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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
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外伝EP13 サキュバスに転生したんですけど、何か問題でも? その25

 蜘蛛、百足、蠅、ダニ、ゴキブリ——コイツらを好むモノなんているんだろうか⁉


 俺なら絶対に拒否するね。


 姿が特に気持ち悪いし、冒涜的だ!


 さて、そんなグロテスクな生き物の集合体のような姿に変身したタンタロズだが、その様子が妙だ。


 もうダメだ――と、さっきまでの威勢はどうしたんだ、お前ーッ!


 そうツッコミを入れたくなるような言葉を吐いたぞ。


「グ、グギギギッ……この姿を維持し続けるには、やはりアレがッ……アレが必要だったみたいだァ! ウウウウッ……アーッ!」


「う、うわああっ! タンタロズの害虫の集合体のような身体が弾け飛んだ!」


「ふええっ……変な臭いがする体液が右足にべっとりと……」


「うう、ヤバい臭いだな。カメムシ、それにスカンクの屁の臭いに匹敵するッ……そ、早々と離れた方がいいな!」


 害虫の集合体のような姿と化したタンタロズの身体が、ドパーンッ——と、トンでもない悪臭を撒き散らせながら弾け飛ぶ。


 おいおい、害虫の集合体のような身体を維持するために必要なアレってなんだよ、アレって!


「ふむ、自爆だね、父さん……」


「ああ、しかし、これで奴を捕まえるコトができなくなってしまったワケだ」


「そういえば、タンタロズの奴には、多額の賞金がかけられていたんだったッ!」


「ううむ、惜しいな……心の底から惜しいって思える……」


「お、おい、お前らは金の亡者か! ああなっちゃ賞金もパーだ。仕方がないさ、諦めよう……」


「心の底から諦めてます? いや、絶対、惜しいって思ってますね?」


「う、うっせぇ! それ以上、何も言うな、メリッサ!」


「多額の賞金ねぇ。それならアレを捕まえればいいのではないか?」


「シトリー、そのアレって……う、うわああッ……空飛ぶ脳みそキターッ!」


 ドパーンッ——と、弾け飛んだタンタロズのトンでもない悪臭を放つ肉片の中から、まるで昆虫の翅のようなモノが生えた奇妙なモノが勢いよく飛び出す。


 それは蛹を破り、外界へと飛び出した成虫……いや、蠅のような翅の生えた脳みそだ!


 ん、それじゃ脳みそは無事(?)なのでタンタロズは自爆したとはいえ、健在ってコトになるのか?


「キ、キシャアアアアーッ!」


「ふ、ふええ、空飛ぶ脳みそからたくさんのニュルニュルした触手も飛び出した!」


「見ろ! そんな触手の先端が鋭い牙の生えそろった口みたいな形状だ!」


「おおおお、おのォォォれェェェ~~~! まさか、この姿になってしまうとはなァァァ~~~! ゆゆゆッ……許さんぞ、貴様らァ!」


「ゆ、許さないだと! だったらどうするんだ。この脳みそ野郎!」


「ククククッ……この姿を見た以上、貴様らは死ぬッ……死ぬのだァァァ~~~!」


「う、あんな姿だが、実は物凄く強いのかも……」


「アリエマスネ。毒脳波トイウモノヲ放ッテクルカモシレマセンネ」


「ど、毒脳波って……ありえるような、ありえないような……」


「とにかく、奴を叩き落としてやるッ……って、いないィィ!」


 蠅のような翅の生えた空飛ぶ脳みそ——アレがタンタロズの正体なんだろうなぁ。


 要するに、アレは肉体を持っておらず、相性の良さそうな肉体を見つける度、乗っ取る——という行為を繰り返しながら生き長らえているんじゃないかな……かな?


 あの鷲鼻の男も、恐らくは空飛ぶ脳みそ野郎という不気味の極みである様相であるタンタロズに肉体を乗っ取られた犠牲者なのかもしれない。


 そ、それはともかく、蠅のような翅の生えた脳みそ野郎——タンタロズの姿が、俺の視界から忽然と消え失せる。


 この姿を見たモノは絶対に許さんとか死ぬ――な~んて脅し文句を言い放っていたクセに逃げたのか、アイツ!


「変な音が聞こえないか?」


「ん、何も……」


「俺の気のせいだったか……いや、気のせいじゃねぇッ……そこだ!」


「う、うおおおッ……ななな、何をするんだーッ! いきなりナイフを投げつけるとかふざけんな! 仮に当たってたらどうするんだ、この野郎!」


 ん、変な音が聞こえる…だと…⁉


 クロウサヒコは怪訝そうに周囲を警戒し、左右の真っ黒くて長い耳をアンテナのように円を描きながら回転させている――その刹那、隠し持っていたナイフを俺を標的にするかのように投げ放ってくるのだった。


 うう、的は外れた——とばかりに、クロウサヒコが投げ放ってきたナイフは、紙一重のところで俺には当たらなかったけど、一体、何を考えているんだッ……当たったらヤバいだろうがァ!


「サキュラさん、危なかったですね……」


「危なかった!? う、うわあああ、脳みそ野郎ッ……逃げたと思ったタンタロズが、俺の背後にィィ!」


「まったく、魔族のクセに奴の気配に気づかないとか鈍すぎだな」


「それは関係ねぇだろう!」


「しかし、危なかったな、サキュラ。クロウサヒコが気づかなかったら、今頃、肉体を乗っ取られていたかもしれないぞ」


「ふえええ、マジかァ……」


 な、何ィィーッ! お、俺の背後に空飛ぶ脳みそ野郎がッ――タンタロズが迫っていたようだ。


 コ、コイツ、逃げたと見せかけていたのか!


 む、むうう、クロウサヒコが投げ放ったナイフが奴の悪意に満ちた身体に突き刺さっていなければ、俺の身体は奴に乗っ取られていたかもしれないッ!



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