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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
607/836

外伝EP10 烏の沙羅と魔族の王国 その45

「この野郎、泊まりやがれであります!」


「止まれって言われて止まる馬鹿がいるか!」


「あ、それは確かに……って、逃がさん! 逃がさん!」


「ハハハ、鼠同士の闘いが始まりそうだな。」


「それはともかく、俺達は到着したようだ。ハビルフの遺体が納められている石棺が安置された玄室がある場所、霊廟に――。」


 黄金の人面犬――いや、黄金の鼠を追うドブ鼠ことノネズミヒコの後を追う私達は、金銀財宝に彩られた豪奢な神殿の前までやって来る。


 こ、ここに禁忌王ハビルフの遺体が納められている石棺が安置された玄室があるのか⁉


 真スフィンクスが霊廟だって言っているし、間違いないだろう。


「気をつけろ! ここら辺にもアレと同じモノがいるっぽいぞ!」


「ア、アレ⁉ うお、人間や獣の姿をした黄金が……ま、まさか!」


「ああ、違ぇねぇ! 睨んだモノを黄金の塊に変えるモノ――黄金の単眼巨人等の化け物と同種のモノが潜んでいる筈だ!」


 う、うお、なんだかんだと、霊廟の前には数多の黄金の人間や獣の彫像が――。


 さっき遭遇した黄金の単眼巨人や黄金の蛙人間の同種のモノに襲われた冒険者達なんだろうなぁ――。


「私達以外にも、ここへたどり着いた連中がいるみたいね……ん、コイツはエフェポスの村のクロウサヒコじゃん! 他にもエファポスの村の仲間が黄金の塊にされてそう。」


「なんとか救ってやりたい気がする。」


「それより、妙な輩が来たわよ。霊廟内に逃げ込んだ方が無難な気がする!」


「ああ、そうだな。俺もアレを退く対策法を知らないしな。」


「な、なんだってー!」


「ちょ、真スフィンクスがああ言っているし……逃げ込めー!」


 カキン、コキン、ピキン……と、奇妙な足音が聞こえてくる。


 なんだかんだと、霊廟の中に逃げ込んだ方が無難な気がしてきたわ。


 あの黄金の単眼巨人、或いは別個体と遭遇した場合、対策法を持たない私達は不利な立場となるしね。


「お、この中……外と大違いだわ!」


「うむ、場所が場所なだけで入れないんだろうよ。」


「あ、ああ、俺にもわかるぞ。」


「むう、沙羅と隊長が何が言っているかわからないのであります。」


「もう、鈍感ね! この中には〝いない〟のよ。外にウヨウヨしているモノ共が――。」


「お、あっちゃんもわかったのか!」


「うへぇ、わからないのは俺だけでありますかー……。」


「ノネズミヒコ、気づかないの? ここには黄金巨神等の墓守と言ってもいい連中がいないのよ。」


「あ、ああ、そういうことだったでありましたー……って、黄金の鼠があそこにいるのであります!」


「む、アイツはここに入ることができたのか!」


 霊廟内には〝いない〟わ――黄金巨神など禁忌王ハビルフの墓を守護している墓守共が⁉


 うーむ、被葬者こと禁忌王ハビルフの遺体が納められている石棺が安置されている神聖な場所だから?


 だが、あの黄金の鼠の姿は見受けられる……あ、逃げた! 追いかけなくちゃ!


「あのネズ公! 絶対に捕まえてやる!」


「なあ、お前も鼠じゃん……。」


「それはどうでもいいことであります! あ、いた……待てぃ!」


「おいおい、ノネズミヒコ! 仕方がない追おう。」


「ん、あの黄金の鼠が向かった先はもしかして……玄室か!」


「玄室? ハビルフの遺体が眠る石棺が安置されている部屋のことね?」


 黄金の鼠が逃げ込んだ先は、今いる禁忌王ハビルフの霊廟内において、最も重要な場所――即ち、ハビルフの遺体が眠る石棺が安置されている部屋こと玄室だ。


「あ、玄室の扉がわずかに開いている。私達なら入れそうね。」

  

「うーむ、なるほど! あの黄金の鼠が、霊廟に入ることができた理由がわかったかも!」


「え、ホントに⁉」


 ん、真スフィンクスには、黄金の鼠が、何故、霊廟に――そして玄室に入ることができた理由が理解できたっぽいわ。


 なんだかんだと、詳細を聞くべきね!


「単刀直入に言うぜ。ソイツはタダの鼠じゃねぇ!」


「ま、まあ、それはわかるけど……。」


「おい、釘を刺さずに聞け! ソイツは……ハビルフだ!」


「ハ、ハビルフ⁉」


 黄金の鼠がハビルフ……ちょ、どういうことぉ⁉


 禁忌王ハビルフと同じ名前……まさか同一人物じゃないよねぇ……⁉

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