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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
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外伝EP12 男装王女とホッキョクグマ その22

 熊と魔術の語呂合わせ——とまあ、それが熊術ってモノなんだが、アレには巨大化以外のもいくつか存在し——。


 とまあ、それを今からお見せしよう。


 ま、そんなに凄いモノではないけど、俺的には気に入っているんだよなぁ。


「お、アレをつくるのか?」


「アレ? アレってなんだよ!」


「おお、アレはアレだ」


「アレじゃわからねぇーッ!」


「は、とにかく、アレの出来栄えを見せてくれ、由太郎!」


「ああ、わかっているさ……ウリャーッ!」


 なんだかんだと、アレはキョウが教えてくれた魔術をアレンジしたモノである。


 周囲に残っている雪、オマケに邪神雪像の真っ黒な巨体から放出された雪玉を利用した人造生物——ゴーレムの作成である。


「う、うわ、キモくない?」


「頭が兎だけど、首から下が筋肉ムキムキのマッチョメン……」


「こっちは頭が栗鼠だけど、首から下が筋骨隆々のマッチョ……」


「し、仕方がないだろう! 初めて使うんだかさー!」


 失敗したぁ?


 とりあえず、ゴーレムの作成には成功したぞ。


 しかも二体もネ!


 ま、頭が可愛らしい兎とか栗鼠ではあるけど、首から下が筋骨隆々のマッチョという矛盾があるけどな。


「おお、上手くいったじゃん!」


「キョウ、アンタに教えてもらった通りにやってみたら上手くいったぜ! さ、命令だ……兎ゴーレム、お前は俺の盾となって邪神雪像の攻撃を防ぐんだ。栗鼠ゴーレム、お前は俺と一緒に邪神雪像の真っ黒な巨体からはみ出している腕……マーデルの奴を引きずり出すのを手伝うんだ!」


「「オオオッ……」」


「オオオッ? それは返事を意味する唸り声なのか?」


「「オオオッ……オ断リダァァァ~~~!」」


「ちょ、いきなり、命令を反故する気か⁉」


「うーむ、ありゃ失敗だな。あの二体のゴーレムは由太郎に対し、反逆する気が満々って感じだしなぁ……」


 さてさて、早速、二体のゴーレムこと兎ゴーレムと栗鼠ゴーレムに対し、俺は命令を下す——が、いきなり命令を反故したぞ!


 うええ、キョウの言う通り、失敗だったのかーッ!?


 こ、これじゃ敵を増やしてしまったコトになるじゃないか……ど、どうするんだよ、俺ェェェ~~~!


「この野郎! 創造主(おれ)に対して歯向かう気か……ぶっ壊してやるぜェェェ~~~!」


「アハハ、由太郎の物言いは悪役っぽくてウケるんですけど☆」


「う、五月蠅い! とにかく、反逆するなら……う、うお、兎ゴーレムが邪神雪像がぶっ放した雪玉を食らったバラバラに砕け散った!」


「あちゃー……反逆されたのはいいけど、ああも呆気なくバラバラにされちまうたぁ、本当に失敗だな」


 俺は悪役じゃねぇー!


 そんなコトはともかく、兎ゴーレムの奴、弱すぎだ……たった一発の雪玉が当たっただけでバラバラに砕け散ってしまったしねぇ。


「コ、コノッ! ヨクモ俺ノ仲間ヲ——ッ!」


「ん、栗鼠ゴーレム! 迂闊に近寄るんじゃない……あ、でも、今がチャンス! 奴を盾にして邪神雪像に最接近だー!」


 栗鼠ゴーレムの奴、人造生物ながらも仲間意識ってモノを持っているようだな。


 よォし、栗鼠ゴーレムを利用し、再度、邪神雪像に接近だ。


「ガ、ガアアーッ!」


「うお、忘れていたぜ。邪神雪像は触手という武器も持っているコトに……お、だが、間近まで近寄れたぞ! 今だ……ウオリャーッ!」


 うえぇ、人造生物仲間の兎ゴーレムがやられたコトに激昂し、邪神雪像に立ち向かっていった栗鼠ゴーレムだけど、ザンッ——と、呆気なく邪神雪像がぶん回す触手に薙ぎ払われてしまうのだった。


 だが、邪神雪像に攻撃の対象が栗鼠ゴーレムに向いたおかげで隙ができし、かなり接近できた——カチンコチンの凍りついたマーデルの腕……掴めたぜ!


「ヤヤヤヤ……ヤメロ……ヤメ、ヤメヤメ……ヤメローッ! ソイツヲ引キズリ出スナ……俺ノ……俺ノ……大変ナコトニナリュウウウウッ!」


「はあ、大変なコトになる? フン、かまうモノかよ。コイツはもらっていくぜ!」


 ん、大変なコトになる…だと…⁉


 フン、知ったコトか!


 とにかく、今は邪神雪像の中から引きずり出したカチンコチンの凍りついたマーデルを連れて安全圏へとんずらってところだ!


「ガ、ガアアーッ! ソイツヲ俺ノ身体ノ中ニ戻セェェェ~~~……オオオオ、オゴオオオッ!」


「は、お前の攻撃なんざぁ見切ったぜ……当たるかよ! ほい、カチンコチンに凍りついたマーデルだ。煮るなり焼くなりするんだな」


「うん、そのつもりよ☆」


「お、おい、どうでもいいけど、邪神雪像が言ってたコトはマジかもしれないぞ!」


「えっ……う、うわ、なんだ……アレはーッ⁉」


「こ、氷の蛸? いや、烏賊(イカ)だな、ありゃ!」


「だけど、それは触手だけの話だ。身体は……カタチが定まらない不定形なモノだ」


 ふ、ふえ、真っ黒だった邪神雪像の身体が、スーッ——と、真っ白くなっていく。


 そして気づいた時には、透けて見えるほどの透明度の高い氷の蛸や烏賊といった海洋生物のヌラヌラした触手を何本も持つ不定形の巨大生物へと変貌を遂げるのだった。


 もしかしてマーデルを引きずり出したコトで暴走した……とか?


 これがヤバい展開になってきたかも……。


 早く何かしらの対策を考えねばー!

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