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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
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外伝EP14 兎天原の旧支配者 その2

 兎天原はケモニア大陸とかいう大陸のど真ん中にある盆地なんだとか――。


 俺が本来いるべき世界の某大陸が、丸々入ってしまう規模らしい。


 え、誰からそんな話を聞いたのかって?


 んなこたぁ、どうでもいいじゃないの。


 まあ、強いて言えば、同胞――同じ別世界から兎天原にやって来た奴だって言っておくかな。


 さて。


「うあ、気持ちの悪い生き物の絵がたくさんッ!」


「あのタンタロズにそっくりなモノの絵も見受けられますね」


「父さん、コレは一体……」


「うむ、それは――」


「恐らくは兎天原の土着民を描いたモノだろう」


「うう、デュシスとかいう栗鼠……それは私が言おうとしたんだが……」


「へ、へえ、こんな冒涜的な姿をした土着民がいたのか古代の兎天原には……」


 貯蔵されている本の種類、そして現存しているだけで奇跡である――そう言いたくなるような古き時代の本も現存している迷宮図書館は凄いッ!


 とまあ、そんなこんなで発見された五千年前の記録書物——無名王という古代の王によって記された本こと無名の書には、あの蠅のような翅が生え、オマケにピラニアのような口が先端に見受けられる触手を備えた空飛ぶ脳みそという悪意に満ちたタンタロズに類似した生物の絵が載っている。


「コイツらは人間や獣人が兎天原にやって来る以前——超古代の兎天原を支配していたモノ達だ! よし、今度は私が先に説明できたぞ☆」


「だが、アイツらについて知るモノは、ほんの一部にしかすぎない。故に闇の中に埋もれた黒歴史と言ってもいいだろう」


「そ、そうなのか? し、しかし、こ、こんな奴らが超古代の兎天原の支配者だったのか⁉ ある意味で闇の中に封印された黒歴史だな……」


 作者が無名なら著書の名称も無名……それでイイのかぁ?


 だ、だが、超古代の兎天原が、あんな怪物共に支配されていたっぽいコトが記されているようだ。


「ミゥグォ……それが、あのタンタロズの真名だ――いや、奴を含む種族名というところだ」


「ふええ、あんなモノがたくさんいると思うとゾッとします!」


 ミゥゴォねぇ、そんな超古代の化け物種族の一体だったのか、あのタンタロズは――。


 しかし、あんなモノが複数いると思うと禍々しさの極みだ。


「それ以上、奴らについて言及すべきではない――忠告しておく」


「奴らに勘付かれたヤバいしね」


「わ、メジェド様ッ!」


「メジェド様?」


「あ、ああ、頭から両足の膝あたりまですっぽりと覆い尽す眉毛と両目が描かれた大きな袋をかぶった奇妙な神様のコトさ。ん~……そっくりだ、実に……」


「へえ、そんな神様がいるんですね。あ、でも、そのメジェド様がおふたりもいるんですけど!」


 眉毛と両目の刺繍が施された大きな白い袋で頭から両足の膝までを覆う身長一メートル前後の小柄な怪人……いや、神様ことメジェド様にそっくりな二人組が、いつの間にか俺達の背後に――な、何者なんだ、コイツら⁉


「時々、現れるんだよなぁ。お前らのように超古代の兎天原について知りたがる連中が――」


「そもそも人間や獣人の歴史が残っていない超古代の兎天原について調べる事態が超がつくほど危険だっつうの! 〝奴ら〟は敏感なんだぜ。自分達の存在を勘付く探求者の匂いに――」


「故に、俺達はそういう連中の前に忠告者として現れるってワケよ」


「だけど、大体が手遅れなんだよなぁ……ふう……だが、今回は間に合ったな」


 超古代の兎天原について調べる――というコトは、そんな危険なのか⁉


 〝奴ら〟――タンタロズの同胞共は、自分達の存在を嗅ぎまわる探求者の匂いに敏感らしいが……。


 と、その前に〝忠告者〟と自称する二人組の正体が気になるところだ。

 

「サキュラさん、気づいてます?」


「あ、ああ、アイツら唯一見えている身体の部位……両足の五指に生えた鉤状の爪だろう?」


「あ、はい、ひとりは緑色の肌、もうひとりは黄色い肌……背丈から考えてドワーフやノームでしょうか?」


「うーん、どっちも違うと思う。何者なんだ、コイツら……う、ちょっとだけ磯臭ぇ……」


 眉毛と両目が描かれた大きな白い袋の下の真の姿は、一体、どんな様相なのやら……。


 しかし、磯臭ぇ、まるで釣りあげた直後の蛸や烏賊といった海洋軟体生物が放つ〝海〟の臭いがプンプンと漂わせているなぁ、コイツら……。


「ウリャーッ!」


「お、おわーッ……何をするゥゥゥ~~~!」


「よくやった我が息子よ! では、私も……デヤーッ!」


「な、何をするやめッ……う、うわあああ! しまったぁ、すすす……姿がァァァ~~~!」


 ジンフリードとエティエンヌ親子が忠告者に奇襲を仕掛ける――よし、メジェド様のコスプレ(?)用品こと眉毛と両目が描かれた大きな白い袋を剥ぎ取るのだった。


「た、緑の蛸人間と黄色い烏賊人間だーッ!」


「「みみみ、見るなァァァ~~~ッ!」」


 緑色の蛸人間と黄色い烏賊人間ッ——とまあ、ありていに説明するなら、そんな感じのナマモノである。


 え、詳しく説明しろって?


 仕方ねぇ……そうだなぁ、その異形の姿を説明するとだ。


 緑色の蛸人間は、正確に言うと蛸に類似した頭部を持つ人型生物である。


 で、最大の特徴は口許に見受けられるウネウネとした蛸のような触手だろうか?


 ついでに、小さな翼と鋭い鉤状の爪が両手両足に見受けられる。


 一方の黄色い烏賊人間だが、コイツも正確なところは烏賊に類似した頭部を持つ人型生物である。


 無論、そんなワケだから八本の足、そして二本の食腕が見受けられる。


 さて、前者である蛸人間とは打って変わり、烏賊人間の両手両足には鋭い鉤状の爪は見受けられない――が、その代わりとばかりに、如何にも年度の高いヌルヌルとした液体に覆われているようだ。


 ほら、そんな液体が天井の照明を反射している――まるでハゲ頭は光っているかのように。


 どうでもいいけど、蛸人間と以下人間の眼だけど、見た目のグロさと打って変わってキレイな金色なんだよぁ……意外だろう?

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