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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
742/836

外伝EP13 サキュバスに転生したんですけど、何か問題でも? その15

 キャラクター紹介


 ・ヴァレリアヌス——メリッサが即席屍人作成粉によって蘇った白骨屍人。

 

 ・エティエンヌ——生意気な少年考古学者。


 ・アリアドネ——中型の犬ほどの大きさの喋る大蜘蛛。

 兎天原の東方には、未だに未発掘だったり、凶悪な怪物が巣食う危険な場所にあるせいか、ほとんど手がつけられていない古代遺跡がたぁぁぁくさんあるようだ。


 そんなワケだからかは知らないけど、兎天原の東方にある古代遺跡で見つかる古代の遺物は、高い確率で奇妙な特徴を帯びているって聞いた。


 例えば、短時間だけど、水の上を歩くコトができる、空中を浮遊した状態で歩くける——などなど、まるで魔術を使ったかの如き移動方法が可能となる石が、多々、発見されたという。


 それらは魔法石と呼んで重宝されているそうだ。


 ん、そういえば、エティエンヌと喋る大蜘蛛のアリアドネが、カルニャと呼ばれている遺跡が見つけたんだったな、アレを――形状変化型の魔法石は。


「よし、いいぞ……これで錠前を解除できた筈だ」


「おお、錠前の鍵穴に押し当てた形状変化型の魔法石が、いつの間にか鍵のカタチに!」


 俺達が今いるオーク共の食料保存庫こと氷室内にある檻の扉の錠前に押し当てた形状変化型の魔法石が放つ緑色の光が、まるで何もなかったかのように消え失せる。


 だが、その代わりとばかりに、錠前の鍵穴に押し当てた形状変化型の魔法石が鍵のようなカタチに変貌を遂げている。


「フフフ、上手く使うコトができたようだね」


「当たり前さ! ボクはなんだってできるんだ!」


「ふ、ふう、やっと出るコトができたぜ……」


「そんなコトより、足音が聞こえるぞ」


「多分、私ガ倒シタオーク共トハ、別ノ個体デショウネ」


 よォし、クロウサヒコ達を檻の中から解放したぞ!


 だが、それも束の間である――ドッタンバッタンと騒がしい足音が聞こえてくる。


 そういえば、ヴァレリアヌスの氷の魔術でカチンコチンの氷漬けになったオーク共は、あくまで奴らの一部にしかすぎないんだった。


「くそ、隠形の術で姿を隠すんだ。奴らの中に魔術師がいなければバレねぇ筈だ!」


「あ、はい! では――」


「隠形の術くらいボクにだってできるさ!」


「う、うおお、俺とアリアドネ以外の姿が見えなくなった!」


「おいおい、お前、夢魔のクセに隠形の術を使えないのかよ」


「さてと、私は天井に……あ、サキュラさんでしたっけ? アナタも天井に――」


「ば、馬鹿ッ! 俺は蜘蛛じゃないんだ。糸を天井に向けて吐いて、それを伝って天井に逃げる――なんてコトができるワケがない!」


 隠形の術⁉ 姿を見えなくするって魔術の一種なのか?


 とにかく、俺とアリアドネ以外は、そんな隠形の術とやらを行使し、自身の姿を見えなくするのだった。


 で、アリアドネは大きさはともかく蜘蛛である。


 故に、氷室の天井に向けてヌメヌメした糸を吐き出汁、天井にくっついた糸を伝って天井へと移動するのだった。


「サキュラ、隠形の術を使えないのか?」


「当たり前だ! 使い方を教えろっての!」


「うむ、では、そうしようか――だが、既に遅し、氷室内にオーク共かもしれん連中が入り込んでしまったようだ」


 デュシスの姿は隠形の術を行使中なので見えないけど、間違いなく俺の右肩にいるのはわかる。


 小さな栗鼠の獣人とはいえ、わずかな重さ、それに息遣いなんかが聞こえてくるしね。


 そ、それはどうでもいい——バーンと勢いよく氷室の扉が開く。


 く、どうやらオーク共が、俺達がいる氷室内に駆け込んできたっぽい!


「オ、オークッ! あ、あれ、違うぞ……チョビ髭の人間のオッサン⁉」


「うぬぅ、その角は魔族の証! わかったぞ、タンタロズに雇われた用心棒だな!」


「ちょ、待て! 俺はそんなんじゃねぇ!」


 氷室内に入り込んできたのは、オークじゃない……人間だ!


 赤い派手な鎧兜を身に着けた某喜劇俳優を連想させるチョビ髭のオッサンを筆頭とした人間達だ。


 つーか、タンタロズに雇われた用心棒だって勘違いされているっぽいなぁ。


「父さん、この地味な夢魔は奴の仲間じゃないよ」


「お、おお、息子よ、無事であったかァァァ~~~!」


「エティエンヌ……あのチョビ髭のオッサンは、お前の父親なのか?」


「ああ、そうだよ。しかし、よくボクの居場所がわかったね」


「むう、三日も姿を見せないんだ。当然、捜索するに決まっている」


 姿を見えなくする魔術こと隠形の術を解除し、俺がタンタロズに雇われた用心棒じゃない――と、エティエンヌが弁明してくれるくれる……え、赤い鎧兜を身に着けたチョビ髭のオッサンは父親だって⁉


「一応、紹介しておく。このオッサンはボクの父親のジンフリードだ。ああ見えても、ボクと同じ考古学者なんだ」


「ジンフリード教授⁉ 強引な遺跡発掘を行うコトで有名な、あの……」


「む、なんという言いがかり! さては考古学者だな!」


「あ、はい、一応……」


「フン、まあいい。君のような一介の考古学者にも、私の名声が伝わっているというコトになるから発言を許そう。さて、タンタロズの仲間ではないから奴を捕まえるのを手伝ってもらおうか、そこのダサいお二人さん」


 メリッサも隠形の術を解く——何ィ、赤い鎧兜を身に着けたチョビ髭のオッサンはエティエンヌの父親は、強引な方法で遺跡発掘を行いジンフリード教授だって⁉


 なんだか面倒くさい輩のような気がしてきたぞ――え、タンタロズを捕まえるの手伝えって?


 むう、ダサいって言われたので腑に落ちないけど、目的は同じだ。


 ここは手伝う……いや、共闘するのもいいかもしれないな。

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