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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
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外伝EP11 雪の女帝とホッキョクグマ その43

「よっしゃー! 影の森の外に無事に出られたぞ!」


「「ア、アアアーッ!」」


 ふ、ふう、無事に影の森の外へ出られたぞ!


 禍々しい森よ、さらばッ!


 だけど、出た途端、奇声が響きわたる。


 その主は、アスタルテとアフロディーテのアヒルコンビである。


 やれやれ、何が起きたんだぁ⁉


「ないないないィィ!」


「ふえええ、消えてなくなったぁ!」


「お、おいおい、何がなくなったんだ?」


「早春の魂よ!」


「真夏の魂もよ!」


「な、何ィィ⁉ まさか、落としたのかよ、おい……」


 影の森の深奥にあった古代の大貴族ニャガルタの偽装墓の地下で発見した神々の工芸品(アーティファクト)である早春の魂と真夏の魂かもしれないお宝を紛失した…だと…⁉


 なるほど、それでアスタルテとアフロディーテが奇声を張りあげていたのか……。


「落としていないわ……断じて、それは言える!」


「私もよ! お宝を落とすなんてコトは絶対にないわ! あ、でも、一瞬、愛用の鞄の中から熱が……」


「やれやれ、言いワケかい? ま、とにかく、エフェミスの町へ戻るぞ。ふう、寒い寒い……暖かいコーヒーが飲みたいぜ」


「え、この世界にもコーヒーが存在する? ああ、待ってくださいよ、ミューズさん!」


 アスタルテとアフロディーテは嘘を吐いているようには思えないんだよなぁ……。


 だけど、アイツらが早春の魂と真夏の魂かもしれないお宝を鞄に中に放り込む場面を間近で見ていたワケだし――。


 ま、今はエフェミスの町に戻ろう。


 そして俺も暖かいコーヒーが飲みたいなぁ……。


 そう思った刹那——。


「う、うわああ、上空で爆発がぁ!」


「花火だわ! 花火が上空でドーンッと炸裂したのです!」


「うーむ、花火ねぇ……あ、ああ、巨大星の子が姉上を道連れに自爆したんじゃないだろうか?」


「どうでもいいけど、でっかい火の玉が降ってきているんですけどッ!」


「きっと炎神竜と巨大星の子の燃え盛る肉片だろう」


「炎神竜はともかく、巨大星の子には実体がないのでは……」


「そんなコトはどうでもいい! さっさと、この場を離れないと私達も被害に遭う!」


「ああ、既に被害が出ているしな!」


「アチチチッ! 水、水をぶっかけてくれェェェ~~~!」


「しょしょしょ、消火ァァァ~~~!」


 巨大星の子が炎神竜を道連れに自爆した⁉


 それはわからんけど、俺達が今いる影の森の入り口の上空で、夜空に赤々と裂く花火の如く爆発が起きる。


 それと同時に、上空から大人の人間の拳ほどの大きな大きな火の粉が降り注ぐ!


 ああ、逃げ遅れたドリスを筆頭とした古代遺跡ぶっ壊し隊の連中の中に、そんな人間の大人の拳大もある火の粉の餌食になってしまったモノも出てしまっている。


「ふ、ふう、ここまで逃げりゃ大丈夫……だよな?」


「う、うん……」


「だが、仲間に被害が出てしまった。病院へ直行だな、私達は……」


「さて、久し振りに運動をしたし、私は肉が食いたいぞ」


「お、イイね☆」


「だろう……って、おい! 誰だ、お前は!」


 なんだかんだと、エフェミスの町の入り口まで戻ってきたゾ。


 オマケにミューズさんも連れ戻せたワケだし、これでミッションは終了だ。


 でも、ドリス達、古代遺跡ぶっ壊し隊も一緒だ。


 ま、コイツらともかく、見慣れないモノが、肉を食べたいと言い出すキュベレに賛同する。


 ちなみに、ソイツの姿はチワワとかポメラニアンなどの小型犬ほどの大きさの頭に二本の角、それに一対の翼が生えた赤い鱗が特徴的な喋る蜥蜴という風貌の生き物である。


「う、もしかして姉上では?」


「その通りだ。今更、何を言うのだ、愚妹」


「チッ……生きていたのか……」


「ハハハ、わらわは不死身だ。しかし、危なかったぞ。後一歩、遅ければ死ぬところだったし……」


「じゃあ、わらわが殺してやろうか? 今の姉上なら……」


「や、やめぃ! アレはお前達にやるからさぁ!」


「フン、最初からそう言えばよかったのだ。ああ、だが、アレはすでに〝消滅〟してしまったようだぞ」


「な、何ィィ⁉ うむ、若葉の女王と真夏の姫の仕業か……返せ返せって五月蠅かったからなぁ」


 小型犬ほどの大きさに縮んで弱体化(?)してしまったようだけど、雪の女帝こと炎神竜は健在だ。


 しかし、しぶとい奴だなぁ……流石は女神様ってところかな?


 さて、早春の魂と真夏の魂が消えてなくなった背景には、アレの本当の持ち主——若葉の女王と真夏の姫が関わっているっぽいコトを炎神竜が言い出すのだった。


『あら、バレまして?』


『ニャハハ☆ ずっと私達はお前を見張っていた!』


『そうそう、悠久の年月をね!』


『さて、アレを発見してくれてありがとう!』


「ちょ、何を言っているのよ!」


「ア、アレは私のモノなのにィィ!」


 ん、姿は見えないけど、ふたつの声が交錯する。


 もしかして若葉の女王と真夏の姫……なのか⁉


「やっぱりッ……お前らの仕業だったのか! ゆゆゆ、許さんッ……アウッ!」


「わお、姉上が消えた⁉」


『炎神竜……いえ、雪の女帝は連れて帰ります』


『そこの野良神と違って、彼女には色々と役目があるしね』


「う、その野良神って、わらわのコトかァァァ~~~!」


「それは誰に訊いても『お前のコトだろ?』と答えるだろう。俺も、そうなんじゃないかなって思うし……」


「ぐ、ぐぬぬぬッ……」


「ま、とにかく、エフェミスの町へ戻ろう」


「あ、ああ……」


 フッ――と、炎神竜の姿が消え失せる。


 またしても若葉の女王と真夏の姫の仕業のようだ。


 それはともかく、一旦、エフェミスの町に帰ろう。


 なんだかんだと、ミューズさんを連れ戻せたワケだしね。

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