EP9 俺、巨人族の少女と出逢う。その7
「だが、断る!」
「え、ええええーっ!」
俺はお断りと一言を言い放つ。
決闘なんて冗談じゃない。
なんだかんだと、黒ずくめの不気味な仮面の人物は強そうだしなぁ……。
俺は人を見る目だけはある。
あのアグリッピナ・マウソロスに匹敵するヤバい奴だって一目でわかってしまったワケだし……。
「むうう、断ることは絶対に許さない! ぜ、絶対に許さないよ! 月の宮殿遺跡で待ってるからな、三日後、必ず来いよ! 来なかったら百倍返しだからな!」
「あ、おい、話を勝手に進めるなよ!」
「とまあ、そんなこんなで三日後にマルスちゃんと勝負してあげてくれ!」
「あのなぁ……。」
なんだよ、身勝手な奴らだ。
そう勝手に話を進めると死神を連想させる黒ずくめに身を包む怪しい仮面の人物――マルスと喋るシベリアンハスキーの姿が、フッと空気の中に溶け込むかのように、俺の視界から消失する。
「ああ、いなくなった! まったく、人の迷惑を考えやがれ!」
「うんうん、ホント困りますね! ああいう迷惑千万な空気が読めないお馬鹿さんは――。」
「むう、エイラ、それはお前が言っていい言葉じゃないと思うんだが……。」
「え、どうして? 何故?」
「お、おい忘れちゃいないか……。」
「「「俺達の家を壊したことを忘れている!」」」
「わあああ、ゴメンなさ~~~い!」
栗鼠や鼠、雀や鳩といった小動物型獣人&鳥人達が、再びエイラに対し、襲いかかる。
なんだかんだと、彼女には迷惑千万とか空気が読めないとか言う資格はない気がするんだよなぁ。
「さてと、なんだかんだと、三日もあるし、決闘前の修行と洒落込もうじゃないか、キョウさん。」
「ちょ、ウェスタさん、アンタはアイツらの身勝手な話に乗る気なのかよ!」
「まあね、面白そうだし~☆」
面白そうだって、おいおい……。
まったく、決闘を挑まれた相手じゃないから、そんなことを言えるんだ!




