EP9 俺、巨人族の少女と出逢う。その2
「魔法使い……魔術師とか魔女を探している!? 未熟者かもしれんけど、キョウ姐さんみたいな存在をさがしていたりして――。」
「うう、未熟者と言われると否定できないのが痛いなぁ……。」
「お姉様が未熟なのは胸の大きさだけです!」
「確かにな! 俺やグラーニアのようにでかくないとダメだな! あ、胸の大きさが魔力の強弱や貯容量に影響しているのかも!?」
「お、おい、そりゃ関係ないだろ……。」
むう、フレイヤの奴、未熟者って面と向かって言いやがって……。
そう言われると、何気にショックを受けるんですけどっつうか、魔力の強弱や貯容量に胸の大きさは関係ないだろう!
「な、なるほど、だから魔術師には向いていないって言われたワケだ……。」
「私もです。むう、悔しいですが胸の大きさに影響があるのなら否定はできませんね。」
「ちょ、お前は認めるのかよ!」
メリッサとミネルは同時に溜息をつく……ちょ、認めんなー!
むう、貧乳を気にしている上に、魔術師に向いていない――と、以前、言われたことあるっぽいなぁ。
「フレイヤは胸が無駄にでかいだけで戦闘系特技を習得していないし、オマケに魔術も使えないわ。」
「うんうん、胸の大きさはまったく関係ないわね。」
「む、フレイとウェスタ、アンタ達いつの間に……。」
おお、胸の小さなモノにも希望が持てる一言だな!
と、それはともかく、プールの中には、さっきまでいなかった水着姿のフレイとウェスタの姿が……ん、ディオニスもいるみたいだ。
「さてと、ウワサの巨人少女は、私を探しているんじゃないかな?」
「え、どういうこと?」
「ん、それは簡単だよ。ここらで一番有名な魔女は私のことだからね。」
「そうそう、無駄に長く生きているから有名に……ゴ、ゴボゴボッ!」
「とまあ、そんなワケだからさ。ウワサの巨人少女が、ここに来る可能性があるわよ。」
「は、はあ……。」
ドシャッ――と、勢いよくウェスタにアイアンクローを食らわされるかたちでプールの水面に沈められるデュオニス。
それはどうでもいい話だけど、ウワサの巨人族の少女とやらはウェスタのことを探しているようだ。
エフェポスの村の周辺に住む魔法使い――魔術師や魔女の中では、彼女がもっとも有名な存在っぽいしね。
「ん、ウワサをすれば影ってヤツね。ほら、聞こえない地響きのような足音が――。」
「ま、まさかとは思うけど……。」
「ここかな? 魔法使いさんがいる家とは――。」
ムムム、雷鳴のような大きな声がきこえてくる――と、その直後、急に周りが暗くなった気がする。
「あ、見つけた。アンタ達の中にいるんでしょう? 魔法使いさんが?」
「「「うああああ、巨大女キター!」」」
お、恐らく二十メートルはあるんじゃないかな……かな?
空色のワンピースとニコニコ微笑む顔がついた星のブローチがついた麦藁帽子をかぶった金髪碧眼の巨大美少女が、ヌゥと屋根越しに庭にあるプールのところにいる俺達の様子を覗きこんでいるじゃないかーっ!




