬をつくろうとしている?


 むう、名前から考えて嫌な予感がするなぁ……ま、まあ、とりあえず、嘆きの森の中へ足を踏み入れてみますかぁ。キョウの奴が先に進んでしまったワケだし。


「あ、キョウさん、待ってください! まったくぅ、さっさと行っちゃうんだからァ……あ、言い忘れたコトが!」


「言い忘れたコト?」


「おい、アルケル、早く来いってばー」


「近頃、他の区域から幽霊旅団(ワイルドハント)という厄介なモノ共が嘆きの森にやって来ていまして……あ、今、行きます」


 幽霊旅団――ああ、要するに幽霊の集団ってところか? ンで、ソイツがトラブルを――ってか? 同じ霊同士で何かしらのモメ事でも?


「フフフ、僥倖とはこういうコトなんでしょうね」


「はあ、何が僥倖だよ。キョウを見失っちまったっつうのに……」


「ああ、ご心配なく。ここはキョウさんにとって自宅の庭のようなモノでして――ところで暗黒竜ですよね、アナタ?」


「あ、ああ、そうらしい。でも、幼竜だぞ」


「幼竜とはいえ、アイツらには脅威的な存在ですよォ」


「え、アイツらって?」


「ほら、さっき言ったでしょ? 面倒な幽霊旅団にですよ。だから僥倖って言ったのです」


「むう、というコトは俺はソイツらの弱点みたいなモノなのか……」


 なんだかよくわからんけど、幽霊旅団とやらにとって俺――暗黒竜が驚異的な存在らしい。


 ん、もしかしてソイツらの弱点なのか? まあ、とにかく、さっさと先へ進んでしまった嘆きの森が自宅の庭みたいな場所だっていうキョウの後を追いかけないとな、下手をすりゃ迷子になっちまいそうだ。


 今いる嘆きの森に足を踏み入れたのはいいけど、ゾンビや幽霊などと遭遇、或いは迷子になって遭難してしまうモノも多いって話だしね。

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