EP8 俺、古代文明の遺跡で動くミイラと出逢う。その3
王立考古学アカデミーは、兎天原を支配しているマーテル王国に属す学術機関のひとつである。
で、卒業生の証である黒猫のバッジだけど、そんな王立考古学アカデミーの創設者である伝説の大考古学者として名を馳せた猫獣人ヘルメスをモデルにつくられたモノらしい。
ヘルメスはケモニア大陸内にかつて存在した古代文明をいくつも発見し、オマケに魔術の起源となったモノも発見し、古代の魔術を応用した新魔術も開発した存在としても知られているようだ。
故に、新魔術の父――と、呼ばれていたりもするワケだ。
さて。
「ここがピルケ遺跡か!」
「そうみたいだ。だけど、見た感じだと、地面にぽっかりと開いた兎の巣穴って感じだな。」
「おい、俺達の中には、未だに地面に穴を掘って住んでいる奴らもいるが、流石にこんな広い穴を掘る物好きはいないぞ!」
「まあ、兄貴やヤスを見れば、それがわかるよ。ネザーランドドーワーフだしなぁ。」
「ん、ネザーランドドワーフ? お、俺はドワーフだったか!」
「ドワーフって亜人の一種っすよ! は、まさか俺達は兎じゃなかったのか!」
「へえ、ドワーフがいるんだ。流石はファンタジー世界! さて、俺が言ったネザーランドドワーフとは兄貴やヤスみたいな最少の兎のことだよ。ま、それはともかく、穴ン中へ入ってみようぜ。」
兄貴やヤスは最小の兎の獣人であるネザーランドドワーフだ。
小さくてモフモフしてて何気に可愛いかったりするんだよなぁ……と、それはともかく、俺達は小規模ながらもホテル街としても機能するティベレス駐屯地の郊外にあるピルケ遺跡へと足を運ぶ。
言い忘れていたけど、ここら辺はサバンナ地帯というワケで暑い場所だ。
むう、いるだけでじんわりと汗が流れてくる暑い場所なので、ピルケ遺跡の入り口だという地面にぽっかりと開いた穴の中へと俺は駆け込む……ひ、日陰最高! ちょっとだけ涼しくなったぜ!
「お、何やら新発見があったっぽいですね。考古学者の私が代表して、他の考古学者達と接触してきます。」
ティベレス駐屯地の郊外にある地面にぽっかりと開いた大きな穴の中――ピルケ遺跡は、ほんのわずかな隙間すらないくらい巨石が敷き詰められた通路の先にあるようだ。
と、そんな通路を見渡すと、壁のあっちこっちに原始的な照明器具でもある松明が轟々と燃え盛る炎が見受けられ兎やミーアキャット、それに土竜の獣人など、穴掘りが得意な動物型の獣人が見受けられる。
彼らが考古学者なのか――ん、獣人達の中に紛れるかたちで何人かの人間の姿も通路の一角に見受けられる。
アイツらは恐らく人間の考古学者だろうな――と、何やら新発見があったようだ。
で、考古学者でもあるメリッサが先行するかたちで、俺達は新発見に成功した連中のもとへと行くのだった。
「皆さん、何が見つかったんですかー?」
「ん、姉ちゃん、何者だ?」
「あ、私は考古学者です! 古代文字の解読が専門ですが……。」
「え、姉ちゃんも考古学者だって……お、おお、その黒猫バッジは王立考古学アカデミーの卒業生の証!?」
「わあ、それに古代文字の専門家だって!? 頼りになる人間がやって来たぞ!」
「じゃあ、早速、コイツの解読を頼むよ。古代文字らしいんだが、ここにいる考古学者に中には古代文字の専門家がいないもんで……。」
「ふ、ふえ、古代文字の解読ですか? わかりました、どれどれ……。」
メリッサは古代文字の解読を専門とした考古学者みたいね。
んで、そんな専門分野が役に立つ時がやって来たようだ。




