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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
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EP14 ニャーサー王と円卓の騎士 その9

 兎天原東方のド田舎の村ことエフェポスの村の周囲には、まだまだ謎に満ち溢れた謎多きウサルカ文明絡みの古代遺跡群や人跡未踏の秘境が数多くの存在する。


 オマケに稀少な動植物園も数多く棲息しているせいか、兎天原の各地から一攫千金を狙う冒険者達、それに考古学者を筆頭とした学者達も数多くの集まってくる場所でもあるせいか、エフェポスの村はド田舎って割には、大きな町のように賑やかだったりするんだよなぁ。


 とまあ、そんな連中に紛れ込むカタチで物騒な奴らもやって来ている。


 例えば、人間の領域と呼ばれる兎天原の北方や西方から逃れてきた凶悪な指名手配犯などなど――。


 と、それはともかく。


「貴様ッ……わらわ達をどうする気だ!」


「その前に、私達を何故、拘束する!」


「悪いねぇ、アンタらにゃ何も縁も恨みねぇが、ニャーサーって野郎をここへ誘き出さなくちゃいけねぇんだ」


「上手く誘き出し、捕らえることができれば、ニャメロットの連中に捕らわれている親分が無罪放免で釈放よ」


「ハハハ、オマケに多額の賞金も得られる! こんな一攫千金なチャンスを逃せるかっつうの!」


「故に兎ちゃんよぉ、テメェらは人質として利用させてもらうぜェェェ~~~!」


 エフェポスの村の古老のひとり――いや、一羽って言った方が正しいかな? 


 とまあ、そんな古老こと黒いネザーランドドワーフの獣人ことウミコ、オマケにパンダのような白黒のツートンカラーの毛並みが特徴的なダッチという兎の獣人ことウクヨミは、今――囚われの身である。


 エフェポスの村のあっちこっちにあるウミコの所有する屋敷の一軒に――。


 ちなみに、場所はエフェポスの村の市場の外れにある古ぼけた高床式の屋敷である。


「狐が四匹……私達の天敵ですね、ウミコ様」


「う、うむ……」


「狐だと! 俺達だって好きで、こんな姿になったワケじゃねぇ!」


「ニャーサーって野郎を探しに、兎天原の東方へやって来たラ、いつの間にか狐の……狐の獣人になっていたんだ!」


 さて、ウミコとウクヨミを人質に立てこもっているモノ達の容姿をありていに言おう――長剣や短剣といった武器を携えた黒ずくめの狐だ。


 だが、首から下は人間である――即ち、狐獣人(ワーフォックス)である。


「その前に、お前達は何者なのか、それをわらわは知りたいのじゃが……」


「ほう、身動きひとつ取れぬように拘束しているというのに、それを訊くか……良いだろう、教えてやる! 俺達は――」


「泣く子も黙るグランベリー盗賊団だ! ま、大半のメンバー、それに親分を囚われの身にあるがな」


「お、おい、そこは俺が……と、とにかく、俺達は超有名な盗賊団なんだ!」


 超有名な盗賊団⁉


 ウミコとウクヨミは、そんな面倒くさい連中に人質として利用されているようだ。


「クランベリー盗賊団だと⁉ ハハハ、美味そうな団体名じゃのう。わらわはクランベリーが大好きだ」


「その前にウミコ様、超有名とか言われてもまったく知らないんですけど……」


「ハハハ、わらわもだ。つーか、盗賊団なんて珍しくないしのう。ここら辺じゃ」


「な、なんだと⁉ 俺達のことを知らんのか! こ、この田舎者めェェェ~~~!」


「つーか、クランベリーじゃねぇ! 〝グランベリー〟だ! クとグを間違えるなァァァ~~~!」


「田舎者じゃと? ワハハ、確かにな! とはいえ、兎天原全域の最新情報なら把握済みだ。例えば、西側が西方大乱と言っても過言ではないくらい荒れていることなどな!」


 兎天原の西方は、マーテル王国からの独立を掲げるいくつのも小国が乱立する荒れた状態にある区域である。


 オマケに、そんな西方のどこかで戦争が常に起きている――まさに大乱だ。


 さて、狐獣人達はクランベリー……ああ、グランベリー盗賊団と名乗る。


 で、超有名と言っているが、ウミコもウクヨミも何を言っているんだ、コイツ――という感じで何も知らない様子である。


「嘘吐き!」


「嘘じゃねぇ!」


「嘘だ!」


「テ、テメェ!」


「おい、そんなことはどうでもいい。この家の外に気配を感じるぞ!」


「何ィィィ~~~! ――ということは、ニャーサーってヤツが、ここに?」


「ん、違う……背の高い貧乳の女と兎が二羽……ん、変なマスクで素顔を隠す怪人も一緒だ」


「おいおい、何者だよ! ニャーサーはどこだよ、ゴルァァァ~~~!」


 さて、俺達はグランベリー盗賊団が立てこもるウミコの屋敷のひとつの入り口前にやって来る。


 で、どうやら見張り等はいないので、そんなグランベリー盗賊団は、ウミコとウクヨミを人質に立てこもっている連中だけなのかもしれない。

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