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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
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外伝EP15 兎天原にやって来た修学旅行生 その23

 シャムシェラの森の深奥に見受けられる巨大な縦穴――聖人達の洞窟のさらに奥に存在する地中古代遺跡ことタグミ王墓の出入り口である横穴の前へとやって来たまでは良かったんだが――。


「ねえ、あの石像、微妙に動いてない?」


「あ、ああ……」


「あれは墓守だ。見たところ眠っている状態だな。さあ、我々の気配に気づいて目を覚ましてしまっては面倒だ。さっさと、この先のタグミ王墓へと駆け込もう!」


「えっ……あ、ああ!」


 とまあ、そんなこんなでタグミ王墓の出入り口である横穴の前には、ボロボロに朽ちてはいるが巨大な剣を携えた全長十メートルは確実にある無骨で巨大な石像が一体、鎮座しているワケだが、ソイツが微妙に動いている……は、墓守だって!?


 微妙に動いているワケだし、所謂、魔法生物……ゴーレムってヤツか?


 さて、そんな魔法生物――ゴーレムは眠っているようだし、今のうちにタグミ王墓内へと駆け込むべきだな。


「眠っているのか、コイツ……へへへ、そのドデカい足に落書きをしてやるぜ☆」 


「ちょ、兄貴、何をやっているんスか!」


「おいおい、見てわからんのかァ?  ん、んんん……ド、ドヒャーッ! 動き出したァァァ~~~!」


「ば、馬鹿、起こしてどうするんだァ!」


 あ、兄貴の馬鹿ッ! ゴーレムが目を覚ましてしまったじゃないかァ!


 眠っている状態とはいえ、墓守ことゴーレムの落書きなんて……ああああ、ほらぁ言わんこっちゃんない!


「意外と敏感に反応するんだなァ……」


「兄貴、何を言っているッス! とにかく、タグミ王墓の中へ!」


「お、おお……って、見た目に反して動きが素早いぞ! うわあ、ボロボロの剣を振りあげた……叩き斬られるゥ!」


「あ、兄貴ィィ!」


「仕方ねぇ、ここは俺に任せろーッ!」


「そういえば、あのゴーレム野郎と同じくデカブツが一緒だったな!」


「兄貴は僕に任せて……ウリャーッ!」


 むう、ゴーレムの奴、見た目と違って意外と俊敏に動くぞ——あ、ああ、兄貴目掛けて携えているボロボロに朽ちた剣を頭上に掲げると、一気に降り下ろそうとしている!


 だ、だが、同じく巨大なデカブツ――角生えた大蛇ことバシュムが体当たりをぶちかます!


 で、僕はその隙に兄貴を抱きかかえながら、目の前の横穴――タグミ王墓の中へと駆け込むのだった。


「うへぇ、中に駆け込むんだまでは良かったけど、真っ暗闇で何も見えないぞ!」


「フフ~ン、こういう時に役立つモノなら持っているぞ」


「え、懐中電灯でも? わ、明るくなった……ん、光る球体が浮いている!」


「光珠だ。持って来て良かったぜぇ☆」


 タグミ王墓内は、なんだかんだと、真っ暗闇である。


 むう、こういう時の懐中電灯などがあれば――お、おお、そう思った直後である。


 兄貴が空中に浮遊する光る球体――光珠を持ってきたようだ。


 よし、これで真っ暗闇のダグミ王墓内が、ある程度だが明るくなったし、カルネザル草を探すコトができるぞ!


 だが、その一方で――。


「兄貴ィ、あそこに階段があるッス! ん、誰かが封印の蓋を壊したっぽいッスね」


「タグミ王墓の玄室にでも繋がっているんじゃね?」


「ああ、確かに玄室に繋がっている階段だが、そんな玄室――このタグミ王墓の被葬者の遺体が納められている棺が安置されている部屋に繋がっているってコトが、どういう問題を招くか想像してくれたまえ」


「え、それって……」


「お、気づいたようだな。ほら、見給え。我々の周囲を――」


「ミ、ミイラ男の集団だァァァ~~~~!」


「ミイラ女も混じっているぞ!」


「そんなツッコミはどうでもいい! ミイラ男……不死者に囲まれてしまっているじゃないかッ!」


 さて、今いるタグミ王墓の玄室――被葬者に遺体が納められている棺が安置されている部屋へと繋がっている階段が見受けられるワケだ。


 オマケに、そこへと繋がる階段を封印していた蓋が破壊された状態ってコトは、どんな危険を招くか僕は知るのだった――ミ、ミイラ男、それにミイラ女……被葬者と一緒に埋葬された連中が不死者化した成れの果てに包囲されてしまったぞ!


「ウガアアアアーッ!」


「ヒ、ヒイイーッ!」


「王様ノ墓ヲ荒ラスンジャネェ!」


「わお、喋れる個体もいるーッ!」


 ヒ、ヒイッ……ぼ、僕の背後から迫り来るミイラ男が、不気味な咆哮を張りあげる!


 む、ソイツも驚きだけど、喋るコトができるミイラ男もいるようだ……も、もしかしてリーダー格なのかも!?


「ギ、ギギギーッ!」


「ガギギ、ゴギギガー!」


「何、コイツラハ墓荒ラシデハナサソウダッテ? ソレハ錯覚ダ。何セ、コンナ地中マデヤッテ来タ連中ダカラナ!」


「ちょ、僕達は墓荒らしなんかじゃない! わ、襲いかかってきた!」


 青カビだらけの小汚い包帯に全身を包まれた薄気味の悪い怪物だが、流石はリーダー格! 


 僕には何を言っているのか、それが理解不能なミイラ男達の言葉を理解しているワケだし――と、それはともかく、僕達は墓荒らしなんかじゃない。カルネザル草を採取しにやって来ただけなんだ!


 むう、そんな僕達の周囲を取り囲む不浄な集団――ミイラ男orミイラ女の数体が飛びかかってきたぞ!


「う、うわああ、近寄るなーッ! お、おお、ミイラ男の首がもげた!」


「ウ、ウガアアーッ!」


「テ、テメェ! ヨクモヒロシを!」


「ス、スマーン……そ、そんなつもりは……って、おい! もしかして聖属性、或いは光属性の力なのか!?」


 む、むう、襲いかかってきたミイラ男の一体――ミイラ男Aと仮称しておこう。


 とにかく、そんなミイラ男Aに対し、無意識のうちに僕は鉄拳をぶちかましていたようだ――で、その結果、ミイラ男Aの首がもげ、地面にゴトンと転げ落ちる。


 乾燥状態の古代人の死体が化け物と化した存在だし、なんだかんだと、その不浄な身体を脆い様だぞ……いや、僕の身に備わる聖属性、光属性の力も関係しているんだろう。

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