EP1 俺、魔女になります。その2
「人間の考えることはイマイチ理解できないっす。鏡に映った自分自身の姿に惚れ惚れするとかワケがわからないっすよ。」
「うむ、ヤスの物言いは、ごもっともだ。特に人間のメスの感性は謎めいている。」
「うーむ……」
兄貴とヤスは、人間のように二足歩行で歩くことができる上、喋ることもできる獣人という存在の一種であるが、なんだかんだと獣というワケで感性が違うし、理解できることじゃないか……。
「あ、そういえば、兄貴。この兎天原にも当然、人間は住んでいるよな?」
「ああ、アジトのすぐ側にあるエフェポスの村には、兎天原に住んでいる人間のメスの中でもっとも美しいと評されるフレイヤって女が住んでいるぞ。」
「兄貴、あの女は猫獣人のリーダー格っす! 見た目は人間のメスでも〝中身〟は猫ってウワサっすよ。」
へえ、兎天原一の美女ってところかな、件のフレイヤって女は?
そんなワケで一度、お目のかかりたいもんだ。
「ところでお前達、王家の墓から持ち出したモノを売り捌くつもりなんだろう?」
「ブックスだっけ? ああ、そのつもりさ。俺達、墓荒らしを生業とする盗賊にとってが生活がかかっているしな。」
「墓荒らしを生業とする盗賊だって!? 兄貴とヤスって見た目は可愛い兎ちゃんでも、実は悪党だったんのか!」
「うっせぇな! こちとら生活がかかっているんだよ、バッキャロー!」
「そうか……だが、ほとぼりが冷めてから売り捌くんだな。」
「ほとぼりが冷めてから……だと!?」
「その理由は今朝の新聞を読めばわかる。」
「おお、この世界にも新聞があるんだ。以外だなぁ~。」
喋る本ことブックスの表紙を飾るダンディーなヒゲのオッサンの顔が、カッと閃光を放つと、その刹那――口がクワッと勢いよく開きボコンと新聞らしき物体が飛び出してくる。
「何々、『マーテル王国の歴代の王および王妃に連なる王族達が永久の眠りにつく墓所こと通称、王家の墓が荒らされる!』って見出しが、大々的に……う、まさか!?」
「キョウ、そこの兎ちゃんが行った悪事は、すでに公になってしまっているんだ」
「な、なるほどぉぉぉ~~~!」
「ほとぼりが冷めるまでって言っていた理由が今、理解できたっす!」
「ん、『先頃、十五歳の若さで亡くなったマーテル王国国王アルゴニウスの愛娘であるエリスの遺体が盗まれる! 犯人は死霊使いか!?』って記事もあるね……あ、この身体のことか!?」
兄貴とヤスが行った墓荒らしという犯罪行為は、一日と立たずに公になってしまったようだ。
それに、この世界においての俺の身体ことエリス姫のことも公になっているなぁ。
「お、犯人の目撃情報も書いてあるっすね。」
「むう、二羽の兎を連れた魔女って書いてある……ちょ、俺も犯人扱いかよ! 〝魂〟は違えどエリス姫ご本人なのになぁ……。」