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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
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外伝EP12 男装王女とホッキョクグマ その19

 クソーッ……デ、デカくなればイイって問題じゃないぞ、君ィィ!


 とにかく、邪神雪像の奴は、元から怪獣のような存在ではあるが、あっと言う間に全長十メートルは間違いなくある巨大怪獣と化すのだった。


 とはいえ、その姿は真っ黒い雪だるまのままである。


 禍々しい雰囲気を備えてはいるんだろうけど、心底、怖いとは思えない姿なんだよなぁ……。


 おっと、それはさておき。


「グハハハーッ! ココマデデカクナレバ、俺ハ無敵ダゼェェェ~~~! ヨシ、踏ミ潰シテヤル、ヌウンッ!」


「お、おわーッ! 踏み潰すって圧し掛かるコトかよー!」


 邪神雪像の野郎、俺を圧し潰すかのように圧し掛かってきた……お、重すぎ……こりゃいかん!


「グ、グワーッ!」


「ああ、由太郎が圧し潰された!」


「邪神雪像は雪の塊だし、雪崩に巻き込まれたって感じだな」


「それはともかく、よく見て……奴は立ちあがるコトができないっぽい!」


 ぬふぅ……確かに雪崩に巻き込まれたのと同じだなぁ。


 何故、真っ黒なのかは知らんが邪神雪像の奴は、なんだかんだと、雪の塊だしね。


 さて、俺を真っ黒な雪の下敷き状態にしたまでは良かったが、どうやら奴は自力で立ちあがるコトができないようだ。


 グラグラと真っ黒な巨大な身体を激しく揺らしているけど、一向に立ちあがる気配がないしね。


「ウグググッ……動ケン!」


「動けんって言ってる……よし、倒すなら今ね! これでも喰らえ、ベトッフデウフクバーッ!」


「それは爆風で対象物を吹っ飛ばす魔術かな……って、由太郎の身体が少しだけ見えてきたぞ」


「私も手伝うぞ。私だってアレくらいは――ベトッフデウフクバ!」


 むう、本当に動けないっぽいな、邪神雪像の奴。


 で、そんな邪神雪像に対し、マリエル、それにアタランテが衝撃波を巻き起こす魔術を放つ――お、おお、少しだけ奴の真っ黒な雪の塊でできた身体が吹っ飛んだせいで下敷き状態にある俺の身体が外に出る!


 こ、この調子でどんどん奴の身体を吹っ飛ばしてくれーッ!


「よ、よし、手足が徐々に動かせるようになってきたぞ……ううう、もう少しだ……もう少し!」


「由太郎、子熊の姿に戻るんだ。今が脱出チャンスだぞ」


「お、おう、確かにな。今ならギリギリ……ふんぬーッ!」


 邪神雪像の奴、寝転がった状態から立ちあがるコトができないようだが、その状態でも真っ黒な雪の身体を膨張させている。


 むう、今いる商店街だけじゃない!


 エフェポスの村のあっちこっちから雪の塊が、吹き荒ぶ地吹雪とばかりに強烈な風に乗って飛んできたかのように奴の身体を膨張させているようだ。


 さて、マリエルとアタランテが邪神雪像の真っ黒な塊の身体をそこそこ破壊したので、なんだかんだと下敷き状態とはいえ、手足は動かせるようになってきたぞ。


 だが、このままだと、再びまったく身動きができなくなりそうだ。


 キョウが子熊の姿に戻れって言うし、その言葉に従うとしよう。


 巨大ホッキョクグマのままじゃ手足をやっと動かせるようになった程度だが、子熊の姿に戻れば、今なら邪神雪像の下敷きという状態から、ギリギリ脱出も可能だしな!


「ふ、ふう、なんとか出られたぜ!」


「よォし、由太郎も魔術で、あのデカブツの真っ黒な身体を壊すんだ」


「え、壊すって言っても雪がある以上、無限に巨大化していくし、オマケに削った部位も元通りに……」


「うむー、それが問題なんだよなぁ」


 子熊の姿に戻ったコトで、俺は邪神雪像の真っ黒な雪の塊の身体の下から出れるのだった。


 ふう、下敷き状態ってキツいね……息苦しさがヤバすぎる……。


 さて、俺も魔術で倒れてしまったら動けなくなってしまう邪神雪像を破壊するか――あ、だが、その前に〝雪〟がある以上、奴の身体が無限に再生し続けるようだ。


 く、こうなったのも雪の女帝……炎神竜のせいだ! 


 冬の女神だからってメチャクチャに雪を降らせやがってーッ!


「奴の身体が無限に再生するのは、何も雪だけが原因じゃないと思う」


「どういうコトだ、マリエル?」


「多分だけど、アイツはその身に取り込まれた兄の魔力を吸いあげている筈だわ」


「じゃあ、邪神雪像の真っ黒な身体に中に埋もれたマーデルを助け出せば、無限再生力が失われるかもそれないんだな?」


「だけど、どこに埋まっているんだぁ、アイツ!」


 そこいらにある雪以外に、その身に取り込んだマーデルの魔力が、邪神雪像の真っ黒な雪の塊の身体に無限再生力という力を与えているっぽい——と、マリエルが言うけど、奴の超巨体のどこにマーデルが埋もれているのか、それがわかれば苦労はしないぜ。


「ガ、ガアアア、ガアアアッ! コノ身ニ取リ込ンダ生贄共ノ生体エナジーヲ吸イ取ラネバ! 俺ハ動ケナイママダ。オマケニ、コノママダト〝中心核(コア)〟ガ無事デハ済マナイ!」


「アイツ、もがきながら、何か言っているぞ」


「ん……ああ、そういや、マーデル以外もアイツの真っ黒な身体ン中だったな!」


「生体エナジーを吸い取るって言ってるッス!」


「つーか、中心核(コア)が無事では済まないって、そりゃどういうコト?」


 おっと、忘れていたぜ。


 邪神雪像の真っ黒な雪の塊の身体の中には、マーデル以外のモノ――エフェポスの村の住人達も取り込まれてしまっているってコトを。


 だから、さっさと助け出さなくちゃいけないぞ。


 邪神雪像の身体が、どんなメカニズムなのかは知らないけど、転倒したままだと取り込んだ連中の生体エナジーとやらを吸収しないといけないようだ。


 そうじゃないと中心核がヤバいとか、もがきながら言ってるコトだしね。

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