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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
689/836

外伝EP11 雪の女帝とホッキョクグマ その31

 う……見られている……見えないナニかに……。


 ま、まあ、仕方がないよな。


 俺が今いる場所は、成仏できずにこの世を彷徨っている亡霊が集まり、そして巣食う陰気で曰くつきな影の森なワケだし……。


 さて、アイツらのリーダーはもういないし、死霊魔術師であるミューズさんが追い払った筈なんだが、依然と奴らの気配を感じるんだよなぁ……。


 そんなリーダーに関係なく隙あらば、俺達の肉体に憑依しようと目論んでいるんだろうな、きっと。


 それはともかく、俺達はミューズさんに誘われるカタチで影の森の深奥にある古代の大貴族ニャガルタの墓かもしれない古代遺跡へと向かうのだった。


 あ、あれぇ?


 俺達の目的ってミューズさんを連れ戻すんじゃなかったっけ?


 ま、まあいいか、一緒にいるワケだし――。


「ウホッ! イイ古代遺跡! ぶっ壊し甲斐がありそうだ☆」


「え、壊すのかよ!」


「当たり前だろう? そして財宝が見つかれば、それを売って大儲け☆」


「お前らの〝壊す〟は盗掘と同じ意味じゃないかーッ!」


「ん、それが何か問題でも?」


「問題だよ。お前らは貴重な古代文明の破壊者だよ!」


 そ、そういえば、唯一の人間の隊員である古代遺跡ぶっ壊し隊の連中も一緒だったな。


 やれやれ、面倒くさい連中が一緒だったコトを忘れるところだったぜ。


「なあ、壊れた土台のようなモノが残されているだけで、何もないんだが……」


「とりあえず、真っ白な大理石の土台みたいね」


「でも、壊す価値あるのか、お前ら? 地下へ降る階段なんかも見受けられないしな」


 さて、ニャガルタ遺跡ってヤツは、俺の予想に反し、ボロボロに朽ちた白亜の大理石の土台しか見受けられない殺風景な古代遺跡であった。


 壮麗な神殿キターッ!


 なんだかんだと、ニャガルタ遺跡を見るのが楽しみだったんだがなぁ……。


 とまあ、そんなワケだし、ここを壊す価値なんてあるんだろうか……あ、ああ、ボロボロに朽ちてはいるけど、白亜の大理石の土台の一部を破壊し、持ち帰れば、そこそこの値段って買い取ってもらえるとか?


 そういう魂胆もありそうだな。


「ぶっ壊れた土台しかねぇけど、壊し甲斐がありそうですね、姐さん」


「ああ、それじゃ早速、破壊活動を始めるぞ!」


「「「オオオーッ!」」」


「ま、待てッ! 壊すとか、そういうのは無し! せっかく玄室への入り口っぽい穴を発見したんだから!」


「ウ、ウギャーッ!」


「モギャーッ!」


 え、玄室——被葬者の遺体が納められている棺が安置された部屋のコトだっけ?


 それをミューズさんが発見した…だと…⁉


 んで、ニャガルタ遺跡を破壊しようと目論む古代遺跡ぶっ壊し隊の連中が、ドリスの掛け声と同時にい一声に破壊活動を開始する。


 と、そんな連中の行動を阻止すべく半人半蛇の怪物の種族ラミアであるミューズさんの大蛇の下半身が薙ぎ払う。


「こ、この蛇女、何をする!」


「フン、ニャガルタ遺跡を壊そうとするからさ! 次はお前の番かぁ?」


「古代遺跡の破壊活動こそ、私達の目的でもあるからな」


「ほう、それじゃお前の全身に巻きついて骨を粉々に粉砕してやろう!」


「ま、まあまあ、落ち着けって! それより、玄室らしき地下室が見つかったって本当?」


「玄室? 被葬者の遺体が納められた棺が眠っている部屋だっけ?」


「わお、大発見なのです! ミューズさん、そんな玄室の場所を教えてくださいなのです☆」


「ま、いいけどぉ? あ、でも、遺跡の破壊者はどこかに行けば……の話だけどね」


 むう、遺跡の破壊者ねぇ……確かに、ドリス達、古代遺跡ぶっ壊し隊の連中が一緒にいる以上、玄室の在処を教える気にならないよなぁ。


 俺だってミューズさんと同じ意見だ。


 アイツらが一緒だと、玄室内にあるかもしれない貴重な被葬者の副葬品を破壊……いや、盗む可能性もあるしな。


「ム、ムムムッ……なんだかんだと、気になるなぁ……よ、よし、わかった。壊さないし、盗まない! これでイイかな?」


「本当か、本当なんだろうな?」


「ああ、本当だ!」


「「「俺達も破壊しないし、盗まない!」」」


「……いいだろう。どうせ、玄室内には棺以外、目立つモノは何もないしね」


 ドリス達は本心を言っているのかなぁ……怪しい……怪しいぞ!


 さて、玄室内には、被葬者の棺以外、目立つモノがないってニューズさんが言っている……ってことは、すでに盗掘被害に遭っているのかな⁉

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