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EP8 俺、古代文明の遺跡で動くミイラと出逢う。その13

「あうあうあうあう!」


「美味い! 私は天国にいるのか――と、言っていますね。」


「え、そうなの? あうあうあう、としか聞こえないんだが……。」


「み、右に同じく……。」


 顔面を覆っていた包帯を破ったことで長い金髪と褐色肌の美顔が露わとなったミイラ女は、ヤスから奪い取ったクッキーを口の中に放り込む……なんか涙ぐんでないか? そんなに美味かったのか?


 しかし、ミイラ女が何を言っているのか理解不能だ。


 俺にはあうあうあう――としか聞こえなしね。


 で、それを理解し、翻訳するメリッサは、なんだかんだと考古学者なんだなぁ――と、再認識させられるぜ。


「みゃ、みゃうあうあうあう! あううがあー!」


「も、もっと寄越せって言っています!」


「もっと寄越せって? ほ、ほらよ!」


「あうあう、はううー!


 メリッサ曰く、ミイラ女はクッキーをもっと寄越せと言っているようだ。


 そんなワケで俺は恐る恐るクッキーを地面に置くと、またまた理解不能な古代語をくちにするミイラ女は、俺が地面に置いたクッキーをシャッと勢いよく拾うと、その場でガリガリと音を立てて食べ始めるのだった。


「ふう、大人しくなりましたね。」


「ああ、だが、まだまだ油断しちゃいけない段階だ。仮に襲いかかってきた時に備えて、すぐにでも戦えるように準備しておいてくれ!」


「はい、了解です!」


「どこからでもかかって来いってヤツですよ、姫ェェェ~~~!」


「うわー、そんなことより俺のクッキーがァァァ~~~!」


 さてと、兄貴が隠し持っていたクッキーをすべて地面の放り投げる。


 で、ミイラ女はクッキーを至福に満ちた表情でつくり拾い集めている。


 ――が、油断は禁物だ。


 右手には相変わらず黄金の短剣が握られているしね。


 クッキーをすべて食べ終えたら、俺達に襲いかかってくる可能性も否めない!


「キョウ、なんだかんだと、あのミイラ女は油断している! 今のうちに契約の呪印を!」


「え、アイツを使い魔にしろってか? だが、迂闊に近寄れんぞ!」


 ブックスはミイラ女を使い魔にしろ――とは言うけど、迂闊に近寄れないぞ。


 クッキーを食べている隙を突けばいいのか……。


「<投擲>のカードを使うんだ。離れた相手にも契約の呪印を魔力の弾丸に変えて飛ばせるはずだ。」


「そ、そうなのか!? じゃあ、やってみるか――。」


 へえ、<投擲>のカードか、そういえば、そんなカードが自分専用のカードデッキの中に、アレがあったなはずだ。


 まだ使ったことがないけど、自分専用カードデッキの中のある数少ない攻撃系カードだったなぁ……。


 この身に蓄積された魔力を弾丸のように撃ち出す――って感じか?


 と、それを応用し、契約の呪印をミイラ女の身体に撃ち込めばいいのか……よし、やってみよう!


「お、俺のターン……<投擲>のカード+契約の呪印!」


「俺のターン?」


「な、なんでもない!」


「キョウ、私がサポートしよう。」


「う、うむ! 行けっ……契約の呪印!」


 うーん、きっとブックスのサポートなんだろうなぁ。


 自分専用カードデッキの中から、右手の人差し指と中指で<投擲>のカードを引き抜くと同時に、ポウンと林檎ほどの大きさの紫色の光の球体が<投擲>のカードに描かれている絵から飛び出す……ん、そんな紫色の光の球体をよ~く見ると、奇妙な幾何学模様のようなモノが螺旋状に渦巻いているな。


 これが紫色の光の球体の奔流である契約の呪印だ。


 と、とにかく、コイツをミイラ女に飛ばせばいいワケだ……行け、契約の呪印!

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