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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
809/836

外伝EP15 兎天原にやって来た修学旅行生 その28

 ミイラリーダーことタケシの不浄な肉体は崩れ落ちる――聖者(モルニス)によって。


 で、そんなタケシの崩れ落ちた身体の中から光の玉が――浄化され真っ白く染まった魂が飛び出す。


 さてさて、モルニス曰く、ここからが肝心らしい。


 不死者は厄介だ――例え肉体を失っても霊体、或いは魂だけの状態でも活動し続けるっぽいようだし。


「さぁて、やりますかぁ……」


「え、何を?」


「そりゃ魂送りの儀式だ。タケシってミイラリーダーのね」


「そ、そうなのか……って、儀式っていう割に呆気ないような? ヘンテコリンな幾何学模様って感じの絵を描いただけだし」


「いんだよ、細ぇこたぁ! さあ、完成だ……あの世へ逝けィィ!」


「おお、地面に描いた絵が光り出した……え、ええ、渦!?」


「タケシの魂が吸い込まれたァ!」


 魂送りの儀式? 僕にはチンプンカンプンだから、ざっくばらんに説明すると、タケシの魂をあの世へと導く儀式ってヤツではないだろうか?


 が、そんなに呆気ないモノでいいんだろうか?


 いんだよ、細ぇこたぁ! と、モルニスは言うけど、奇妙な幾何学模様を描くだけいいのかぁ……あ、光の渦が吹き出してタケシの魂を飲み込んだから、多分、アレでいいのかもしれないな……うん、そうだ、きっと。 


「さ、これで改めてカルネザル草を採取するコトができるだろう。ミイラリーダーがいなくなったおかげで、他のミイラ共はいなくなってしまったしね」


「あ、ああ、そうだな! んじゃ、早速……ギャ、熱いィ! なんじゃ、こりゃあーッ!」


 よし、なんだかんだと、ヘンテコリンな石像のあっちこっちに生えたカルネザル草の採取だ……が、右手の人差し指と親指が触れた途端、熱湯に触れたかのような猛烈な痛みが駆け巡る!


「ああ、言い忘れた。カルネザル草は別名、熱湯草って呼ばれているんだ。そんなワケだから素手で触らない方がいいぞ☆」


「そ、それを早く言えーッ!」


「ハハハ、それじゃ採取する前に、カルネザル草を素手で触っても良いのかって聞かなかったのかね?」


「そ、それは……」


「うむ、まさに油断というヤツだな。何を実行に移すのなら、前以て訊くようにしたまえ」


「む、むう……」


「フフ、まあいい、私が採取しよう」


 別名、熱湯草だぁ……あ、ああ、だから、触った途端、火傷を負ったかのような激痛に襲われたのか!


 だ、だけど、僕が聞く前に説明しろよ、あの草――カルネザル草についての詳細を!


「よし、採取だ」


「わ、わわわ……って、熱くないぞ!」


「コイツは根っこから引き抜くと温度が下がるだ。急激にね」


「そ、そうなんだ。そりゃ助かる……って、おい! 素手で引き抜いちゃいないかァ!」


「フフフ、ちょっとしたコツあるのさ! 教えてやらないけどね☆」


「えええー、教えてくれないのかよー! ケチーッ!」


 ふむ、根っこが外気に触れると急激に冷めるのね……ふ、ふう、これは助かる!


 ちょ、それはともかく、モルニスは素手でヘンテコリンな石像に生えたカルネザル草を引き抜いている!


 僕はあまりの熱さに悲鳴をあげてしまったけど、アイツはなんともないぞ――どうなっているんだァ、モルニスの手は!?


 つーか、コツを教えてくれないとかケチだなぁ……。


「ケチではない。企業秘密ってヤツさ!」


「き、企業秘密ねぇ……」


「おっとっと、肝心なコトを言い忘れていた。カルネザル草を取り扱うに当たっての忠告をね」


「忠告?」


「ああ、では、語ろうではないか――うん、ありていに語ろう。搾り汁が完全に乾燥するまで決して触るなってね」


「ふ、触れたらどうなるんだ?」


「そりゃもちろん、触れた部位が腐れ落ちるのさ☆」


「ナ、ナニィィ!」


「ま、それは私以外の話だけどね」


「ちょ、お前以外って……お、おい、コツを教えろよォ!」


「嫌だよ。コツは口が裂けても言えないな――さて、なんだかんだと、君の仲間を救う薬は私がつくるから安心したまえ☆」


「お、おお、それなら文句はないかも……」


 うええ、触れた部位が腐れ落ちるって!?


 うーむ、ここはモルニスに頼った方が良さそうだなァ……アイツはけちんぼだし、何も教えてくれなそうだしね。


「よぉし、私の工房へ往こう! そこでカルネザル草の搾り汁を原料としたとっておきの薬をつくろうじゃないか!」


「あ、ああ……」


 モルニスの工房ねぇ、どんな場所かは知らないけど行ってみる価値はありそうだ。


 ついでに、他にも何か貰っておこうかな——この世界で役立ちそうなモノを。


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