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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
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外伝EP15 兎天原にやって来た修学旅行生 その16

「ギギギギ……オ前達モ丸呑ミダ!」


「ちょ、待て……仲間だろう? 友達だろう? そんな俺も丸呑みかよ、ムシュフシュ!」


「腹ガ減ッタラ、ソンナコトヲ気ニシナイ」


「この野郎! だっから俺もお前を丸呑みにしてやんよ!」


 さてさて、僕や清水、オマケに兄貴がムシュフシュの体内から脱出を試みようとして頃、平行して、そんなムシュフシュの身体の外では、兄弟(?)かもしれない大蛇ことバシュムとの間で戦いが今にも起きそうな状況である。


「分が悪いな。同じ蛇でもムシュフシュの方がでかい!」


「違ウゾ! 首カラ下ハ獅子ダ!」


「即ツッコミかい! うーむ、どの道、私達も食べようとする筈だわ。キョウ……やるわよ!」


「ああ、わかっているさ!」


「待て待て、待つのじゃ……妙な音がムシュフシュの体内から聞こえてくる……しばし様子見じゃ」


 ムシュフシュは頭部は蛇であるが、胴体は獅子である――って、間違いに対し、即ツッコミを入れてくるとは抜け目がない奴だな。


 と、それはともかく、ムシュフシュの身体の中から妙な音が聞こえる――そうウサエルが言う。


 多分……間違いないだろう。


 その音というのは――。


『ギャ、ギャゴオオオオーッ! 俺ノ腹ガ破ケタ……痛イ、痛……痛イィィ!』


 チュドーンッ――と、そんな爆発音と響きわたると同時に、ムシュフシュの右の脇腹から破裂し、赤々と燃え盛る火炎と爆風は吹き出すのだった。


「よ、よし、なんとか脱出できたぞ!」


「兄貴、爆弾の導火線に何も言わずに火をつけるなよ!」


「そうだそうだニャ! 危うく死ぬところだったんだし!」


「まあ、こうして無事に外に出られたワケだし、気にすんなって☆」


「「ば、馬鹿かアンタはーッ!」」


 さてと、ムシュフシュの右の脇腹に開いた風穴から出てきたのは、僕――池口翔太と清水、それに兄貴だ。


 ムシュフシュの胃袋内に寄生する鼠達が所持していた爆弾のおかげで、対外に出られたってワケだけど、危なく巻き込まれるところだったんだよなぁ……。


 兄貴が爆弾の導火線に、何も言わず火をつけたおかげで――。


「ウギャアアアア、ギャゴオオオーン!」


「ムシュフシュが逃げ出したぞ!」


「その前に右の脇腹に穴が開いているのに、よく動けるなァ……」


「あの程度じゃ死なんよ。仮に殺るなら、首を斬るしかない」

 

「そ、そうなの? 凄い生命力だなぁ……」


 え、右の脇腹に風穴が開いた程度じゃ死なないって!?


 あははは……凄い生命力だなぁ、僕もアイツのような生命力が欲しくなってきたよ。


『おお、まさしく、アレは私の身体……私の遺骨です!』


「お、おお、それは良かった……」


 さて、なんだかんだと、ムシュフシュが僕達を食べるために仕掛けていった骨は、アズヴァーの遺体で間違いない様子。


 ご本人――荒魂と化したアズヴァーが狂喜乱舞するかの如く僕の周囲を飛び回っているしね。


『聖者様、どうでもいいのですが、我々はあの御方を怒らせてしまったようです』


「そ、そういや、お前もいたんだったな……え、あの御方? 魔女モルガン・ルフィエルのコト?」


『はい、多分、あの方が自ら出向いてきた可能性があります』


「な、なんだってー!?」


 う、そういや、僕のコトを聖者様と呼ぶ巨大荒魂も一緒だったなぁ……え、魔女モルガン・ルフィエルが怒っている!?


 そ、そういえば、ムシュフシュの身体の外に出てから、妙な気配を――そして空気が重くなった気がするんだけど、もしかして!?


『誰よ、誰、誰ェ! 私の自宅の外で暴れているのは――ッ!』


「こ、声が聞こえる……怒鳴り声が……」


「むう、この声は……彼奴め、生きておったか!」


「ちょ、もしかしてモルガン・ルフィエルが、ここに!?」


「うむ、間違いない。あの声は、あの女じゃ。十数年ぶりに聞くが間違いはない」


 むう、ウサエルが間違いないって言っているワケだし、ここへ――魔女モルガン・ルフィエルがやって来る!


「ああ、見るニャ! 何か……霧の中に人型のシルエットが!」


「あ、ああ、でも、いつの間に霧が立ち込めたんだぁ?」


 気づけば、真っ白な霧が立ち込めている――まさに白き闇だ。


 そんな霧が立ち込めているせいで、みんながどこにいるのか、それがさっぱりだ。


 だが、薄っすらと人影のようなモノが浮かびあがる……魔女モルガン・ルフィエルのシルエットだ!


『その声はウサエル! まだ生きていたのね!』


「お互い様じゃ、魔女モルガン・ルフィエル……いや、シルキー。フフフ、まさか厄災の化身であるモルガン・ルフィエルのフリをするとはな。どれ、その正体が、お前とはのう」


『ちょ、私は魔女モルガン・ルフィエルよ! 人呼んで厄災の化身……ひ、人違いよ、人違い!』


「嘘は良くないぞ、シルキー。どれ、その正体を暴いてやろう……ヌウンッ!」


『ちょ、やめなさい……うひゃあああーッ!』


 え、魔女モルガン・ルフィエルじゃなくてシルキー!?


 でも、さっきは魔女モルガン・ルフィエルの声で間違いないって言っていたのになぁ……。


 むう、なんだかよくわからないけど、とにかく霧の中に浮かびあがったシルエットの正体は、魔女モルガン・ルフィエルではないようだ。


「ん、ちんちくりんな眼鏡の女のコ!?」


「シルキーじゃないか! この野郎、あの御方かと思ってビビったじゃないかッ!」


「じゃ、じゃあ、本当に魔女モルガン・ルフィエルじゃないんだな、コイツ……」


「仮に魔女モルガン・ルフィエルなら、その姿はキョウと酷似している筈じゃ」


 魔女モルガン・ルフィエルの姿は、一緒にいるキョウとそっくりだぁ――むう、バシュムも違うって言っているので、目の前にいるちんちくりんな眼鏡の女のコは、魔女モルガン・ルフィエルではなくてシルキーという人物で間違いないようだ。


 なるほど、コイツが魔女モルガン・ルフィエルの声真似をしていたけど、ウサエルが立ち込める霧を気合の一声で吹っ飛ばしたおかげで、その正体を曝け出すコトになったワケね――と、その前に何者なんだ?


 バシュムやムシュフシュと同じく魔女モルガン・ルフィエルの下僕なんだろうか!?

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