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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
662/836

外伝EP11 雪の女帝とホッキョクグマ その4

「何ィ、エフェミスの街へ行けないだって⁉」


「おいおい、石油ストーブが届いてないだと⁉ テメェ、俺を凍死させる気か、ゴルァ!」


「ワニ公、湯たんぽで我慢しろ!」


「嫌だ、俺はストーブがいいんだ!」


「どうでもいいけど、客である私達を締め出すたぁ酷いじゃないか!」


 むう、郵便局の入り口前では、あっちこっちから怒鳴り声が……ったく、何があったんだよ、何が……。


「ねえ、何かしらの問題でも起きたワケ?」


「おお、君はデメテルさん宅の居候ことアタランテではない。うむ、なんだかんだと、君も薄々はわかるだろう?」


「もしかして、昨晩の雪のせいで荷物を届けられないとか、はたまた届かないって騒いでいるのかな?」


「正解! その通りなのだよ。まったく困ったもんだ」


 と、郵便局の入り口のところにいる黄色いニットキャップと首に赤いマフラーを巻いた鶴――いや、鶴型の鳥人がアタランテの質問に答えるのだった。


「ん、アタランテ、お前と一緒いる熊は雪の女帝の手先じゃないだろうね?」


「ああ、なんだかんだと、その可能性があるよね」


「お、おい、なんだよ、雪の女帝ってのは! つーか、そんなワケのわからん奴の手先じゃねぇっての!」


 まったく、雪の女帝って誰なんだよ。


 んで、俺はソイツは手先だって……勝手に決めつけれちゃいないか?


 俺は悠木由太郎……今はホッキョクグマの姿をしているが人間だっつうの!


「雪の女帝? ああ、兎天原に季節をもたらす四人の女帝のひとりだ。ああ、一応、神様の一柱よ。だから呼び捨てにする場合はヒソヒソと小声で……」


「へ、へえ、そうなのかぁ……」


「でも、困った御方なのよねぇ。気まぐれな上にキレやすいらしい。故に、あの御方を怒らせるとトンでもないコトが起きる……とまあ、そんなこんなで、どこぞの誰かさんが、あの御方を怒らせたんだろう。その結果、例年稀に見るような量の雪が降ったってワケさ」


 兎天原に季節をもたらす四人の女帝――季節を司る神様の一柱なのか、件の雪の女帝とやらは――。


 しかし、なんだか面倒くさい性格をしているようだなぁ……関わらない方が身のためだって思えてくるぜ。


「なあ、気になったんだが、俺が見た感じじゃ村ン中はそれほど雪が積もっちゃいないみたいだけど、村の外はトンでもないのか?」


「うむ、トンでもないぞ! 何せ、ウチの村に住んでいる巨人族のエイラの腰あたりまで埋まるくらいだからな」


「わ、鰐さん、巨人もいるんだ……」


「ん、エイラの奴を知らんのか? ン、その前に雪の女帝……いえいえ、雪の女帝様の使い魔だったりするのか、お前?」


「だ~か~らァァァ~~! 俺は雪の女帝とやらの手先じゃねぇっての!」


「うむぅ、そうなのか……ああ、どうでもいいけど、ストーブを持ってないか? ここは寒くてキツいんだ……」


 きょ、巨人がいるのか⁉


 とはいえ、その大きさはどんなモノなのか……。


 んで、そんな巨人エイラの巨体の腰まで埋まるくらいの雪が昨晩、降ったとか――。


「あらあら、どうでもいいのですが郵便局のドアが開きましたよぉ」


「あ、先生……いいい、いつの間にいたんです⁉ き、気づかなかったんですけど……」


「さっきから一緒だったじゃない、アタランテ……」


「お、俺も気づかなかった……」


 デ、デメテルさん、アンタいつの間に⁉


 と、そんなデメテルさんのことはともかく、郵便局の扉が開く……む、むう、鰐の獣人を筆頭に、そんな郵便局の前に集まっていた村獣人達が中へと駆け込むのだった。


 よ、よし、俺も郵便局の中に入ってみるとするか、なんだかんだと、中は暖かそうだしね。

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