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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
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外伝EP14 兎天原の旧支配者 その18

「ゴ、ゴファアアア!」


「クソーッ! 足許が滑る……うお、コケるぅ! ドゥミダブはそう言っています。さあ、今のうちにガンガン攻撃を仕掛けてください」


「あああッ……もう訳さんでいい!」


「あ、それなら……ん、気をつけてください。ドゥミダブの両足の形状が変わりましたよ」


「な、何ィーッ! す、滑り止めってか?」


 ドゥミダブは何度も転倒し、慌てふためている。


 ハハハ、凍った地面、最高!


 だが、それも長続きはしないだろう。


 仮初の命を与えられたGM金貨こと硬貨魔魂の集合体である故、身体のどの部位であろうとも形状を変化させるコトができるってワケだ。


 そんなワケでドゥミダブの両足が、あっちにこっちに鋭い突起が見受けられるモノへと変化する――まるで滑り止めとばかりに。


「ふむ、もうひとつの核水晶(コアクリスタル)は、多分……夢魔のお嬢さん、もう一度、奴を転ばせてください」


「お、おお、とりあえず、足を狙ってみる」


 え、どこにもうひとつの核水晶があるんだぁ?


 で、もう一度、奴を転ばせろってズェランゾラが言うけど、奴の両足は凍った地面に対応する形状へと変化しているので、もう一度、転ばせるとなると……よし、左右の足のどっちかを狙ってみよう。


 自由に姿を変化させられるとは思うが、今のドゥミダブは人間型というワケで、左右どちらかの足を攻撃すれば、恐らくバランスを崩す筈だ。


「よし、また転ばせたぞ!」


「即、動きを封じるのです」


「お、おう……って、今度は凍った地面を溶かし始めたぞ、アイツ!」


「身体を構成している硬貨魔魂ひとつひとつが光熱を発しているのですよ、わかりませんか?」


「そ、そうなのかッ……とにかく、奴が立ちあがるのだけは阻止してみるぜ! って、うわっ……触れたら黄金の塊になっちまう液体を転んだ状態のまま飛ばしてきたぞ」


 よし、ドゥミダブは再び転ばせるコトに成功だ!


 が、そんな転んだ状態とはいえ、ドゥミダブは攻撃を仕掛けてくるワケだ。


「ウギャーッ! 俺の右足が黄金の塊になったッス!」


「う、うお、ヤスの右足が黄金の塊に……もぎ取って売れば大儲けだな☆」


「兄貴、何を言ってるッスか! 外道ッスよ、それをやっちゃぁ!」


「アハハハ、冗談だよ、冗談☆」


「さてと、兎コンビのくだらない相槌も聞き飽きましたし、そろそろ……そこだッ!」


「え、えええ、そこかよ!」


「き、効いてるますねぇ……し、しかし、まさか股間にもうひとつの核水晶があるだなんて……不潔です!」


 ドーンッ――と、再びズェランゾラが紫色の光を放つ……ちょ、まさかドゥミダブの股間にもうひとつの核水晶があるだなんて!


 メリッサは不潔ですって言うけど、その前に何故そこに――って感じだ。


「ア、アガガガッ……」


「何々、機能を停止させます……よしよし、それでいいのです」


「え、動きが止まった……だと!?」


 ドゥミダブが急に大人しくなったぞ。


 やっぱり股間にもうひとつの核水晶があったようだ。


「さてさて、ドゥミダブの暴走が止まりました。これにて共闘は終了……言わなくてもわかりますよね?」


「エヌメネスを出せって言うんだろう?」


「はい、その通りです。さあ、一分だけ待ちましょう。さっさとエヌメネス氏をここへ――」


「私なら、ここにいますよ、ズェランゾラ」


「む、むう、アナタはエヌメネ……グ、グワァーッ!」


「えええ、なんでそこに穴が!? ああ、穴の中で爆発が!」


 むう、ズェランゾラの奴、共闘を反故する気か!


 まあ、暴走した奴のペットであるドゥミダブの暴走を止めるための一時的な共闘だし、仕方がないか――。


 さて、スゥと俺の背後にエヌメネスの姿――と、その刹那、ズェランゾラの足許に地面がバカンと割れて大きな穴が生じる。


 で、当然、そんな穴の中にズェランゾラは落下する……え、穴の中が爆発したぞ⁉


「フフフ、指定した場所に穴を開けるなど、この私にとっては朝飯前なのだ」


「ちょ、それも魔術なワケェ?」


「それは自分の頭で考えたまえ。さて、ズェランゾラはまだ生きているかな?」


「ん~……反応はなしだな。多分、奴は……」


「ドゥミダブがカシャーンって崩れ落ちましたね。ズェランゾラが死んだのでアレの身体を構成している硬貨魔魂がタダのGMコインに戻ってしまったんでしょうね」


「だが、油断は禁物だぞ。奴は一応、旧支配者なのだから――」


 指定した場所に穴をつくれるって!?


 オマケに、そんな穴に落っこちたモノにとどめを刺すかの如く爆発を起こすコトができるだなんて――。


 エヌメネスら蛇人間特有の魔術だったりするのか?


「ん、何か聞こえないッスか?」


「あ、ああ、この声はもしや……う、うわあ、穴の中から煙が噴出してきた……お、おお、何か出てきたぞ!」


 ズェランゾラ死す――それは早すぎる決断だったのか?


 モウモウと奴が落っこちた穴の中から煙が噴出し始める……う、そんな煙の中に赤い禍々しい光芒がふたつボウンと出現する……も、もしかして!?


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