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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
734/836

外伝EP13 サキュバスに転生したんですけど、何か問題でも? その7

「ウ、ウウウッ……オデサマヲ……ドウスル……気ナンダ……」


「このミイラ野郎! まだまだ元気があるな。さ、どうする?」


「蹴飛ばしてやればいいんですよ! ウラーッ!」


「オ、オゴオオオッ!」


「待て待て、アカウサコ! コイツを痛めつける前に〝仲間の居場所〟を聞き出すんだ」


 さて、俺達――エフェポス警備隊の隊員は、熱砂の砂漠地帯で野垂れ死んだせいで全身の水分を失いカラカラに干からびたミイラ化死体のような状態となったオークことアザノウを屯所へと連れ帰るのだった。


 しかし、トンでもない生命力だな。


 魔族——夢魔である俺が、知らず知らずのうちに発動させた特技こと生命力吸収(ライフドレイン)によって対象が人間だった場合、死んでいるレベルの量の生命力を吸収したにも関わらず喋るコトができるほどの生命力を見せつけてくれるワケだ。


 おっと、そんなアザノウから仲間のオーク共の居場所を聞き出さなくちゃいけない。


 兎や猫といった小型動物型の獣人が大半を占める村であるエフェポスの村は、常に奴ら獣人食い鬼であるオーク共の脅威に晒されている。


 故に、奴らの脅威を払拭させる必要があるだろう。


 村を平和を守る警備隊として——。


 あ、でも、俺はあんまり乗り気じゃないんだよなぁ。


 べ、別段、怖いからって理由じゃないぞ!


 とにかくだ、俺は勝手に隊員のひとりとして加えられたワケだし、他の連中と異なり、エフェポスの村への愛着ってモノがイマイチ……いや、〝無い〟と言った方がいいかもしれないしね。


「さぁて、お前の出番だぞ、サキュラ!」


「え、ええ、俺の出番だって⁉」


「ああ、そうだ。お前なら、あのオーク野郎から仲間の居場所を聞き出せる筈だ」


「む、むう、でも、どうやって……」


「そうだな。とりあえず、あのオーク野郎を睨みつけろ」


「あ、ああ、それじゃ……」


 ちょ、俺ならアザノウから仲間の居場所を聞き出せるって⁉


 だけど、どうやって……い、一応、デュシスの言われた通り、アザノウを睨みつけてはみたが――。


「オ、オギョーッ!」


「ん、ミイラ化死体のような状態のアザノウの身体がピンク色になったぞ⁉ ナ、ナニが起きたんだぁ?」


「よし、上手く魅了できたな」


「え、魅了? わ、奴の両目の瞳がハート型に!」


「うむ、まあ、とにかく、今なら奴は、お前の操り人形だ。さ、訊いてみるんだ。仲間の居場所をな」


 ズギュウウウンッ——と、干からびた蛙のような状態と化したアザノウの身体が、徐々にピンク色に変色していく。


 で、奴の両目の瞳がハート型へと変貌を遂げる――魅了したって⁉


 そんなワケだから、今の奴は俺の言うがまま——操り人形ってワケだ。


 まあ、まあ、とにかく、訊いてみるとしよう仲間のオーク共の居場所をね。


「んじゃ、早速……おい、アザノウ! 俺の言う通りに答えろよ、わかったな?」


「ハ……ハイ……ワカリ…マシタ……」


「ふむ、では……お前の仲間はどこに潜んでいる? さあ、答えろ!」


「ナカマ……ナカマ達ハ、ドリルルノ森ニ新シイアジトヲツクッテ……」


「ドリルルの森?」


「ああ、あそこか!」


「ん、クロウサヒコ、詳細を頼む」


「そうだな、ありていに説明すると、地面からタケノコような岩が、あっちこっちに見受けられる場所だ。別名、奇岩の森なんて言われているぜ」


「へえ、そんなところに潜んでいるのか、オーク共は」


 ふむ、魅了された状態だと、呆気なく喋ってしまうとはねぇ……。


 ま、なんだかんだと、オーク共の根城がある場所がわかったワケだが――。


「よォし、早速、ドリリルの森へ往くぞ、お前ら!」


「え、早速ッスか、隊長!」


「おう、当たり前だ! グズグズしてるとオーク共が増えちまうだろう!」


 ちょ、根城がある場所がわかったからとはいえ、早速、乗り込むとか気が早すぎじゃないかぁ?


 むう、というか無謀だなぁ、クロウサヒコの奴!

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