外伝EP15 兎天原にやって来た修学旅行生 その22
兎天原の東方は、古代遺跡の宝庫らしい。
古代の大都市が、そのまま地中に埋もれた感じ……ってところかな?
さて、兎天原の東方には、昔々、地上にあるすべてのモノが信用できなくなった〝とある王〟が、中深くに宮殿をつくって、そこに引きこもった――という伝説があるようだ。
もしかすると、獣化の呪いによって獣の姿になってしまった光桜学園の仲間達を人間の姿に戻すコトができるモノでもあるが、その一方で猛毒薬でもあるカルネザルの材料となるカルネザル草が採取できる、という遺跡だけど、件のヒキコモリのとある王様が築きあげた宮殿跡だったりして――あ、そのまさかである。
「うわぁ、洞穴の入り口に左右対称の円柱が立っているぞ」
「この洞穴の中に遺跡があるのかぁ」
「しかし、ここはタダでさえ深々とかした穴底だっていうのに、さらに地下へと進むのか……」
「まあそう言うな。ささ、ついて来るんだ」
むう、今、僕がいる場所――聖人達の洞窟は、タダでさえ深々とした穴底だっていうのに、更に地下へと下るなんて……。
――ったく、この先にある洞穴の奥に宮殿をつくった奴は、どんだけ地上が大嫌いなんだよ!
「いいかい! この先は不死者だらけだが、この聖なる松明を持っていれば近寄って来ないから大丈夫だ」
「こ、これが聖なる松明なのか!?」
「ちょ、何かしらの獣の大腿骨っぽいんだけど……」
「なるほど、ガルログの骨じゃな。それは――」
「ガルログって何?」
「通称、地中犬――土竜のように地中で暮らす犬に似た獣じゃよ」
「そんなガルログの骨はよ~く燃えるんだ」
「あ、ああ、それで松明の代わりになるワケね」
土竜のように地中で暮らす犬に似た獣ガルログねぇ……。
兎天原には奇妙な生物がいるようだ――しかも骨がよく燃えるので松明として利用できるようだ。
だが、それと聖なる力が、どう関係してくるのやら――。
「ガルログは聖獣としても知られていなかったッスか?」
「ん、そうだっけ?」
「じゃあ、無暗に殺傷したらトンでもない罰金を取られるハメになるッスよ!」
「み、密漁をやってるのか!」
「知らな~い、知~らない~」
な、何ィィ! ガルログは聖獣で、無暗に殺すコトができたいっぽいな。
んで、仮に殺してしまった場合、トンでもない罰金を取られるようだ……ちょ、モルニス達は密漁者だったりする!?
「ハハハ、大丈夫だ。これはガルログの化石だよ、化石。ここいらではけっこう見つかるんだ。アレは今も生き続けている古代獣だったりするしね」
「へ、へえ、そうなんだぁ……」
「ああ、そうだそうだ。ガルログを狩ろうとして返り討ちににあった遭う密猟者も多いぞ。アレは個体によっては三メートルを超えるし、オマケに狂暴な肉食獣でもあるからね」
「む、むう、その話が本当なら密漁も大変なんだな……」
ガルログは密漁者に狙われる希少動物という面を持つ聖獣なのね。
だが、その一方で密猟者が返り討ちに遭う場合も多いようだが――。
「さ、それじゃ地中古代遺跡――タグミ王墓へ向かおう」




