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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
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外伝EP13 サキュバスに転生したんですけど、何か問題でも? その10

 く、臭ぇ……生ゴミの酸っぱい臭いが漂っている……。


 オマケに腐った肉が放つ悪臭……腐敗臭かもしれないどぎつい臭いも漂っているようだ。


 うう、俺は一体……どこにいるんだ……。


 こ、こんな場所に一秒たりともいられるかーッ!


「オ、オゲェェェ~~~ッ!」


「はわわ、意識を取り戻した直後に嘔吐ですかー! ま、まあ、無理もありませんよね。ここは多分、ゴミ捨て場のような場所ですし……」


「お、おお、メリッサじゃないか……うう、暗くて何も見えないけど、ここは確かにゴミ捨て場っぽいな……しかしキツいなぁ、ここ……ウオェッ!」


 意識を取り戻して早々、俺は何度も嘔吐する。


 真っ暗で何も見えない故に、そんな醜態を近くにいるメリッサに見せなくて良かったなぁ――と、ちょっとだけ安堵感はあるかなぁ……。


 まったく、いつの間にゴミ捨て場というトンでもなく臭い場所へ俺とメリッサは来てしまったんだぁ。


「ええと、サキュラさんでしたっけ? なんだかんだと、何故、ここにいるかってコトを覚えていますよね?」


「覚えている? うーむ、どうだったかなぁ……」


「ほらぁ、ドリルルの森の中に入ってすぐに鼻デカ男と遭遇したでしょう?」


「あ、ああ、思い出したぞ。小汚い格好をした鼻デカ男のコトを」


「思い出しましたか! とまあ、そんな鼻デカ男の魔術で、私達はここへ転移させられたっぽいのです」


「え、そうなの? 俺は急に眠くなっただけで……って、アレも鼻デカ男の仕業か?」


「はい、間違いないかと……っていうか、あの鼻デカ男はタンタロズ。有名な指名手配犯です!」


「指名手配犯⁉ あの鼻デカ男は悪党なのか……」


「お前ら、何度も何度も鼻デカ鼻デカって言いやがってーッ!」


 ドリルルの森に巣食っているオーク共は、自分の使い魔だって言っていた鼻デカ男と遭遇したコトを思い出したぜ。


 ふーむ、タンタロズって名前の指名手配犯なのか——ウ、ウワサをすれば影ってヤツだな。


 そんなタンタロズのモノかもしれない怒鳴り声が響きわたるのだった。


「ハハハ、どうだ! イイ香りが漂っているだろう?」


「イイ香りだと⁉ ふふふ、ふざけんなッ……オ、オゴッ!」


「ヒヒヒヒ、むせ返るほどのイイィィィ~~~香りだろう。何せ、そこはゴミ捨て場であると同時に、わしを捕えようと目論むマーテル王国の追っ手共、オマケに賞金稼ぎ共の成れの果てを投げ捨てる場所でもあるのだからなァァァ~~~!」


「な、なんだってー!」


「はわわ、俗に言う死体置き場ってヤツですか、もしかして⁉」


「キヒヒヒ、言わずもがな!」


 うえぇ、俺は今トンデモない場所にいるっぽいなぁ……。


 タンタロズの鼻デカ野郎、なんて場所にィ!


「フフフ、自分で言うのもなんだが、わしは慈悲深いィィ! 故に、お前らだけは助けてやろう。ただし、しばらくの間、そこにいてもらおうかァァァ~~~!」


「助けてやる…だと…⁉」


「あの兎共と違って、夢魔のお前は厄介だ。わしの計画が実行されるまでは、そこにいてもらわんと困るのだ。ついでに、お前と一緒にいる人間の女はオマケだ。如何にも役立たずっぽいしな」


「ガガガ、ガーン!」


 ば、馬鹿ッ——何がイイ香りだよ、ふざけんなッ!


 ゴミ捨て場であると同時に、指名手配犯でもあるタンタロズを捕えようとしれ返り討ちに遭ってしまった賞金稼ぎ共の死体が放り込まれている禍々しい場所じゃないかッ!


 さて、何かしらの計画を進めているようだな、タンタロズの鼻デカ野郎――。


 が、何故、俺が邪魔なんだ……ついさっき出会ったばかりだというのに。


「親分、そろそろ……」


「親分って呼ぶな。わしのコトを伯爵様と呼べと何度言えば……」


「へ、へい、伯爵様!」


「フン、まあいい。コイツを見張っていろよ。わしが、ここへもう一度、来るまでな」


「おい、どこへ行くんだ、この野郎! ここから出しやがれーッ!」


「そ、その前にデュシスやクロウサヒコは、どこに……あ、いなくなってしまったみたいです」


 ああ、クソァ! タンタロズの鼻デカ野郎は、オークと思われる見張り番をつけて立ち去ったようだ。


 ん、そういえば、デュシスやクロウサヒコは、ここにはいないようだが、一体、どこに――。


「私なら、ここにいるぞ」


「その声はデュシス。どうやら無事だったようだな」


「うむ、だが、クロウサヒコを筆頭としたエフェポス警備隊の隊員は、皆、奴らに捕まってしまった」


 ん、この声は――周囲は何もかもが真っ暗なので、その姿は見えないけど、間違いなく、俺の右肩にちょこんと座っている筈だ。


 小さな栗鼠の獣人――デュシスが。


「グヘヘヘ、お前の仲間は、今頃、オラの仲間に食べられている頃だと思う」


「な、何ィ!」


「はああぁ~……見張り番を任されちまったせいで兎の丸焼きを食べられないのが口惜しいぞ……」


 クロウサヒコ達が食べられた…だと…⁉


 嘘か本当かは知らないけど、見張り番のオークらしきモノが、名残惜しそうにため息をつきながら言う。


「おい、どうでもいいけど、ここから出せ!」


「そうだ、そうだ! ゴミ捨て場であり、死体置き場でもある禍々しい場所に一秒たりともいたくありません!」


「ダメだ! 仮にお前らを外に出してみろ。親分……あ、いやいや、伯爵様がキレて、オラはケルベーちゃんの餌になっちまうだーッ!」


 ケルベーちゃん?


 オーク共以外にも、あの鼻デカ野郎の使い魔がいるっぽいなぁ……。


 多分、巨大生物なんだろな――と、容易に予想はつくけど。


 だが、ここから出なくちゃ話にならん……さて、どうする、俺。

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