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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
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外伝EP15 兎天原にやって来た修学旅行生 その6

「ウ、ウオオオーッ!」


「ウニャアアアーッ!」


「それでは駄目じゃ! 奇声ではない。タダの絶叫じゃ!」


 不本意ながらも、僕と清水は絶叫を張りあげる。


 しかし、ウサエルから駄目だしをくらってしまうのだった。


 む、むう、喜怒哀楽という四つの感情の如き様相を見せる奇妙な森ことシャムシェラの森に巣食う荒魂――要するに悪霊、怨霊といった性質の悪い幽霊(ゴースト)は、ウサエル曰く、魂の叫び(?)である奇声で祓うコトができるようだ。


 でも、ホントでござるかー?


 僕にはそうは思えないんだけど、そんな僕らに取り憑こうと企んだ荒魂を追い払うコトができたようだ。


 さて。


「ゴ、ゴアアア、ゴゲゲゲガーッ!」


『ギャアアアアーッ!』


「うむ、そんな感じじゃ!」


「ヘヘヘ、どんなもんだい☆」


「兄貴ィ、自慢するほどのコトじゃないと思うんスけど……」


「む、むうう、とにかく、荒魂は逃げたワケだ。結果オーライってヤツだぜ!」


 確かにヤスの言う通りだ。


 荒魂が悲鳴をあげて逃げ出すような奇声を張りあげるコトができたとはいえ、自慢するほどのコトではないんだよなぁ……。


「お、見ろよ。アソコに小屋があるぜ」


「うむ、一旦、身を隠すのもがいいだろう。荒魂共は一旦、引いただけの状態だろうしのう」


 新手の荒魂がやって来ないか周囲を警戒していたキョウが、ボロボロの古小屋を発見する。


 よし、新手の荒魂から身を隠すためにアソコへ往ってみるとしよう。


「お、ここはどこぞの誰かさんがつくったのかは知らんが結界が張り巡らされているのう」


「ん、そのどこぞの誰かさんというのは……」


「うわ、骸骨だニャ!」


「お、白骨死体ッスね。ふむふむ、死後十年かそこらってところッスかね」


「ヤス、わかるのか?」


「そりゃもうわかるッスよ。俺はこう見えても考古学者ッス!」


「へ、へえ、考古学者ねぇ」


「そんなワケなんスよ。だから人骨を調べるなんざァお手の物ッス☆」


 ヤスは考古学者!? 意外かも!


 まあ、人間並みか、それ以上の知能を有する可能性もある獣人なワケだし、考古学者がいても不思議ではないかも――。


 それはともかく、新手の荒魂から逃れるために駆け込んだ古小屋の中で、僕達は白骨化した死体を発見する。


 うん、どうやら人間の白骨死体のようだ。


 オマケに考古学者という肩書を持つが故の知識から死後十年とヤスが見立てるのだった。


「流石は考古学者だニャ! あの白骨死体が死後何年経っているのかってコトが呆気なくわかったワケだしニャー!」


「エヘヘ、そうッスかぁ? あ、でも、死因まではじっくり調べてみないとわからないッスよ」


「そうなのかぁ」


「まあ、でも、殺傷痕は見受けられないッスね。そんなワケッスこら殺害されたとか、そんな物騒な死に方をした感じてはないッスね」


 ふむ、件の白骨死体が死後十年と見立てたが、流石に死因までは特定できなかったようだ。


 とはいえ、殺傷痕がないので病死、或いは餓死なんじゃね? と、僕は予想する。


「あくまで予想だけど、荒魂から身を守るために結界を張り巡らせたまでは良かったけど、そこから外に――古小屋の外に出るコトができなかったンじゃないか?」


「それで餓死したとか?」


「うむ、その可能性が大じゃ」


「つーか、気づいた時には、もう遅いって感じね。私ももっと早く気づくんだった……」


「ちょ、沙羅、何が……?」


「気がつかないワケぇ? 私達は、そこの白骨死体……結界を張った張本人が出られずに餓死してしまった結界内にいるのよ。そんなこんなで脱獄不可能な牢獄内にいるみたいなモノなのよ!」


「うは、そういえば、そうだな……ちょ、どうするんだよォ!」


 む、むう、キョウの右肩に留まっている喋る烏こと沙羅の言う通りかもしれないぞ!


 僕達が今いる古小屋内には、荒魂の侵入を阻止すべく展開させた結界が張られているワケだが、そんな結界を張った張本人が何者かは知らないけど、とにかく結界の外に出られずに餓死(?)してしまった可能性があるコトに……。


 それを示すモノが、件の白骨死体であり……って、どうやって外に出るんだ!


「お、普通に出られるぞ」


「な、なんだってー! それじゃ結界は……」


「効果が薄れているのじゃろう。うむ、本当のようじゃ。こうして外に出られるのじゃから――」


 な、なぁんだ、普通に外に出られるじゃないか!


 ウサエルの言う通り、結界の効果が薄れているのかもしれない……ってコトは!


「ウニャーッ! 青白い炎に包まれた空飛ぶ頭蓋骨がいるニャーッ!」


「荒魂じゃ! 人魂形態といったところかのう」


「人魂形態!? それじゃ別形態も……」


 む、むう、荒魂を寄せ付けぬ結界の効果が薄れているのなら、当然、僕達が今いる古小屋の周辺に集まって来ても別段、不思議ではないと思う。


 奴らにとって僕達、生者は獲物のような存在なんだろうし……。


 オマケに、目の前に現れた荒魂は、青い炎に包まれた頭蓋骨という人魂形態のようだけど、他にもいくつかの形態に変異するコトができるっぽいワケだ。


 うう、厄介だなぁ……こりゃ覚悟を決めて戦うしかないのかもしれないぞ!


 だが、僕には荒魂のようなモノとは戦ったコトがないワケだ……ど、どどど……どうしよう! 困ったぞォォォ~~~!


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