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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
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外伝EP12 男装王女とホッキョクグマ その2

 兎天原の全土を支配下に治めているのが、八百年の歴史と文化を謳歌する王政国家のマーテル王国である。


 が、しかし、最近はそうも言っていられない状況のようだ。


 主に兎天原の西方で独立運動が活発化しており、オマケに乱立するかの如く新国家が、次々に誕生し、混沌としているようだ。


 ハハハ、これじゃ、広大な盆地である兎天原の支配者とは言えないね。


 ああ、ついでにだけど、兎天原の西方は今じゃ悪しき風習として忌避するモノも多い古き仕来たりを重んじている連中が数多く住んでいる区域のようだ。


 例えば、魔術を使えないモノに対する差別だろうか?


 さて、気づけば、俺達の周りには、人だかり……いや、獣人だかりができている。


 みんなキョウって女が語ろとしている面白い話に興味津々なんだろうなぁ。


「お姉様、これですよね?」


「おう、サンキューな、グラーニア。さて、みんな、コイツを見てどう思う?」


「す、凄く高い賞金です!」


 ん、可愛い人間の女のコの似顔絵、それに賞金と思われる数字が記載された紙……手配書か、これ⁉


 図書館で出逢ったキョウって女は、自分と容姿が瓜二つだけど、背が低く巨乳のグラーニアという若い女を連れている。


 で、そんなグラーニアが手配書と思われる紙を俺達の目の前にあるテーブルの上に置くのだった。


「可愛いコね。ええと、名前はマリエル・ヴィルオーブ。通称マリーかぁ」


「ど、どうでもいいけど、このコを見つけ、生け捕りにした場合、凄い賞金をもらえるみたいだゾ!」


「い、一千万マーテルゴールドだと⁉」


「マーテルゴールド? あ、ああ、兎天原で使われている共通通貨だったな」


「おお、なんだかんだと、すげぇ! だけど、同じモノで例えるなら、なんだろう?」


「うむ、そうだな。エフェポスの村にあるモノで例えるなら、ウミコの私有地の二倍に広さの土地を余裕で買える金額だな。さらに一千万マーテルゴールドもあれば、余りの金で舞踏会を開けるような大きな屋敷を建てられる筈だ」


「「「な、なんだってー! そりゃ凄いィィ!」」」


 ウミコって誰だ? もしかしてエフェポスの村の有力者のコトかな?


 ま、とにかく、手配書に載っているマリエルって人物を生け捕りにすれば、具体的な広さはわからないけど、広大な土地をGETできる上、舞踏会を開催できるほどの大きな屋敷を建てるコトができる一千万マーテルゴールド——多額の賞金を得られるワケだ。


「ん、この手配書だけど、ヴァルムント公国が発行したモノみたいだ」


「へえ、どれどれ……ああ、なるほど! ご丁寧にもヴァルムント公国保安庁の印が押されているしね」


「それじゃマリエルって奴は、ヴァルムント公国の人間なのかな……かな?」


「だろうなぁ……しかし、面倒くせぇな」


「ですね、お姉様……」


 目の前にあるテーブルの上に乗っている手配書の発行元は、あの少年が口にしたヴァルムント公国のようだ。


 で、そんな手配書に載る人物マリエル・ヴィルオーブは、件のヴァルムント公国絡みに犯罪者(?)であるコトは間違いないだろうなぁ。


 しかし、一千万マーテルゴールドなんて多額の賞金がつくほどの大悪人なんて滅多にいないって聞く。


 アタランテ曰く、田舎と言っても間違いないエフェポスの村にまで悪名が轟く有名な指名手配犯とはいえ、精々、一万が二万くらいなんだとか――。


 それが一千万マーテルゴールドだぜ……額が違うだろう?


 故に、俺は思う……関わるとトンでもない目に遭うかもってな。


 キョウとグラーニアも言っているだろう、面倒くさいって……。


「面倒くさいって、そりゃどういうコトなんだぁ?」


「うむ、恐らくは〝魔術を使えない〟というだけで差別の対象になるんだろう」


「お、ビンゴだぜ。流石はベル先生☆」


「ま、そういうコトだ。あの国は魔術が使えないってだけで酷い差別を受けるんだ。そんなワケでグラーニアなんか、危うく逮捕されるところだったんだぜ」


「あうう、兎天原の東方にとんぼ返りしてなきゃ、私は今頃……」


 バル先生と呼ばれている喋るサーバルキャット——いや、サーベルキャットの獣人が口にした言葉が、まさかビンゴとはねぇ……。


 魔術を使えないだけで差別の対象になるのか、兎天原にも当然の如くひでぇ連中もいるモノだ。


「うーむ、もしかすると、マリエルって人物は、ヴァルムント公国の最高権力者に関わりのある大貴族の娘なのに、なんの因果か魔術が使えないコトが発覚し、逃亡したってところかな?」


「ま、とにかく、〝生け捕り〟が一千万マーテルゴールドという多額の賞金を得られる条件だぞ。それを忘れんなよ、お前ら!」


「あ、ああ、だけど、考えてみると、一千万マーテルゴールドという多額の賞金首だ。関わるだけで、トンでもない危険が待ち構えている気がするぜ」


 さて、なんだかんだと、件のマリエル・ヴィルオーブは生け捕りにするだけで一千万マーテルゴールドという多額の賞金を得られる人物である。


 故に、捕まえるのに一苦労ってレベルの賞金首ではない筈だ。


 下手すりゃ死人が出るレベルとか……。


 そんなワケで軽い気持ちで生け捕りにしようなんて考えない方は無難な可能性もあるんだよなぁ……どうする、俺!

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