表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
770/836

外伝EP14 兎天原の旧支配者 その17

 さてと、蛇人間ズェランゾラの命令を無視し、暴走状態(?)と化した仮初の命を与えられたGM金貨の集合体ことドゥミダブを止めるべく俺はやむなくズェランゾラと共闘するコトとなったのだが、どう打って出るか――。


「何をしているのです。早く攻撃を仕掛けるのです。ほら、アナタは氷の魔術を使えたでしょう?」


「え、俺が攻撃を……って、お前は何をするんだよ?」


「そうですね。私はアナタとドゥミダブの闘いを静観しつつ隙を狙います」


「ちょ、静観しつつ隙を狙うって、とどのつまり俺は共闘とはいえ、引きつけ役ってコトかよ!」


「ですね。そう解釈してもよろしいかと――」


「う、うへぇ、なんて奴だッ……う、うわ、黄金の液体を飛ばしてきたぞ、アイツ!」


「ああ、あの黄金の液体に触れると黄金の塊になってしまいますので、お気をつけて闘いましょうね、夢魔のお嬢さん☆」


「テ、テメェ! そういうコトは先に言えーッ!」


 何が共闘だよ!


 俺を引きつけ役に仕立てて、自分はドゥミダブの隙を狙う戦法とか――一緒に戦えェ!


「まったく、仕方がないなッ……ちゃんと奴を仕留めろよ!」


「わかっていますとも! では、引つけ役をお願いしますよ」


「お、おお……とにかく、コイツを喰らえ!」


 む、むう、腑に落ちないが、とにかく、今は攻撃だ――う、ドゥミダブめ、鞭と化した右腕をパーンと自身で打ち砕くと、あっと言う間に槍として再構築し、俺目掛けて穂先を突き立てるカタチで飛びかかってくるのだった。


「ク、クッソォ! 全然、効かない!」


「グギャガヤギャ!」


「ちと手こずるかと思ったが氷の魔術なんて無力! ドゥミダブはそう言っていますよ」


「お、お前! 奴の言葉を翻訳するはいいが早く隙を狙えよ!」


「有無、だが、もう少し時間がかかる。時間稼ぎの続行を頼みますよ」


「ううう……」


「サキュラ、奴の足許を――地面を凍らせるんだ」


「え、足許を……よし、やってやるぜ!」


 ズェランゾラの奴、隙を突くとか言いながら、本当に何もしないぞ、まったく!


 ん、氷の魔術で地面を凍らせろって!? そうデュシスがアドバイス的なコトを言うので従ってみるとするか――。


「ええと、こうすればいいのか……」


「うむ、その調子だ。両手を地面に叩きつけ、魔術詠唱を――」


「お、おう!」


 と、とりあえず、こうだな……地面に両手を叩きつけ、そして魔術を……って、俺は魔族故、自然現象系魔術なら、人間や獣人と異なり、発する言葉そのモノが力ある言葉と化し、詠唱なしで使えるそうだ。


 魔族って便利だなぁ……が、当然、己の魔術を消費するので無限に使えるってワケではないのだ。


「アギャギャギャアアアッ!」


「何々、また同じコトをするのか? 学習能力のない馬鹿な奴よ! そうドゥミダブが言っていますよ」


「フン、学習能力のない馬鹿な奴で悪かったな! だが、今度は違うぜ!」


「ギャ、ギャゴブッ!」


「な、何ィィ! 足が滑った……だと!? 今度はそう言っています」


「あのなぁ、奴のワケのわからん言葉を訳すのはいいけど、いい加減、奴の隙を突けってのーッ!」


「わかっていますよ。夢魔のお嬢さん、アナタがドゥミダブを転ばせてくれたおかげで、やっと核水晶(コアクリスタル)を狙い撃ちできます」


「核水晶? ん、もしかして……あの緑色のアレか?」


「はい、では、放ちますよ……蛇魂弾!」


 さっきはタダ単に氷の塊をつくってドゥミダブ目掛けてミサイルランチャーの如く撃ち放ったが、今度は違うぜ。


 地面をバキバキに凍結させ突撃してくるドゥミダブをアイスバーンな地面で転倒させようって魂胆なワケだ。


 で、上手い具合にドゥミダブは転倒する――ハハハ、奴め、プールの中の勢いよくダイヴするかのように豪快に転倒したぞ。


 さて、奴の身体を構成する仮初の命を与えられたGM金貨こと硬貨魔魂の集合体の中には、核水晶なるモノが存在しているようだ。


 核水晶ねぇ、奴の身体を制御している脳のような中枢器官みたいなモノなんだろう。


 で、そんなドゥミダブの核水晶目――額に輝く緑色のGM金貨とは異なる丸い物体を掛けてズェランゾラが紫色に輝く閃光を撃ち放つのだった。


「よし、命中です。これで奴は……な、なんですと!?」


「おいおい、まだ動いているぞ。ホントに額に見受けられる緑色のアレが核水晶なんだろうな?」


 な、なんとォー! 間違いなくズェランゾラが放った紫色に輝く閃光はドゥミダブの額に見受けられる緑色の丸い物体――核水晶を撃ち抜いた筈なんだが、ドゥミダブの動きは停止せず……失敗しのか!?


「うーむ、もしかすると、ドゥミダブの身体を形成している硬貨魔魂の中に、〝もうひとつ〟核水晶が含まれているのかもしれませんね」


「本当かよ、面倒くさいなぁ……で、また引きつけ役っていうか囮になりゃいいんだろう?」


「まあ、そうなりますね。アレはすべて壊さないとドゥミダブの暴走は止まらないと思いますしね」


「仕方ねぇな……んじゃ、転んで動けないうちに攻撃をしまくっておくか」


 ドゥミダブの身体を構成している硬貨魔魂の中に、一体、何個、核水晶があるだぁ?


 アレをすべて壊さないと動きを止められないのかもしれないし、面倒だな……ま、なんだかんだと、今のうちにドゥミダブが攻撃を仕掛けまくっておくか。


 凍った地面のおかげで一度、転んだら最後――とばかりに、バランスを崩して上手く立ちあがれないみたいだしな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ