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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
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外伝EP12 男装王女とホッキョクグマ その20

「奴は転倒したままの状態だと、あの真っ黒な巨体を維持するためのエネルギー消費が激しいんだろう」


「うん、だから、その身に取り込んだマーデル達の生体エナジーを吸収しながら、なんとか、あの巨体を維持しつつ自己再生を行っているって感じなのですね?」


「うむ、そんなところだろう」


 ちょ、バル先生、それにデメテルさん!


 そんなコトはいいから、マーデルを筆頭とした邪神雪像の真っ黒な雪の塊の身体の中に取り込まれた連中を救出する方法を考えてくれよ!


「こうなったら手当たり次第、奴の身体を破壊しよう。そのうちに兄やエフェポスの村の連中の身体が見えてくる筈よ!」


「うむ、それがいい……って、手当たり次第に奴の身体をぶっ壊すのもいいけど、それじゃ取り込まれてしまった連中も無事じゃ済まないかもしれないぞ」


「いいのよ、細かいコトは! 後で回復魔術で傷を治してあげりゃいいコトだしね☆」


「うへぇ、メチャクチャだなぁ……って、おい、そう言った矢先からガンガン攻撃魔術をぶちまけるのかよ! く、仕方がない……俺だって!」


 とにかく、取り込まれた連中のコトは後回しだ。


 今は転倒した状態から立ちあがるコトができない邪神雪像に対し、攻撃魔術をぶちまけるのみ!


「なあ、魔術で吹っ飛ばすより、(コイツ)で削った方が早くないか?」


「由太郎の両手が巨大化した!」


「熊術のひとつ……部分的巨大化だ!」


 え、単純な魔術だって?


 ま、まあ、そうなるだろうけど、なんだかんだと、両手を巨大化させて邪神雪像の真っ黒な雪の塊の身体を掘っていくって策もイイなぁと思ってね。


「ウリャーッ! マリエルやアタランテが魔術で吹っ飛ばした周辺の雪を巨大化させた両手で掘り返すぜェェェ~~~! あ、早速、何か出てきた……ん、カチンコチンに凍った兎獣人だ」


「あ、ソイツは村のガードマンのクロウサヒコじゃないか?」


 お、早速、手応えがあったぞ――とまあ、そんなワケでカチンコチンの凍りついたクロウサヒコという名前の兎獣人を邪神雪像の中から引きずり出すのだった。


「由太郎、その調子でガンガン掘るんだ!」


「あ、ああ、わかっているさ……って、おいおい! 俺が邪神雪像の身体ン中を掘ってる時くらいは魔術を使うなっての! お、また何か出てきた……ン、今度は猫獣人……狐獣人も発見!」


 むう、俺が邪神雪像の身体の中を掘り返している時くらい魔術攻撃をやめてくれ!


 危なく埋まってしまうところだったじゃないかー!


 ああ、でも、猫獣人に狐獣人——邪神雪像の奴が、その真っ黒なその身に取り込んだエフェポスの村の住人達を俺は次から次へと救出するのだった。


「みんなカチンコチンに凍ってしまっているな。ま、一応、死んではいないようだから、火の魔術で溶かそうぜ、ヤス」


「兄貴、溶かすのを手伝うッス!」


 さっきの兎獣人と同じく俺が救出した猫獣人も狐獣人も、まるで冷凍庫の中に保存されている魚のようにカチンコチンに凍りついている。


 え、まだ、生きているって? うーむ、凄い生命力だーッ!


「オオオ、オ前ラッ! 動ケナイカラトイッテ俺ノ身体ノアッチコッチヲ掘リ返シヤガッテ! ユユユ、許サーンンンッ!」


「わ、コイツ! 暴れるんじゃない! グ、グワーッ!」


 動けないから今がチャンスなんだろうが!


 だが、いつまでも黙っているワケがないんだよなぁ……。


 そんなこんなで邪神雪像は、転倒したままの状態ながらも、その真っ黒な巨体からガトリング砲からの一斉射撃とばかりに無数の弾丸の如き雪玉が、俺達を標的に放出してくるのだった。


「危ねぇ! よっ……はっ……とおッ!」


「お、中々、イイ躱しっぷりじゃん、由太郎!」


「フン、躱すのだけは得意なんでね!」


「ウ、ウギャーッ! 兄貴ィィ……アギゴキガギゴ……」


「ヤ、ヤスゥ!」


「近寄るな! お前まで凍ってしまうぞ!」


 ガトリング砲から放たれる弾丸の如き雪玉だろうが、俺には当たらないぜ!


 なんだかんだと、躱すのだけは得意なんだ。


 本来いるべき世界で通っていた高校で昼休みなんかに仲間内で行われるドッジボールや雪合戦なんかじゃいつもの展開だしね。


 〝狙われる側〟としてのいつもの——。


 そんなワケだから〝見える〟んだよ——飛んでくる雪玉の軌道がね☆


 それはともかく、邪神雪像の真っ黒な巨体から放出される雪玉に触れちゃいけない!


 当たった瞬間、ヤスのようにカチンコチンに凍りついてしまうようだし——。

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