外伝EP11 雪の女帝とホッキョクグマ その2
デメテルさんとやらの家の外は、銀世界――要するに、雪が降り積もって何もかもかが真っ白く染まっているからだ。
そして、俺の心も雪のように真っ白になる――いや、青白くなる……青ざめる。
何せ、俺が今いる場所は異常だからである。
目の前を行き来するモノ達が、皆、例外なく人間のように服を着てオマケに二足歩行であるく犬、猫、兎、狐、狸といった獣だらけというワケで――あ、よく見りゃ服を着たアヒルや亀といった鳥類、爬虫類なんかもいる!
ついでにというか、さらなる異常事態だ!
俺――悠木由太郎は、白い熊のような生き物……ホッキョクグマと化してしまったっぽい……。
その証拠とばかりに、俺の両手は真っ白な被毛に覆われた熊のような手に変化してしまっているしね……ショックだァァァ~~~!
「エフェポスの村には、一応、人間も住んでいるが、九割は獣よ」
「え、そうなの? うわ、チビライオン……ししし、しかも喋ってる!」
「ち、チビとは聞き捨てならない言葉ね!」
「む、むう、その声はもしかしてアタランテか?」
「そうよ! まったく、失礼なクマ公ね!」
むう、背後を振り返ると、そこには眼鏡をかけた子ライオンの姿が見受けられる……え、アタランテだって⁉
あるぇ~? そんなアタランテって金髪おかっぱ頭でオマケに黒縁の眼鏡をかけた人間の女のコじゃなかった?
「わ、わかったぞ! お前、人間に変身できる妖怪……化けライオンだな!」
「は、はぁ? ワケのわからんコトを言うクマ公だなぁ……まあいいわ。それより、この原稿を村の郵便局へ届けるからついて来てよ」
「あ、ああ……」
なんだかんだと、この村の実情を知るためにもアタランテと一緒に村の郵便局とやらに出張ってみるとするか――。




